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詩集「月面戦争」  作者: 維酉
月面戦争
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 一度きりの恋だなんて、寂しいことをいうね。寂しいことだなんて、野暮なことをいうけど。遮光性のカーテンは安易に暗闇をくれて、デバイスのブルーライトが存在を放つ。光というのは線の束である。自我が思考の束に過ぎないように……わたしは暗闇を安易に受け入れて、それに哀しみなんてありきたりな言葉を預ける。束ねていたものがなくなり、ばらばらにほどけていく感覚……恋に引き裂かれるということ……いまは沈んでいくように初夏だ……


 あなたの使った言葉、いまでは煙みたく消えて、たぶんもとから掴めなかったもので、だから再考するに、それはやはり比喩ではなく煙だった。あまいにおいのする煙だった。煙というのはにおいの束であり、いずればらばらにほどける。それは一度きりのこと。だから寂しいと思った。


 一度きりの恋……それでいい、と思えるのならすてきだけど。暗闇はやさしくない。ただそこに在るだけで、そのことにやさしさも怒りもふくまれない。だからわたしはそこに哀しみを預けるのだ。凡ては思うように空っぽだから。

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