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偏食エルフの女王、逃げながら野食する!  作者: じごくのおさかな
第三章 愛に振り回される女王
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34 姫様、ご報告いたします


 儂の元には、様々な情報が届く。


 グリエッド大陸各地に巻いて作った、情報屋という繋がり。それを大いに利用して、それを売買する事を生業とする。そんな組織の頭をやっているのだから。


 リゼンベルグの一角、海の見えるこの小さな小屋にいても、それは変わらない。


「ナジャ姫様、ご報告いたします。

 プロヴァンスで起きたヒルカ創造事件ですが、フレデ様のお戯れによるものとの事です」

「……ふっふっふ、そうか。そうじゃろうな」


 自由になった矢先に王城に花を生やすとは、想像以上に自由すぎる。黒森林の力を大量に使ったことに対する驚きよりも、まったく変わらない彼女への呆れの方が大きい。


 早く顔がみたいのう。


「今はどの辺じゃ?」

「数日前にクルボアを出たそうです」

「まだ遠いの……」


 ボーレン達の方が先に着くのではないか。

 何しとるんじゃ、フレデは。


「ひたすら爬虫類を食べているそうです」

「……」


 あの娘は、昔から変わっていた。


 エルフの大国の王であるにも関わらず、歪んだ食生活。夫はいらぬと申し、人間と外交を始めようとした。その本心も食事のためじゃ。あの娘の原動力は、食事を根幹に置いた好奇心。


 あれでは、嫁げない。


「ふっふっふ、全く変わっておらぬな」


「ナジャ姫様、ご報告いたします。

 プロヴァンスより、使者が参りました。グロッソと名乗る者ですが…」

「……来たか。儂の客人じゃ。儂が出迎える」

「承知しました」


 夕日が沈む光景を見るのを諦めて、椅子から立ち上がる。



 現在、この王都リゼンベルグには多くの人が押し寄せている。ここが森化の影響が無い、安定した国だからじゃ。


 しかしその一方で、人が流出した地域は厳しくなる。

 この国は、完全に二分した。


 ……欲望とは、恐ろしいものじゃ。気付かないうちに足を取られる。自分の行いが今日はどうだったか、全ての生物が一日の終わりに自問すべきなのじゃ。


 特に、戦争ばかりやる人間は自身の志を疑おうとしない。その実態は人の為ではなく自己の為。彼らはそれを見て見ぬ振りをし、わざとらしく戸惑いながら卓上から指示を出す。その結果、死ぬのは未来ある若者達じゃ。


 そして、今来た客人は、そんな世界に嫌気がさした人物の一人。


「遅れました。お久しぶりです、竜の姫君」

「久しぶりじゃな、グロッソ。まぁ入れ」

「失礼します」


 この男も、昔から変わらぬ。

 自分の正義を貫くせいで、常に損を被っておる。



 さて、賽は投げられた。


 フレデ、お主はどこに辿り着く?


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