第七十七話 機械の階層、運命の指輪
僕達が食べていると、グレースがやってきた。
「やあみんな。美味しそうなものを食べているね」
そういうグレース。
「良いね、私も何か食べようかな~」
メリッサもやってきた。
「おはよう、グレース、メリッサ。何か食べたら?」
僕は言った。
「そうだね。メリッサ、何かおすすめある?」
そう聞くグレース。
「んー、本当に何でも食べられるからね、ここは」
そういうメリッサ。
「考えてみれば、その時点で常識外れだよね。まあVRゲームならではなのかもしれないけど」
グレースは言った。
「何でも、プログラマーの一人が異常なまでの料理マニアで、世界の料理を網羅してしまったとかなんとか」
そう言うメリッサ。そうなんだ……。
「僕ももう少し食べようかな。んー、せっかくだし、日本から遠い国の料理にするかな」
僕は言った。
「プレイヤーが多かった頃は、スパゲッティを食べていた女の子が多かったな」
シビラはそう言った。
「そらせやろ。お洒落で美味しいしな。そもそもここカフェという設定やし」
そういうカトリーナ。
「あはは、そういやそうだったんだね。忘れてたよ」
僕は笑った。
「それじゃあ、スパゲッティにしようかな。どういうのがあるの?」
グレースは聞いた。
「シンプルなペペロンチーノ、クリーミーなカルボナーラ、刺激的なプッタネスカとかがあるね。どういうのが好み?」
メリッサは言った。
「んじゃペペロンチーノにしてみようかな。聞いたことはあるね」
グレースはそう言った。
「正しくはアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノって言って、にんにくとオリーブオイル、唐辛子で作ったシンプルなスパゲッティだね。素材の味を楽しめるよ」
メリッサはそう言った。
「良いね。現実でも作ってみようかな。うちニンニクもオリーブオイルも唐辛子も作ってるんだよね」
そういうグレース。それも珍しいと思うが……。
「ええやんか。うちもそれにしよっと」
そういうカトリーナ。
「んじゃ僕もそれ食べようかな」
僕はそう言った。
ペペロンチーノを食べる僕達。辛みが効いて素晴らしい味だ。
「私は鰻丼でも食べようっと。もう現実じゃ食べられないよね」
そういうメリッサ。
「ありえない高さだしな。ここでないと食べられなくなりそうだ」
そういうシビラ。
僕達が食べていると、ソニックレイジのメンバーも集まってきた。おねえちゃんが来る。
「や。元気? カオリ」
そういうおねえちゃん。
「もちろんだよ、おねえちゃん」
僕は言った。
「私も来たよ。みんなはやいねえ」
そういうガリーナ。
「どうもー」
ミルヤも来たようだ。
「おはよー」
オリアーヌさんもやってきた。
「そういやさ、メリッサ。70層からはどういうパーティーで行くわけ?」
僕は聞いた。
「70層は『機械の階層』。こいつらは魔法や超能力が効かないんだよね。どうしても物理攻撃でどうにかするしかないよ。だから前衛三人とガリーナ、ミルヤ。後一人はアメリーさんが理想かな」
メリッサはそう言った。
「どうも、おはようございます」
アメリーさんもやってきたようだ。
「おはよー、アメリーさん!」
ミルヤが挨拶した。
「攻略パーティーは揃ったみたいだな。進むか?」
シビラが言った。
「僕は準備OKだけど」
僕は言った。
「私も良いよ」
ミレーヌはそう言った。
「私達ももちろん良いよ。もう行くの?」
ガリーナが聞いた。
「参りましょうか」
アメリーさんはそう言った。
僕達はパーティーを組み、70階へとワープした。
71階へと進む。青く光る謎の工場。謎の機械が動く。テクノ調の怪しげな音楽が鳴る。
「いよいよ後半戦、というか、終盤って感じだね」
僕は言った。
「私達の旅も終わりが近づいてるね。ちょっと寂しいけど」
ミレーヌは言った。
「始まりがあれば、終わりもあるものさ」
シビラは言った。
初めに登場したのは蛇型の機械。電撃を発しながら、襲い掛かってくる。
変則的な攻撃を食らい、ダメージを受けた。
「くっ」
腕に絡みつかれる僕。なんとか振り払おうとするが、離れない。
「ちっ! この!」
おねえちゃんが斬ろうとするが、敵が密着していて危険だ。躊躇するおねえちゃん。
電撃でダメージを受けてしまう。これはまずい。
「《白魔法:治癒Ⅱ》!」
回復してくれるアメリーさん。
「この!」
ぶんぶん、と振り回す僕。しかし外れない。どうすればいいのか……!?
『落ち着いておにいちゃん。壁とかに叩きつければ良いよ』
そういうメリッサ。
「よし」
その通りに壁に叩きつけ、何とか外した。
「とりゃー!」「てえい!」
ダダダダ、とライフル銃を連射するガリーナ。ミルヤの射撃が決まり、蛇は死んだ。
戦闘に勝利しました!
全員レベル63に上がった!
「難敵だね。魔法が通用しないってのがこんなに厄介だとは……」
僕はそう言った。
「私の白魔法も通用しないのですか?」
アメリーさんは聞いた。
『もちろん。とにかく物理で何とかするしかないんだよね。接近されると厄介な敵も多いから、射撃をベースに戦って』
そういうメリッサ。
「つまり私の出番だね。頑張るよ!」
そういうガリーナ。
「私も頑張って矢を撃つよ」
そういうミルヤ。
72階へと進む。トカゲ型のロボット2体が襲ってくる。
「とりゃー!」
ダダダダ、と銃を撃つガリーナ。命中し、一体を仕留めた。しかしもう一体へのミルヤの射撃は外れる。
僕に襲い掛かるトカゲ。僕は構えた。
「ふっ!」
敵の噛み付き攻撃を腕で弾き飛ばした。何か久々に成功した気がする。
「てえい!」「たあ!」
ミレーヌとシビラの連続攻撃。シビラの刺突が決まり、敵を仕留めた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル64に上がった!
「難敵ではあるけど、何とかなりそうだね」
僕は言った。
「そうだね。行ける行ける」
そういうガリーナ。
73階へ。相変わらず、意味不明の機械が色々動いている。
「そういえばここって何なの?」
僕は聞いた。
『何って何?』
そう聞くメリッサ。
「いや、このゲームファンタジーだと思ったのに、いきなりSFだしさ。謎じゃん」
僕はそう言った。
『何でも、古代エルフの王国の技術の残滓らしいけどね。まあ製作者の趣味でしょ』
そういうメリッサ。趣味なら仕方ないな。
登場したのは、空飛ぶ丸い警戒機械。3体が襲い掛かってくる。
「てえい!」
ダキューン、と見事敵を仕留めるガリーナ。ミルヤも射撃するが、当たらない。アーチャーが命中させるのは難しそうだ。
敵は2体。僕に襲い掛かる。
「はっ」
何とか一体の攻撃を弾くが、もう一体に突撃された。頭にぶつかり、吹っ飛ばされる。
「うぐ」
僕は倒れた。
「《白魔法:治癒Ⅱ》」
すぐさま回復してくれるアメリーさん。ありがたい。
「とりゃあ!」
斬撃を加えるミレーヌだが、かわされる。しかしシビラが敵を突き、仕留めた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル65に上がった!
「ありがとう。やるね、シビラ」
そういうミレーヌ。
「ここまで来たら、みんなで協力して何とかするしかないな」
そういうシビラ。もっともだ。
74階へ。金色に輝く人形が現れた。
『む、ガーディアンだね』
メリッサは言った。
「ん? なんだそりゃ」
そういうシビラ。
『倒せば良い物が手に入るかもね。強いから、気を付けて』
そういうメリッサ。
「お、そうなんだ。じゃあ気合入れて行くか」
シビラは言った。
襲い掛かる人形。まずはガリーナとミルヤが射撃する。こちらの戦い方もこなれてきた。
ガリーナの射撃は当たらないが、ミルヤの射撃が命中。派手にクリティカルが出た。
敵の攻撃は僕が防御する。うまく弾くことはできないが、敵を妨害する。
そこに切り込むおねえちゃん。
「《剣技:冷酷なる一撃『鈴蘭』》!」
上段からの刺突。
「《剣技:黄泉の旅路へ『彼岸花』》!」
腰薙ぎの一撃。
「《剣技:その首貰った『椿』》!」
そして横にくるっと回って、首への一撃。人形はバラバラになり、消滅した。
戦闘に勝利しました!
全員レベル67に上がった!
美しい宝箱が現れた!
「お、何かな?」
開けるミルヤ。
※ミルヤは ★★ガーネット を手に入れました!※
「へえ、綺麗な赤い宝石の指輪だね。付けても良い?」
そう聞くミルヤ。
『絶対ダメ!!!!!!!!!!!!!!!!』
大声で叫ぶメリッサ。
「えー、ケチ。何で?」
聞くミルヤ。
『あのね。それはプリンセス用で、しかも誰が付けても絶対外せなくなるんだよ。それはレナータさんに渡さないとダメだよ』
そういうメリッサ。
『いわゆる『運命の指輪』ですね。私も見るのは初めてですが』
そういうレナータ。
『もの凄く強力な指輪だから、適合しないともったいなさすぎだよ。心配しなくても、ミルヤのもあるからさ。手に入るかは知らないけど』
そういうメリッサ。
「へえ、これが噂の運命の指輪なんだね。そういや魔剣ってのもあるんだっけ」
そういうミルヤ。
『魔剣はなおさらだよ。適合しないジョブに装備するなんて最悪だしね。うっかり装備しないように細心の注意を払ってもらわないと……』
メリッサは言った。




