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出会い

今回は前話から話し始めた感じになります

なので前話を見てないと分かり難いです

ですので、前話から見る事をオススメします!

「はあ、こんな時間になるなんて……バスまだあるかな?」


話は奏慈がバス停を目指し、走っている所から始まる。

その日の奏慈は仕事で遅くなり、いつもと違う道を使っていた。

最終のバスは間もなく出発し、このままでは乗れなくなる。


「……うん? あの娘は何をしているんだ?」


そんな中、奏慈は不審な行動をしている少女を見つけた。

少女は辛そうな表情で、歩道橋から身を乗り出している。

それを見た奏慈はハッとし、すぐに少女の元へ走り出す。


「危ない!」

「えっ!? きゃあ!」


そして、そのまま少女の体に抱き着いて引き止めた。

少女は落ちる寸前で、確実に死んでいただろう。


「くっ、ううん……あ、貴方は誰ですか!?

 いきなり抱き着くなんて、セクハラですよ!」


しかし、少女は礼を言わずに奏慈を責め出す。

この少女こそ件の望結(みゆ)であり、出会いだった。


「それについては謝る。本当にすまなかった。

 だが、何をしていたんだ? 歩道橋から身を乗り出して」

「そ、それは……」

「自殺か?」

「うっ、そ、そうよ! それがどうしたのよ!!」


望結の言動から、奏慈はすぐに察する。

見れば、腕や足にいくつも痣があった。

そんな少女にどう接するか奏慈は迷う。


「いや、なんでもない」

「じゃ、じゃあ、何で止めたのよ!

 貴方が止めなければ、私は死ねたのに!!」

「……それは」


それでも奏慈は勇気を出して、望結に言った。

後にこの事を後悔し、引き摺る事になろうとも。


「君が飛び降りたら、他の人の迷惑になるからだ」

「えっ、め、迷惑? 何で?」

「見てみろ、歩道橋の下を……車が一杯通ってるだろ。

 そんな中に君が落ちてきたら、どうなると思う?

 誰かが君を轢いて、そこから大事故になるかもしれない。

 君の身勝手で多くの人が不幸になるんだ……分かるかな?」


奏慈は倫理的な事を言わず、起こり得る事を話し出した。

感情に訴えるよりも、そっちの方が効果的だと思ったからだ。


「じ、自殺しようとしてた事は責めないの?」

「責めないよ、気持ちはよく分かるからね。

 だからこそ、人を巻き込む方法は許せない。

 死ぬなら勝手に死ね、誰にも迷惑をかけずにな」

「……そう」


望結はその言葉に怒りを見せながら、立ち上がった。

そうして一瞥もせずに、その場から去って行く。

奏慈は追う事もできたが、そんな望結を静かに見送る。


「ふう、帰るか」


そして、姿が見えなくなった所で奏慈も帰る事にした。

当然、最終のバスに間に合わなかったのは言うまでも無い。


「――また会ったわね」

「生きていたのか……」

「失礼ね、生きてるわよ」


それから三日後、同じ歩道橋の上で奏慈は望結と再会する。

再会した時刻も前と同じで、思わずデジャブを感じた。

対する望結は元気そうで、痣もすっかり無くなっている。


「君、聖山だろ? こんな時間に何をしているだ?」


そんな望結の制服を見ながら、奏慈は冷静にそう聞く。

前会った時は気付かなかったが、それは聖山高校の物だった。

聖山高校は進学校の一つで、この辺りでは有名な人気校だ。

さらに校則も厳しい方で、遅くまで生徒を遊ばせたりしない。


「自殺の次は、夜遊びの説教? 暇なんですね」


だが、望結は奏慈の疑問に答えず罵倒する。

そして、そのまま歩道橋から道路を見下ろし始めた。

それでも奏慈は優しい口調で望結に接する。


「ふっ、説教をするつもりは無い。ただ気になっただけだ」

「……そう。本当に変な人」

「そうだな。だが、こうして会ったのも何かの縁だ。

 言える範囲でいいから教えてくれ」

「……いいわ、話してあげる」


こうして望結は少しずつ話し始めた。

その内容は聖山高校で起こっているイジメ。

多くの生徒が虐められている話だった。


「聖山のイジメか……聞いた事が無いな」

「当然よ、先生も加担しているんだから」

「先生も? 思ったより腐ってるようだな」

「その通り、最悪な学校よ」


そこまで言うと、望結は地面にペタンと座る。

言葉に対し、その顔はとても暗かった。

そんな望結を見て、奏慈はゆっくり口を開く。


「……さて、僕はそろそろ帰る。

 君も変なのに絡まれる前に帰れよ」

「ふふ、その変なのは貴方よ」

「それもそうだな、じゃあ」


望結の言葉に笑いながら、奏慈はその場を後にした。

その様子を望結も笑みを浮かべ、手を振って見送る。


「――うっ、うぅ」


しかし、それから五日後……聖山高校の校舎裏。

そこで望結は虐められ、ボロボロにされていた。

傍には女子生徒も一人居り、望結を虐めている。


「ごめん、オレだってやりたくねえんだ……」

「……分かってるわよ」


そうして女子生徒は倒れている望結に拳を放つ。

望結はそれを受け入れ、ゆっくりと眼を閉じる。


「おっと、そこまでだ」

「なっ、だ、誰だ!?」

「通りすがりのおじさんさ、よっと」

「ぐっ!」


だが、そこに奏慈が割って入り、拳を止めた。

そして、すぐに女子生徒を突き飛ばす。

女子生徒はそれで態勢を崩し、地面に倒れる。


「さて、彼女に謝って貰おうか?」

「ぐっ、うぅ……」


そのまま奏慈は女子生徒に(にじ)り寄り、拳を鳴らす。

当の女子生徒は動けず、声を出せないようだ。


「ちょ、ちょっと……何をしてるの!」

「うん?」


そんな奏慈の行動に対し、望結は怒号を放った。

続けて望結は立ち上がり、女子生徒の元に駆け寄る。


(あい)、大丈夫?」

「平気だ、これくらい……」

「ふむ、もしかして仲がいいのか?」

「……ええ、大親友よ」

「親友か……もう一度、詳しく教えてくれないか?」

「ふん、いいわよ」


聖山高校のイジメは単純な物では無かった。

指示役と実行役が分かれており、実行役は元被害者。

虐めなければ、再び虐めると脅された者ばかりだ。


その為、望結を虐めていた女子生徒……菊石(きくいし)(あい)

彼女も被害者であり、いやいや望結を虐めていた。


「話には聞いていたが、藍さんがその実行役だったのか。

 藍さん、謝ります」

「構わねえよ、それだけの事はやってきた」

「……それで何でここに? 仕事はどうしたんですか」

「これが仕事だよ、捜査って奴さ」

「捜査? まさか」

「ああ警察だ、生活安全課だけどな」


奏慈はそう言うと、胸元から警察手帳を取り出す。

その手帳には奏慈の顔写真と名前が記されていた。


「旭凪奏慈……それが貴方の名前?」

「そうだ。そういえば言ってなかったな」

「……警察なのに、いきなり突き飛ばすんですね?」

「それが僕のやり方だ、褒められた物じゃないけどね。

 さて、今聞いた事から捜査を再開するか」

「まだ捜査するのか? だけど」

「大丈夫、これ以上君達を酷い目に合わせない。

 では、今日はこの辺で」

「ちょ、ちょっと!」


それだけ言うと、奏慈は足早にその場を去る。

有無を言わさずに行動する姿に、望結は開いた口が塞がらない。

しかし、同時に頼もしさを感じ始めるのだった……



          ◇   ◇   ◇



「ふう、疲れた……少し休憩してもいいですか?」

「あ、ああ、いいぜ」

「ありがとうございます」


そこまで話した所で、奏慈はベッドに座り込む。

奏慈が話す間、アウィンはずっと黙って聞いていた。


「……ごめん、今日はもうこの辺でいいか?」

「えっ? い、いいですけど?

 どうかしましたか?」

「いた、なんでもないんだ……なんでも」


だが、藍が出てきた辺りから様子が可笑しくなる。

落ち着きが無くなり、上の空で聞くようになった。

そして、最終的に話が全く頭に入らなくなったのだ。


「……分かりました、ではもう寝ましょうか」

「ああ……」


そう言うと奏慈は明かりを消し、再び横になった。

アウィンもすぐに横になるが、眠気が全く来ない。


(なんなんだ、アイの名を聞いてから気分が。

 全く聞いた事のない名前なのに、何で?)


真っ暗闇の中、アウィンは考え続ける。

しかし、考えれば考える程に分からなくなった。

こうして夜は更けていき、朝が近づいて来る……

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

もし誤字脱字がございましたら、ぜひ教えて下さい! 修正します!

感想評価も募集致します、よろしくお願いします!

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