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詩集「月面戦争」  作者: 維酉
月面戦争
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痛み

 記憶をなくして、なにか重大なまちがいを犯しながら、のうのうとしていたい。そんなゴミみたいな逃避だけで、どうとでもなるようないきものではない。無理勝手な憎悪で詭弁を吐いて、それを正しいとする世の中が怖い。そんなゴミみたいなことをいうわたしも、詭弁家になっているので怖い。ひとの痛みをわからないいきものになってしまいたい。ひとの痛みでちがうだれかを痛めつけてしまいそうだ。ひとの痛みを知れるひとになりたい。ひとの痛みを振りかざしてしまうまえに。

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