第六十九話 ダンジョンに潜ろう
ライバルチームを全て倒し、この世界には僕達12人だけとなった。って言うと何か悲しくなるけど、まあ仕方ない。そういうゲームなんだろう。
僕達はいよいよ、ダンジョン攻略を再開することになる。ここは50階。100階まではまだまだ長い道のりだ。
「それじゃあ進もう! 腕がなまってしょうがないよ」
そういうミルヤちゃん。
「そうだね。私も使ってくれるよね?」
そう聞くガリーナ。
「次の目標はまあ、59階のボス、『ティラノサウルス』ですね。単純に強いですよ。下手なパーティーだと死人が出て終わりますね」
そういうメリッサ。
「せっかく対人戦に勝ったのに、ボスに負けて終わるのは悲しすぎるね」
僕は言った。
このイベントでは、対人戦以外の死亡は許されない。一度でも一人でも死ねばチャレンジ終了だ。これは、RPGとしては結構厳しいと思う。
「それでどうするんだ、メリッサ? まさかここで諦めるとか言わないよな?」
そう聞くシビラ。
「まさか。んー、色んな対策があるけど、基本的には『ガンナー』と『アーチャー』で戦えば何とかなると思うよ。おにいちゃんなら何とかなるかもしれないけど、接近戦は危険だよ」
メリッサは言った。
「常識的に考えてティラノサウルスと殴り合うとかありえないしね」
ミレーヌはそう言った。
「まあ確かに。あまりやりたくもないね」
僕は言った。
「しかし前衛も必要なのではないですか?」
アメリーさんが言った。
「まあ、そうだね。おにいちゃんとガリーナ、ミルヤ、私、アメリーさん、後一人は、んー、カトリーナかな」
そういうメリッサ。
「え、ウチ? もう出番無いかと思ったわ」
カトリーナは言った。
「射撃パーティーなら赤錬金もありだしね。無理はしないでね」
メリッサは言った。
「わかったで」
カトリーナはそう答えた。
そんなわけで、僕達は久々にダンジョン攻略に戻った。階段を登り、51階へと進む。
広々とした荒野。南米っぽい感じの音楽が鳴り響く。新世界の趣だ。
まず登場した敵は、コボルト三体。小鬼だけど結構でかい。棍棒を持っている。
「大した相手じゃないけど、攻撃力は高いよ。気を付けてね」
メリッサは忠告した。
「ほないくで! 《赤錬金:攻撃のカードⅡ》!」
カトリーナは、強力なカードで味方全員の攻撃力を大幅に上げた。
「しっかり合わせて……、てえい!」
ライフルの照準を合わせ、撃つガリーナ。しかし外れた。
「なまってるんじゃないの、ガリーナ?」
そう言って矢を放つミルヤ。命中し、一体を仕留めた。
襲い掛かる敵2体。一体は僕に棍棒を振り上げ、降ろしてきた。僕はその攻撃を左腕で弾く。
「はあ!」
ドーン、と右腕の正拳突きを食らわした。モンスター相手に手加減は必要ないだろう。見事に決まり、倒した。
「《超能力:精神破壊》!」
メリッサは強力な超能力を放ち、敵を混乱させる。ガリーナが撃ち、仕留めた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル44に上がった!
「んー、ライフルの射撃は当てたいんだけどなあ」
そういうガリーナ。
「まあ、外れることもあるから、仕方ないね」
ミルヤはそう言った。
何も無い荒野を進む。52階へ。
現れたのは二匹の狼だ。つがいだろうか? もちろん襲ってきた。
「《赤錬金:命中のカード》!」
カトリーナが支援魔術を放つ。味方全員の命中が強化される。
「よーし、今度こそ!」
ダキューン! とライフルを放つガリーナ。まず一匹を仕留め、さらにもう一匹も仕留めて見せた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル45に上がった!
「お見事、ガリーナ」
僕は言った。
「えへへ。まあね!」
得意になるガリーナちゃん。
「こうして見ると、錬金術と言うのも役に立つのですね」
アメリーさんは言った。
「せやろ? 赤錬金かて役に立つんやで。まあ対人戦ではイマイチかもしれんけどな」
カトリーナはそう言った。
53階へと進む。上空から隼が攻撃してきた。
「奇襲攻撃というわけだね。てえい!」
ガキューン! とライフルを放つガリーナ。見事命中し、隼を仕留めた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル46に上がった!
「ナイス、ガリーナ」
カトリーナは言った。
「任せときなよ」
ガリーナは胸を張った。
54階へ。ダダダ、と蹄鉄の音がして、騎兵が襲ってきた。
弓矢を構え、撃ちこんでくる。ビシュン!
「この程度!」
僕はその矢を弾き飛ばした。すぐさま、ガリーナが銃を放つが、当たらない。ミルヤが弓矢を構えた。
「たあ!」
シュパッと矢が放たれ、馬に命中。ヒヒーン、といなないて馬は倒れ、落馬する兵士。
「《赤錬金:必殺のカード》!」
味方全員のクリティカル率を向上させたカトリーナ。すぐさま、ガリーナが銃を構えた。ダーン、と撃つが外れる。ミルヤの射撃も外れた。
弓矢を放つ敵。僕はそれを弾き、接近する。
「てえい!」
ドゴオ! と顔面を殴った。悶絶し、兵士は倒れた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル47に上がった!
「お見事です。さすがですね、カオリさん」
アメリーさんはそう言ってくれた。
「ありがとう、アメリーさん」
僕はそう言った。
55階へと進んだ。あたりは暗くなり、夜になった。星が美しく輝く。澄んだ空気の夜の荒野は神秘的で、冒険してる感はする。
暗闇の中、登場したのは赤い悪魔。大きな槍を持っている。
「悪魔だね。強そう」
ミルヤが言った。
「んー、まあそれ程でもないと思うよ。弱くは無いけどね」
メリッサはそう言った。
「《赤錬金:命中のカードⅡ》!」
カトリーナが強力なカードを使った。味方全員の命中率が大幅にアップした。
「てえい!」
バシュン! と矢を放つミルヤ。命中する。ガリーナの射撃も命中した。悪魔は倒れた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル48に上がった!
「どうってことはないね」
ガリーナは言った。
「そうでしょ? そんな難敵は出てこないよ」
メリッサは言った。
56階へ。暗闇の中、フードを被った敵が二人。
「ゴブリンメイジみたいだね。ま、大した相手では無いよ」
メリッサはそう言った。
「よーし、やっちゃうぞ!」
そう言って、突撃するガリーナ。敵一体をライフルで射撃する。
命中し激怒する敵。魔術を詠唱する。
「……《赤魔法:火炎球》!」「《超能力:否定》!」ガキン キュウン
その魔術はメリッサがキャンセルした。
「《赤錬金:沈黙のカード》!」
カトリーナの錬金術が発動。敵一体の魔術を封じた。
僕は突撃する。ミルヤの矢が放たれ、一体を仕留めた。もう一体は魔術を封印されている。
「はあ!」
僕は拳で攻撃した。浅い。しっかり足を踏みしめ、もう一撃を加えた。今度は完璧に決まり、仕留めた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル49に上がった!
57階へと進んでいく。
「結構進んだね。注意点とかある?」
僕は聞いた。
「特には無いね。この階層はそんなに危険じゃないよ。と言っても、宝物庫でもあれば別だけど」
メリッサはそう言った。
※宝物庫を発見しました※
「おお、噂をすればなんとやらやな」
笑うカトリーナ。
「どうするの?」
そう聞くミルヤ。
「んー、まあ問題ないかな。このパーティーなら勝てる相手だろうし。避ける手もあるだろうけど、弱気すぎるね」
メリッサは言った。
「どんな敵が出てくるの?」
僕は聞いた。
「さすがにそこまではわからないね。ただ、『恐竜』が出てくる可能性はあるよ」
メリッサはそう言った。
「そういえば、ここのボスはティラノサウルスだと言ってましたね。恐竜と魔法少女って関係あるんでしょうか……」
そういうアメリーさん。
「ま、どうでもいいじゃん。宝物庫、入るんでしょ?」
ミルヤは言った。
「そうだね。んじゃちょっと休憩したら、入ろうか」
そう言ってメリッサは、キャンプを立てた。




