援軍
自分が読んでるとテンポ早く感じますが、皆さんはどうでしょうか?
もし早く感じましたら、教えて頂けると嬉しいです!
「あ、あの炎は一体!!?」
ファルシオン家から出る炎の柱。その光景に奏慈とアウィンは言葉を失う。
しかし、すぐにアウィンは落ち着きを取り戻し、奏慈の方を振り向いた。
「カンナギ、フラン達が心配だ! 早く戻ろう!!」
「そ、そうですね!」
アウィンの言葉で奏慈はハッとし、共に屋敷に向かって走り出す。
屋敷まで距離はあったが、ゆっくり歩いている暇は無い。
だが、そんな二人の前に双頭狼の群れが割って入った。
「なっ、なんだコイツら!?」
「双頭狼か、この辺りには出ない動物が何故?
まあいい……カンナギ、炎の弾を吐いてくるぞ、気をつけろ!」
「は、はいっ!」
双頭狼は二人を囲むように動き、口から炎を覗かせながら威嚇する。
アドバイスを受け、奏慈は一定の距離を取りながら双頭狼と対峙した。
アウィンもまた一定の距離を取りながら、モーニングスターを出現させる。
「カンナギ、後ろだ!」
「くっ、止まれ!」
最初に動いたのは双頭狼だった。反応できない速度で奏慈に向かって来る。
そんな双頭狼を奏慈は時を止めて押さえた。そして、止めた状態で斬りかかる。
「終わりだ!」
守護者と違い、双頭狼の体は柔らかかった。
奏慈の放った斬撃は体を切り裂き、あっと言う間に四等分にする。
「動け」
「おっ、早速一匹やれたか」
再び時は動き出した。双頭狼は体をボトボトと地面に落とし、絶命する。
それを見た双頭狼達は動揺し、奏慈を警戒して距離を取り出す。
対するアウィンはそんな群れの中に、双頭狼の頭を蹴り入れた。
「こうなりたくなければ帰りな、オレ達は手加減しねえぞ」
モーニングスターを音を立てて振りながら、アウィンは威圧的にそう言う。
しかし、双頭狼達は帰る様子は無く、寧ろ怒り狂って攻撃的な様子になった。
「脅しで頭蹴ったの、失敗でしたね」
「ちっ、仕方ねえな。カンナギ、行くぞ!」
「はい!」
怒り狂った双頭狼は二人に向かって突っ込んで来る。数的不利だ。
だが、勝算はあった。アウィンが敵を薙ぎ払い、奏慈が時を止めて攻撃を防ぐ。
その目論見は上手くいき、双頭狼はあっと言う間に数を減らしていった。
「これで最後だ!」
そうして最後の一匹をアウィンが粉砕する。辺りから敵の影が無くなった。
それを確認すると、奏慈は剣を仕舞う。だが、その時。
「カンナギ、上だ!!」
「えっ」
上空から人程の大きさの蝙蝠が奏慈に突っ込んで来た。
突然の事に奏慈は動けず、蝙蝠の刃のような翼が迫る。
「やっぱり、素人じゃあないか」
その刃が当たる瞬間、蝙蝠はきりもみ回転しながら吹っ飛んだ。
二人はすぐに声のした方向を見る。そこには奏慈の知る人物が居た。
「ボーアさん!?」
「……ボーア? 確かフォチャード家の嫡男か」
そこに居たのは前にフランの許婚と説明されたボーアだった。
ボーアは面倒臭そうな表情で槍を担ぎ、横に馬車を待たせている。
「カンナギだったか、何故お前がここに居る?」
「えっと、神殿に少し用があったんです」
「ふ~ん。それで、美しい貴方は誰でしょうか?」
「えっ、わ、私ですか?」
ボーアは形だけ奏慈に聞くと、すぐにアウィンに興味を移した。
面倒臭そうな表情も無くなり、満面の笑みを浮かべて聞く。
アウィンはそんなボーアと話したくないのか、目で助け舟を求める。
「この人はアウィン=ビタリサさん、聖女です」
「せ、聖女様!? おお、出会えて光栄です!」
「い、いえいえ」
奏慈はすぐに二人の間に割って入り、アウィンを助けた。
それでもボーアは奏慈を押し退け、アウィンの手を握ってくる。
「(うぜえなコイツ)
え、えっと、ボーアさんは何でこちらに?」
「そうでした、それを言わねばなりませんね。
ボクはフランからの援軍要請で来たんです」
「フランさんから! 無事なんですか!?」
アウィンは内心ブチ切れながら、それを表に出さずに話を逸らした。
結果、二人の思いもしなかった情報を得る事に成功する。
「それは分からない、フランはそのまま屋敷に向かったそうだ。
だが、フランの実力を考えれば問題ないだろう」
「確かにフランさんの実力なら……」
「さて、ボクはそろそろ向かう。聖女様、宜しければ共に来て下さい。
貴女のお力があれば、怪我も怖くありません」
ボーアはそう言って頭を垂れ、アウィンに手を差し伸べた。
アウィンはその様子を嫌そうに見つめ、また目で助け舟を求める。
奏慈はそれに頷いて応え、腹の底から声を出してボーアに言う。
「ボーアさん、私も連れて行って貰えませんか?」
「……お前が? 何でお前を連れていく必要がある?」
満面の笑みが消え、露骨に嫌そうな顔をして言うボーア。
奏慈はそれに負けじと言葉を絞り出す。
「確かに無いです。でも、私はフランさんに沢山お世話になりました。
そのお世話になった人が大変なんです! 私も連れてって下さい!」
「ふん、だからどうした? 知っているぞ、お前は素人だろう?
何が起きているか分からんが、素人を連れていく余裕は無い」
「そんな……」
奏慈はボーアに頭を下げ、必死に頼み込む。
ボーアはそんな奏慈を見下ろし、冷たく言い捨てた。
そこに今度はアウィンが割って入り、ボーアに言う。
「待って下さい、私からもお願いします」
「えっ、聖女様? どうしてですか?」
「理由は簡単です。確かにカンナギさんは戦いを得意ではありません。
ですが、心話魔法と盤上魔法が使えます。それに時も止められるんです。
連れて行けば、必ず役に立つと思いますよ」
「……聖女様がそこまで言われるならまあ」
「ありがとうございます!」
ボーアはしぶしぶ奏慈を連れて行くのを了承した。
アウィンは笑顔で礼を言い、横目で奏慈に目配せする。
「さあ、そうと決まったら行きましょう!
我がフォチャード騎士団が全て解決してるかもしれないが!!」
そう言って、高笑いしながらボーアは馬車に向かって行った。
その様子を見ながら、奏慈はアウィンに駆け寄る。
「すみません、ありがとうございます。
僕だけだったら、とても説得できませんでした」
「いや、オレもあんな奴と二人きりは耐えられねえ。
だから、利用させて貰った。オレの方こそ済まねえな」
アウィンはそう言いながら、申し訳なさそうに頭を掻く。
それに対し、奏慈は笑みを浮かべながら応える。
「いえ、僕も二人きりは許せなかったのでいいですよ」
「そうか、それならいいんだが……うん?
えっ、それって」
「い、行きましょう! ボーアさんが待っていますよ!」
「お、おう。別に恥ずかしがらなくてもいいじゃねえか」
焦る奏慈はアウィンの手を引いて、ボーアの元へ向かう。
その頬が紅く染まっているのを、アウィンにバッチリ見られながら。
「これはどういう事だ?」
――三人は何事もなく辿り着いた。
だが、先発しているという騎士団の姿は無い。
屋敷も変わらず燃えており、炎の勢いは増すばかりだ。
「進めば姿も見えるか。
聖女様、炎に気をつけて下さい」
「は、はい」
しかし、ボーアは気にせず、屋敷に向かって歩き出した。
二人はその後を追い、ボーアに聞こえないように話し出す。
「可笑しくないですか、人の気配が全く無いのは。
ここには使用人も含め、何人も居たんですよ」
「そうだな、既に避難している可能性もあるが変だ」
「そうですよね、一体何が」
「……少なくとも、魔物使いが居るのは間違いない」
奏慈はそう呟き、顎に手を当てて考え出した。
しかし、奏慈が答えを導くよりも前にアウィンはそれに応えた。
「えっ、何でですか?」
「さっき戦った狼はこの辺りに生息していないんだよ。
連日の飛竜騒ぎも考えると、魔物使いの狙いはここだ」
「……すみません、本当にどういう事ですか?」
「陽動だよ。飛竜に村を襲わせ、注意を村に向けさせる。
そして、屋敷の警備が手薄になった所で」
「そうだとしたら、魔物使いの狙いはフランさん達の命?」
「かもしれないな」
「そんな、それじゃあ……」
アウィンは冷静にそう言い、表情を変えずに歩き続ける。
対する奏慈は顔を真っ青に染め、おぼつかない足取りで歩く。
「聖女様、屋敷の中はさらに炎が強いと思います。
気をつけて下さい」
「はい」
そうして三人は屋敷の前まで辿り着いた。
ボーアはゆっくりと扉を開ける。
「くくく、何人目だ……お客様は」
「貴様、何者だ!」
「俺か? 俺はツェーン……ウルトルクスの構成員だ」
扉を開けた先には何人もの人が倒れていた。
服装は騎士団の物であり、全員意識を失っている。
そんな人々の上に仮面を被った者が座っていた……
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