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月夜譚 【No.201~No.300】

不思議な邂逅 【月夜譚No.268】

作者: 夏月七葉

 委員会の仕事が長引いて、帰りが遅くなってしまった。少女は家路を急いで靴を鳴らす。

 明日提出の宿題が、手つかずのまま幾つか残っている。こういう日に限って早く帰れないのは、何故なのだろう。

 とにかく一刻も早く帰宅して宿題を済ませてしまおうと、頭の中で算段をしながら歩く。

 と、考えるのに夢中できちんと前を向いていなかったらしい。何か柔らかいものにぶつかって、尻餅をつく。瞬間的に人だと思い、謝ろうと顔を上げて言葉が詰まった。

 目の前に、巨大な白い毛の塊がある。少女の背より僅かに高い球体のようだ。これは一体何なのだろうと考える間もなく、上部からぴょこんと細長い二つの白色が飛び出した。

 球体が向きを変え、赤い双眸がこちらを見る。そこで初めて、その物体が巨大な白兎だと知る。

 兎は少女を一瞥し、そのまま歩き出して通りの向こうへと消えていった。少女はそれをただぼんやりと見送ることしかできなかった。

「……疲れてるのかな」

 呟き、立ち上がる。スカートの土を払う頃には、今日は早く寝て、明日の朝早くに宿題をやろうと心に決めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 絶対妖怪!と思ったら真逆の。 楽しく読ませていただきました。
2023/10/22 18:58 退会済み
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