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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第一章 始まりの階層 1階~10階
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第七話 朝市


 次の日の朝。

 チュンチュン…… と鳥の声が響く。僕は大分早くに起きたようだ。まだ6時ぐらいだ。

 

「うーん……」

 体を伸ばす。調子は良さそうだ。

「散歩でも行くかな」


 春風家のみんなはまだ寝ているだろう。僕は靴を履き、外へ出た。

 

 爽やかな涼しさが広がる。夏でも島の朝は涼しい。

 

 こうやって朝の散歩をするのは好きだった。のんびりとした時間が流れる。まるでこの世界に自分だけが住んでいるようだ。

 

「ふわあ……」

 欠伸をして、街の中心部へ向かった。

 

 大した島ではないが、まあ一通りのものは揃っている。スーパーに診療所、銀行とか。

 中央の広場ではたまに朝市が開かれている。僕はそこへと向かった。

 

 するとそこには、準備をしている女の子が居た。あれは、桃花だ。

 とても綺麗になっていたので、びっくりしてしまった。

 

「おはよう」

 僕は声をかけた。

「ん? ああ、薫? 久しぶり……あ、でも昨日ゲームで会ったよね」

 笑う桃花。とても可愛い。髪型もお洒落だ。

「そういえばそうだね。考えてみりゃ、ゲームではいつでも会えるよね」

 僕はそう言った。

「冗談じゃないよ。実際に会わなきゃ意味無いじゃん」

 桃花はそう言った。

 

 桃花は、炭火を準備していた。何か焼くようだ。

 

「手伝おうか?」

 僕は聞いた。

「ありがたいね。じゃ、あそこの荷物を持ってきてよ」

 桃花はそう言った。

 

 僕は仕事を手伝う。桃花の家は両親揃って漁師だ。子供が多く、生活は楽ではないはずだ。みんなどうしてるかな。

 

「みんな元気にしてる?」

 僕は聞いた。

「もちろん。また遊びに来なよ。みんな喜ぶからさ」

 桃花はそう言った。

 

 準備はできたようだ。桃花は炭火に火をつけた。

 

「何か焼くの?」

 僕は聞いた。

「ご馳走してやるよ。あ、でもお金は払えよ!」

 そういう桃花。ちゃっかりしてるな。

 

 桃花は適当に網に貝を並べる。ツブ貝やカキ、アワビも焼いている。

 

「豪華じゃん」

 僕は言った。

「へへ、そりゃもう。最高においしいよ」

 桃花は言った。

 

 良い感じに焼けたので、食べ始めた。実際最高に美味しい。

 

「おいしい! こりゃ最高だわ」

 僕はそう言った。

「そりゃそうだろ」

 桃花はそう言って食べていた。

 

 僕はお金を払おうとしたが、匂いにつられたのか、横から女の子たちが寄ってきた。

 

「桃花、何焼いてるの? 私も頂戴」

「……わたしも~ おいしそう~」


 頭の良さそうな女の子と不思議な女の子。いつも桃花の側に居る、向日葵さんとほたるさんだ。

 

「やあ、久しぶりだね」

 僕はあいさつした。


「あ、薫じゃん。島に帰ってたの?」

「あ~、薫くんだ~。久しぶり~~」

 やたらのんびりしゃべるほたるさん。眠くなりそうだ。

 

「あんたらも来てたのか。食べても良いけど、ちゃんとお金を払ってね」

 そういう桃花。

「桃花ったら厳しいんだから……。薫君と食事出来て嬉しいんじゃないの?」

 向日葵さんはそう言った。

「は、はあ!? そ、そんなことはないし!」

 慌てる桃花。

「え~嘘~。桃花ちゃん薫くんと仲良いじゃん~」

 そういうほたるさん。

 

「そ、そんなのは昔の事だし……。ああ、そういえばこいつ、『マジックガールズ』をやってたぞ」

 そういう桃花。

「え!? そうなんだ。薫くん、そんな趣味が……!」

 そういう向日葵さん。

「いや、そんな趣味は無いから。春風の二人がやれって言うからさ」

 僕は言った。

「あはは~、そうなんだ~。てっきり薫くんが変態になったかと~」

 さらっと酷いことを言うほたるさん。

 

「賞金も出るみたいだし、やっても良いけどね。そういえば二人はやってるの?」

 そう聞く僕。

「もちろんだよ。『ソニックレイジ』は私達のチームだしね」

 向日葵さんは言った。

「薫くんが入ってくれるなら心強いね~。私達弱小チームだからさ~」

 そういうほたるさん。

 

「あたしたちはこの島のゲーセンでやってるんだよ。VRゲームの機器は高いからな。春風家の連中は持ってるんだろうけどさ」

 そういう桃花。

「なるほどね。懐かしいな、行ってみようかな」

 僕は言った。

「良いんじゃないか? ま、大したゲームは無いけどな」

 桃花は言った。

「古いゲームばっかりだよね。寂れまくってるし……」

 向日葵さんは言った。

「だよね~。まあVRゲームの機器があればネットで色々できるけどね~」

 ほたるさんはそう言った。

 

 僕はお金を桃花に払った。

 

「それじゃあ、僕はそろそろ帰るよ。ありがとうね」

 僕はそう言った。

「じゃあな」「さよなら」「さよなら~」

 三人に言われて、僕はそこを去って行った。

 

 

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