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それぞれの因縁

投稿遅れてしまい、申し訳ありません。やっと投稿です。

詳しくは活動報告で書きますが、本当にすみませんでした。

「――な、なんで貴方が!?」


フィーと別れて数分後、奏慈達の前に再び武装した集団が現れた。

プレイト率いる騎士団。エーデル神学校の生徒と来て、次は誰か?

奏慈達は警戒しながら身構える。だが、現れたのは意外な人物だった。


「なんで……とは酷い言い方ですね、姉上様」


そこに居たのはファルシオン家のキスカ……フランの弟だった。

これは一体、どういう事だ? 奏慈達は状況を理解できない。


「なんでって聞いてるのよ!? 答えなさい!!」

「……やれやれ、そんなの決まってるでしょう?

 姉上様達を捕まえる為ですよ」

「なっ!?」


薄々察しは付いていたが、キスカ達も奏慈達を捕まえる為にやってきたようだ。

キスカの後ろには百を超える騎士が居り、全員重装備。

さらにエストとゴーシュの姿も見える。本気で奏慈達を捕らえるつもりらしい。

しかし、居ない者も居る。ここに居なければならない者が。


「ハルベルム様はどうした? どうして、お前が代わりに来ている?」

「ハルベルム? あんな時代遅れの者の名を何故出すのですか?

 ……ああ、姉上様達にはまだ言ってませんでしたね。

 父上に代わり、私がなったんですよ……ファルシオン家の当主にね」

「なっ、キスカが!?」


その言葉に奏慈達は驚く。ハルベルムの姿が見えない時から嫌な予感はしていた。

だが、この展開は予想外だ……フランは声を荒げ、キスカに詰め寄る。


「お父さんに何をしたの!? 早く言いなさい!」

「姉上様、勘違いしないで下さい。私は何もしてませんよ?

 父上が王の命令に逆らったから、私が代わりになっただけです」

「お、お父さんが!?」


ここに来て、衝撃の事実が続く……本当に何が起きたというのか。


「説明しろ。何があったかを」

「……分かりました、話しましょう。よく聞いて下さいね、姉上様」


キスカは不敵な笑みを浮かべながら、ゆっくりと話し出す。

ソフィアの発表後、アルマ王はすぐにハルベルムを呼び出した。

理由は至ってシンプル。どこよりも先にフランを捕らえる為だ。

ファルシオン家の令嬢がウルトルクスと繋がっている。

正否はともかく、国の立場を考えると放っておく訳にはいかない。

アルマ王は父であるハルベルムに捕えさせる事で国を守ろうとする。


「だが、父上はその命令に対して難色を示した。命令を聞かなかったんだよ。

 だから、王は私を新たな当主にし、改めて捕らえるように命令したんだ」

「そういう事か……」


ハルベルムはソフィアの発表に違和感を覚えていた。

今まで掴めなかったウルトルクスの尻尾を掴み、共犯者を全世界に知らせる。

今まで分からなかったのに何故? 明らかに不自然だ……これには何かある。

勿論、娘を捕らえたくないという思いもあったが、それは今関係ない。

冷静に考えて、それが正しい事なのかどうか考えた。

その結果、ハルベルムは難色を示したのだ……ソフィアの発表は怪しいと。


「エストとゴーシュはそれで良いんですの? キスカが当主で」

「……良くはありません。ですが、騎士である私達は国の為、民の為に戦う者。

 当主が誰であってもやる事は変わりません」

「だから、戦うしかないのです……フラン様、お覚悟を」


二人はそう言うと、申し訳なさそうに剣を出現させた。

フランを捕らえる事は本意ではない。特にエストはフランの武術の師だ。

愛情は父であるハルベルムと同じかそれ以上ある。

それでもやらなければならない……例え、自分の命を失っても。


「……ソウジ、先に行って下さいまし。ここはアタクシが引き止めますわ」


その思いは静かにフランにも伝わった……なら、自分はそれに答えるのみ。

フランは小声で奏慈に言う。その表情はいつになく真剣だ。


「いいのか? 知っている相手と戦うのは辛いだろ」

「だからこそですわ……二人の思いを受け止めてあげないと」

「……分かった。気を付けろよ」


逡巡するも奏慈はフランを信じ、後ろを任せる事にした。今のフランを止められない。


「ふん、あの数にたった一人で戦う気か?

 無謀にも程がある……ボクも手伝おう」

「ぼ、ボーア!」

「なら、ワガハイも混ぜて貰おうか? 新当主の実力を確かめたい」

「お、おじ様まで!!」


それにボーアとハンデッドも乗っかる。二人が居てくれるなら百人力だ。

硬かったフランの顔も和らぎ、希望が満ち始める。もう負ける気がしない。


「さあ、行くぞ! ここはフラン達に任せるんだ!!」

「おお!」


それを確認すると、奏慈は声を張り上げてそう言う。心配事は無くなった。

同時に走り出し、その後を藍達も続く。

フランを信じたのは奏慈だけではない……藍達もだ。

今のフランなら絶対に負けないと自信を持って言える。


「ま、待て!」


当然、それを黙って見逃すキスカではない。

すぐに走り出し、奏慈達の前に出ようとする。


「おっと、ここから先には行かせませんわ!

 通りたかったら、アタクシ達を倒しなさい!!」

「とは言っても、ボク達は強いですよ」

「剣魔の力……見せてやろう」

「くっ!?」


そのさらに前にフラン達が割って入った。

無理矢理通ろうものなら、爆発魔法とその他諸々が飛んでくる。

図らずも最初と逆になった。


「……いいだろう。そっちがその気ならやってやる!!

 全員、突撃! 一気に叩き潰せ!!」

「おっ、おお!」


それに対し、キスカは破れかぶれとばかりに騎士団を突撃させる。

策も何もないただの突撃……当主とは思えない杜撰な采配だ。


「ふうう……」


しかし、数の有利というのは時に個人の力を凌駕する。

本当に勝てるのか? フランは迫り来る軍勢に対し、息を飲んだ。

戦況は思った以上に不利……一見すると、勝ち目は無いように思える。


「フラン、まさかビビってるのか? この程度の相手に?」

「だとしたら、ここはワガハイ達に任せて下がっていろ。

 足手纏いは不要だ」

「ボーア、おじ様……」


だが、二人は物怖じしない。迫り来る軍勢を静かに見つめていた。

それを見て、フランはもう一度息を吐く。覚悟は完了した。


「ふっ、そんな訳ないでしょ! 寧ろ、ワクワクしてますわ!!

 自分の家の騎士団と戦う機会なんて滅多にありませんもの!

 存分に……ぶっ飛ばして差し上げますわ!!」

「いいぞ、その意気だ! ぶっ飛ばしてやろう!!」

「ああ、共に祭りを楽しむぞ!」


怖いのは変わらない。それでも不思議と安心感があった。

フランは二人と共に迫り来る軍勢に自ら向かっていく。

無謀にも見える行動だが、フランの顔に悲壮感は無い。

何故なら後ろには頼りになる二人が居て、前には奏慈達が居る。

フランは静かに笑う……恐れる必要は何も無かった。


「さあ、行きますわよ!」

「思い知らせてやる……フラン!!」


ぶつかり合う思いと思い。果たして、勝つのはどちらか?

こうして、フラン達とキスカ軍の戦いは始まるのだった。


「――ふう、やっと着いたな」

「ええ。ですが、油断しないで下さい。

 ここから先はいつソフィアが出てきても可笑しくないです」

「だから、警戒を怠らないで」


フラン達と別れてから数分後、奏慈達は無事に大神殿まで辿り着く。

早速突入したい所だが、警戒も兼ねて周囲の様子を確認した。

まず、大神殿の周りは草原が広がるばかりで目立つものは何も無い。

次に大神殿は外はおろか中も人の姿が見えず、静まり返っている。

先程までの喧騒が嘘のようだ……本当にこの奥にソフィアは居るのか?


「……ソフィアの魔力を感じる。この奥に居るのは間違いなさそうだ」

「魔力を隠さず、警備も置いてないなんて……明らかに罠ね」

「それでも飛び込むしかない。行くぞ!」


奏慈達は意を決し、大神殿に突入する。

今までの事を考えると、ただで進ませてくれるとは思わない。何かある筈だ。

奏慈達はより周囲を警戒しながら、前に進む。


「なんだか嫌な感じだ……いつもの大神殿と違う」

「うむ。それに息苦しさも感じるのう。

 ソフィアめ、創造神様の神殿を穢しおって」


入る前は感じなかったが、神殿内は重苦しい空気に支配されていた。

それは一歩踏み出す度に強まり、肌に突き刺すように刺々しさも増していく。

さながら魔王の城だ……人が居なかったのはこれも理由だろう。


「ふふふ、随分と遅かったですね」

「こ、この声は!?」


それでも構わず進んでいると、聞き覚えのある嫌な声が奏慈達に届いた。

こんな声を出せる者は一人しか居ない。


「中光!!」

「ふああ、待ち過ぎて眠ってしまう所でしたよ」


中光は両手を大きく広げながら、柱の陰からその姿を現す。

相も変わらず、中光は余裕の表情で奏慈達を見下している。

だが、何故ここに居るのだろう? ここは創造神教の総本山。

ウルトルクスである中光が居て良い場所ではない。


「……やはり、ソフィアと繋がっておったのか」

「ご名答。ウルトルクスはソフィアの手足として動く組織でしたとさ。

 ソフィアの発表で君達が狼狽える姿……本当に滑稽でしたよ」

「ふん、悪趣味ね」


なんとなくそうではないかと思っていたが、当たっていたようだ。

つまり、ソフィアこそ中光達を操る術者。

研究を中止させておいて、裏では肉人形を使った組織を作っていた。


「ツヴァイはどうした? 居る筈だろう?」

「ツヴァイ? あんな役立たずが居る訳ないでしょう。

 ですが、その代わりに……」


中光は指を鳴らす。すると、中光の背後に何かが降り立った。


「力を貰いました……君達は既に一回見てますよね、この巨人達を。

 今度こそ、その恐ろしさを味わわせてあげますよ」

「くっ!?」


出現したのはツヴァイの時にも見た天井に届かんばかりの巨人達。

数も十を超え、百を超えている……リベンジをするつもりらしい。


「……殺したんだな。ツヴァイも」

「正しくはソフィアが殺しました。勝手な事をしましたからね。

 まあ、当然の結果じゃないですか?」

「な、なんという奴じゃ……」


エルフの時と同じだ。中光は仲間の死をなんとも思っていない。

寧ろ、自分がパワーアップできる素材として捉えている節がある。

こんな奴を放っておく訳にはいかない……奏慈は拳を握りしめた。


「裁く者として、罰を与える……中光、覚悟しろ」

「ちっ、それはこっちの台詞だ! ここで終わらせてやる!!」


奏慈と中光は同時に武器を出現させ、構える。長かった因縁もこれで終わりだ。

この戦いをソフィアと戦う前の前哨戦にする。


「奏慈、先に行け」

「なっ、なに!?」


そう意気込んでいた所で藍は呟くようにそう言う。その言葉に奏慈は驚いた。


「何を言ってるんだ藍!? 中光は!!」

「分かってる……だけど、奏慈にはやるべき事が沢山あるだろ?

 こんなゴミに付き合ってる暇は無い筈だ!」

「た、確かにそうだけど……」


藍の言う通りだ。ここで中光と戦えば、ソフィアに逃げる隙を与えてしまう。

力を温存するという意味でも奏慈は先に進んだ方がいい。


「で、でも!」

「安心して、私も残る。中光には返したい借りが一杯あるから」

「自分も残ります。中光を許せない気持ちは自分も同じです」

「望結にイカリまで……」


一人で戦わせられないという言葉もこれで使えなくなった……奏慈の決断は。


「……分かった、ここは任せる。ルフ」

「了解しました! わらわも共に残り、戦います!!」

「頼んだぞ……じゃあ、行ってくる!」


後ろ髪を引かれながらも奏慈は先に進む事にした。

藍達の選択を無駄にはできない……中光の頭上を飛び越え、奏慈は走り出す。


「止めないんだな」

「ええ、止めませんよ……先にゴミと言ってきた奴を叩き潰す必要があるので」


中光はそんな奏慈を見送りながら殺意を露わにする。よっぽど気に障ったらしい。


「なら、さっさとやりましょう。もう我慢できないんでしょ?」

「ええ、君達にはもう……ウンザリだ。さっさと消えろ!」


中光はそう言うと、杖を振り上げて後ろに控えさせていた巨人達を一気に動かす。

百を超える巨人が動く様は圧巻で、現実の物とは思えない。

そして、中光はさらに杖の先端から熱線も出し始めた……最初から全力のようだ。


「……藍、覚悟はいいわね?」

「勿論! 今までの鬱憤をここで全て出す!!」

「自分も……そうさせて貰いましょうか!」

「うむ、わらわ達の気持ちは一つじゃ!!」


それに負けじと藍達も武器を掲げ、一致団結する。負けるつもりは毛頭ない。

中光との最後の戦いが遂に始まる。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

もし誤字脱字がございましたら、ぜひ教えて下さい! 修正致します!

感想・評価・リアクションも募集します! よろしくお願い致します!

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