邂逅の2
猫が。しゃんと背筋を伸ばし、二本の足で街灯の下に立っていた。
互いの目が、合う。
「猫が、モデル立ちしている!?だと!?」
「驚くところはそこなのか!?」
僕の口から迸った言葉に、猫の顔があきらかな落胆を帯びた表情に歪む。
大きく見開いた両眼で、フレーメン反応を起こした時のような顔になる。
月が雲から顔を出し、田んぼや畑しかない特徴のそこなわれた田舎町を上から荘厳に照らす。
古びた街灯よりもずっと明るく、その場の輪郭が整っていく。
目の前のそれは、一本芯の通った直立立ちこそしているものの、見たままに、あきらかに猫だった。ただ、その猫はその辺でよく見かけるような猫というには纏っている雰囲気が、異なっていた。
毛色はただの三毛というには体の模様がいささか幾何学的に散っており、四肢の部分だけには三毛模様はなく、昭和のバイクに跨った変身ヒーローさながらに白手袋、白ブーツ模様。両眼は縁をわずかに残して大きく黒目が占有している。
おまけに後ろ足で安彦立ち。
「普通なら、ここは。『猫が、喋った!』とか、そういうアレだろう、そういう反応をするところだろう?」
「そうか、そう言われれば。だが、そう言われてもな」
「そう言われてもな、ではない」
はぁ、と僕は短く息を吐く。
「言い方がアレなら言い直そう。もうそういうのは」
「もう、そういうのは?」猫が反芻する。
「いや、やめておく」
「はぁ!?」今度は猫の方が食い気味ににじり寄ってくる。意外と執拗だ。
「何が『もう、そういうのは』なのだ。このままではまるで蛇の生殺しではないか。気になって仕方ない。私が眠れなくなったらどう責任をとるのだお前は。それともなにか?お前は私に眠るなとでもいうつもりか!」
「は?お前今、猫のくせに自分のことを『私』と言ったか?」
「い、言ったがどうした」
「そこはせめて『吾輩』だろう。猫の一人称は『吾輩』と古来から決まっている。それをお前、言うに事欠いて……。ルール違反だと学校で教わらなかったのか!」
「な、なんと……そんなルールが?」
「ある!猫とは元来そういうものだ」矢を継ぐように早口でまくしたてる。
「そもそもだ。お前のそれ、『猫が人語を使う』なんてものは、もうとっくにオワコンだ。使い古されてボロボロのボロな話だ。もはやこの世界にあっては誰もその程度じゃ驚かない」
「そう、なのか?」猫からはすっかり覇気が失せている。
大きくため息を吐いて、二本足で立つ猫の肩に手を置く。
「せめてお前はあと三十年早く生まれてくるべきだった」
そうすればにゃんこ先生や、ルナよりも先んじていたはずだ。
「ということで、わかってもらえたと信じて僕は失礼する」
第2話です。今読み返してるのですが、雑ですね。少しずつ直していきます。サグラダファミリアを造るペースで頑張ります。




