第七十一話 ボス戦 VSティラノサウルス
その次の日。
僕達はまた、ダンジョンへと潜った。パーティーは同じ。つまり、僕、ガリーナ、ミルヤ、カトリーナ、アメリーさん、メリッサの6人だ。
「さあ、今日こそティラノサウルス狩りに行こうね!」
そういうミルヤちゃん。確かにアーチャーは非常に強く、もはや狩りゲーと化してきた気はする。
「油断は禁物だよ、ミルヤ。まだボスにも辿り着いてないしね」
ガリーナは忠告した。
「大丈夫だって。みんなで協力すれば、どうにかなるよ」
ミルヤは楽観的だった。
僕達は更に進む。58階へ。
登場したのは大きな鷲だ。空から襲い掛かってくる。
「はっ!」
すぐさま矢を放つミルヤ。見事命中し、落とした。
戦闘に勝利しました!
全員レベル54に上がった!
「レベルも順調に上がってきたね」
僕は言った。
「60もあと少しですね」
アメリーさんが言った。60になれば、第四の切り札も解禁される。
「休憩の必要も無いな。このまま行くか?」
カトリーナは聞いた。
「まあそうだね。ティラノサウルスは攻撃力が高いから、接近されたら注意して。まあ、おにいちゃん以外が近づくのは自殺行為だけどね。おにいちゃんもしっかり防御してね」
メリッサはそう言った。
「わかった。距離を取って戦う感じかな?」
僕は聞いた。
「そうだね。まあおにいちゃんは私達を守ってくれないと困るけど……。無理はしないでね」
メリッサは言った。
「グラップラーなんやから大丈夫やろ」
カトリーナはそう言った。
「そうそう。おにいさんには甘いんだから、メリッサは」
ミルヤはそう言った。
僕達は59階へと進んだ。
新しいボス戦の音楽が鳴る。巨大な顔と牙、強靭な肉体の肉食獣。
生物界の王者、ティラノサウルスの登場だ。
「人類の力見せてやる! とりゃー!」
ズギューン! と銃を放つガリーナ。見事命中する。
「私も行くよ! てえい!」
ビシュン! と矢を放つミルヤ。命中し、クリティカルも発生する。順調な滑り出しだ。
ドドドド、と高速で走り込んでくるティラノサウルス。僕がその前に立つ。鋭い牙で噛み付く恐竜。ガシュ、と腕を噛まれた。
「ぐう!」
防御したつもりだったが、完全に失敗した。大ダメージを受け、後退する。
「《白魔法:治癒Ⅳ》!」
アメリーさんの回復魔術が詠唱される。数秒後、発動し僕は回復した。
「油断大敵だよ、おにいちゃん! 《超能力:精神弾》!」
ビシイ、と精神の弾がメリッサから放たれ、命中。ダメージはわずかだ。
「《赤錬金:攻撃のカードⅡ》!」
味方の攻撃力を上げるカトリーナ。
ミルヤもガリーナも攻撃を続ける。ダメージはたまるが、ティラノサウルスのヒットポイントは多い。まだまだしぶとそうだ。
メリッサへと突撃する恐竜。僕はそれを妨害する。激怒し、僕に食らいつく恐竜。必死で防御しようとするが、攻撃が速すぎて受け損なう。
ズシャシャ、と腕を裂かれてしまう。ダメージが重い。
「ああ! 《白魔法:治癒Ⅲ》!」
アメリーさんが回復してくれる。これならなんとかなりそうだが。
「耐えてや! 《赤錬金:威圧のカード》!」
バシイ! とカトリーナのカードが発動。敵の動きをわずかに遅くした。
「もう少し頑張って、おにいさん!」
そう言って銃撃を放つガリーナ。
「そうそう! 根性見せなよ!」
そういうミルヤ。矢を放つ。
ボスのライフゲージが半分を切った。ここまで来ると、何となくやる気が出る。
当然のように僕へと噛み付くティラノサウルス。気に入られたか!? それにしても攻撃が変則的な上に速く、とても受けきれない。
「《白魔法:治癒Ⅲ》!」
ダメージを受けるたびにアメリーさんがしっかり回復してくれる。情けないけど、ありがたい。
「《第三の切り札:超減速》!」
メリッサがトランプを放つ。ティラノサウルスの動きが極端に遅くなる。
「《第三の切り札:覚悟》! とりゃー!」
自身の攻撃力を高めるガリーナ。連射し、ダメージを与える。
「それじゃ行くよ! 《第二の切り札:アルテミス》《第三の切り札:インドラ》!」
一気に攻撃力を高めるミルヤ。
「食らえ!」
ビシュン! と矢が放たれ、突き刺さる。バリバリ、と電撃が放たれ、凄まじいダメージが入った。
「んじゃウチが止めを! 《第三の切り札:星》!」
カトリーナが流星を落とし、ティラノサウルスを仕留めた。
戦闘に勝利しました! 初めてティラノサウルスを倒した!
10000ジェニーを手に入れました!
全員レベル55に上がった!
宝箱を発見しました!
「お、出たね。何が出るかな?」
僕は開けた。
※カオリは ★魔力の指輪 を手に入れました! ※
「おお! やったねおにいちゃん! グレースの装備だよ!」
喜ぶメリッサ。
「お、そうだね」
僕はそう言った。
『私が役に立つかな?』
グレースは聞いた。
「絶対役に立つよ。60層は物理攻撃がほとんど効かない敵が出てくる難所だからね。どうしてもメイガスの力が必要なんだよ」
メリッサは言った。
「対人戦でもそうだったけど、メイガスって重要なんだね」
僕はそう言った。
「そりゃまあ、主人公みたいなものだからね」
メリッサは言った。
『そうなんだ。知らなかったよ』
グレースは言った。




