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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第六章 荒野の階層 50階~60階 弱肉強食の対人戦
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第六十七話 最後の決闘 スカイスナイパーズ VS ソニックレイジ


 その日も僕は、ゲーム世界に潜った。

 

「や、カオリか」

 城に行くと、グレースが居た。相変わらず、魔術師っぽい服装をしている。

 

「どうも。スカイスナイパーズは?」

 僕は聞いた。

「決闘を挑んできたよ。今日の昼に戦うんだって」

 グレースは言った。

「そっか。まあ、そうなるよね」

 僕は天を仰いだ。

 

「カオリは怖くないの?」

 グレースは聞いた。

「ん? 何が?」

 僕は聞き返した。

「戦うことだよ。誰かを傷つけるかもしれないじゃん。それって、良くない事だと思わない?」

 そう聞くグレース。

 

「そうだね。でも、黙っていたらもっと傷つく人もいるかもしれない。誰かを守るための力こそ正しい力だと思うよ」

 僕はそう言った。

「正しい力、か……。そうかもね。薫は優しいね」

 グレースはそう言った。

「向日葵さんだって、優しいからそんなことを言うんですよ」

 僕はそう言った。

 

「こんにちは~、カオリさん」「やあ、おにいちゃん」「どうも、カオリ」

 イリーナ、メリッサ、ミレーヌが挨拶してくれた。

 

「どうも。決闘の時刻は?」

 僕は聞いた。

「確か2時だよね」

 おねえちゃんはそう言った。

 

「そうそう。結局どういう風に戦うんだっけ?」

 グレースは聞いた。

「んー、難しい所だね。あのガンナー相手に小手先の技が通用するとは思えないよ」

 メリッサは言った。

 

「正々堂々、正面から戦うしかないだろうな」

 僕はそう言った。

「そうだね。私も頑張るよ」

 ミレーヌはそう言った。

 

「あれ、カオリもミレーヌもここに居たの? シビラは訓練場に居るよ」

 そういうガリーナ。僕達は訓練場に向かった。

 

「たあ!」

 ドスドス、とサンドバッグに槍を突き出すシビラ。

 

「シビラ、精が出るね」

 僕はそう言った。

「ああ、カオリか。いやいや、これからいよいよスカイスナイパーズとの戦いが始まるんだよ」

 そういうシビラ。

「そうだね。私も訓練しようかな」

 ミレーヌは言った。

 

「ただちょっと気になってさ。今回、私達『ガンナー』と戦うじゃないか。しかも超強いみたいじゃん」

 そういうシビラ。

「そうだね。それが?」

 メリッサは聞いた。

 

「いや、どう戦えばいいかと思ってさ。どう考えても、銃で滅多撃ちにされて負けるイメージしかわかないんだけど」

 そういうシビラ。

「確かにそうだよね。どうするの?」

 僕も聞いた。

 

「んー、私が前進するという手もあるけど、多分殴られて死ぬし……。やはり『防御技』で防ぐしかないね」

 メリッサは言った。

「いやいや、無理でしょ。相手は銃なんだよ!」

 叫ぶミレーヌ。

 

「現実では無理だけど、このゲームだと不可能ではないよ。ちょうどいいじゃん、ガリーナ、適当に撃ってみてよ。この三人を」

 恐ろしい事を言うメリッサ。

「良いけど、良いの?」

 拳銃を構えるガリーナ。

 

「ここだと安全だよ。訓練場だしね。タイミングを合わせる練習をしといた方が良いよ。グラップラー、ソードマスター、ランサーはそれぞれ防御技が使えるしね。まあ総合的に見ると、グラップラーが防御技は一番充実してるんだけどさ」

 メリッサは言った。

「銃弾を防ぐ防御技か……。現実では絶対に無理だね」

 僕は構えた。

 

「とりゃー!」

 ガキュンキュン! と撃つガリーナ。

 僕は防ごうとするが、全然遅かった。銃弾を食らう。

「うぐ……」

 ダメージは受けたが、すぐに回復する。ここだと問題ないようだ。

 

「もう一度お願い」

 僕は言った。

「オッケー。たあ!」

 バキューン! と撃ってきた。

「てえい!」

 ガキン、と腕で弾き、銃弾を防いだ。

 

「ナイスだね、カオリ。んじゃ私にも撃ってきてよ」

 そういうミレーヌ。

「良いよ。んじゃ三人に適当に撃つからさ、頑張って防いでよ」

 そういうガリーナ。

「分かった。頼むぞガリーナ」

 シビラはそう言った。

 

 ダダダダ、と連射するガリーナ。ミレーヌは防ぎそこねたが、シビラと僕は上手く防いだ。

 

「あう、難しいね」

 ミレーヌはそう言った。

「練習すれば何とかなりそうだけどな」

 シビラは言った。

「実戦まであと少ししかないし、この感覚には慣れておきたいね」

 僕は言った。

 

 ※決闘30分前になりました。控室へ移動します※

 

 僕達は控室へワープした。

 

「ふう、もう訓練はできないね」

 僕は言った。

「そうだね。後は戦術の確認か……」

 そういうメリッサ。

「いかがなさるので?」

 アメリーさんが聞いた。

 

「まあ何とも言えないね。難敵だしさ。ブリュンヒルデを序盤で仕留めれば勝てるだろうけど、さすがにそれは欲張り過ぎだと思うし」

 そういうメリッサ。

「とはいえ、ガンナーはそんなにヒットポイント高くないから、上手く行けば仕留めることはできるはずだけどね」

 グレースは言った。

 

「敵もそれは許してはくれないだろうけどな。ただこちらは前衛三人いるわけだし、何とかガンナーを仕留めたいな。ただあいつ、格闘戦も強いみたいなんだよな……」

 そういうシビラ。

「僕としても、戦ってみたい相手ではあるけどね。何とか倒したいよ」

 僕は言った。

「いずれにせよ、カオリでないと勝てないかもね。私達は敵の前衛を抑えるか、もしくは敵の後衛に飛び込むか、かな」

 ミレーヌは言った。

 

「何とか敵の後衛を仕留められれば勝ちパターンだけどね。ただそれはかなり危険かな。逆のパターンもありえるから」

 メリッサは言った。

「結局、敵の前衛を何とかしないと勝てない。そしてあのガンナーをどうするか、か」

 シビラは言った。

「話が戻っちゃったね。まあ、それだけあのガンナーがこの戦いでは重要、ってことだね」

 僕はそう言った。

 

 ※決闘5分前になりました。決闘場にワープします※

 

 時間は過ぎて行く。決闘の時間が近づく。

 

 最後の決闘だ。手に汗握る。

 


スカイスナイパーズ

 ヒーラー、メイガス、テレパス

 グラップラー、ソードマスター、ガンナー



ソニックレイジ

 グラップラー、ソードマスター、ランサー

 テレパス、ヒーラー、メイガス



 メンバーが発表された。もう逃げ場はない。ほぼ同じようなメンバーだ。

 

「決着の時だな。楽しみにしてたよ」

 ブリュンヒルデはそう言った。

「正々堂々、決着を付けよう」

 僕は言った。

「もちろんだ」

 ブリュンヒルデはそう言った。

 

「まさかあなたと戦うことになるとは、思ってませんでしたけどね」

 メリッサは言った。

「そうだな。まあ、こういうこともあるさ」

 ブリュンヒルデはそう言った。

 

 構えるスカイスナイパーズの6人。みんな本気モードだ。手加減は無いだろう。

 こちらも構える。

 

 あくまでゲームだけど、この戦いは真剣だ。まあお金がかかってるのもあるけど……。でもそういう事じゃなくて、本気で、全力を尽くして戦う。その価値はきっと、お金では測れないだろう。

 

「みんな、油断するなよ」

 ブリュンヒルデはそう言った。

「はい、リーダー」「もちろんです」

 答えるスカイスナイパーズのメンバーたち。

 

「私も何かかっこいいこと言った方が良いかな」

 そんなことを言うシビラ。

「いやいや。そこは真面目にしなよ」

 文句を言うミレーヌ。

「まあ、シビラらしいかもね」

 僕は言った。

 

 ※戦闘5秒前です※

 ※4※

 ※3※

 ※2※

 ※1※

 ※はじめ!※

 

 ついに最後の決闘が始まった。泣いても笑っても決勝戦だ。

 

「前進します!」

 敵のグラップラーが突撃する。ソードマスターが続く。ブリュンヒルデは銃を構えた。

 ガキューン、とこちらに撃ってくる。

「くっ!」

 防ごうとしたが、間に合わない。僕はダメージを受ける。

「《白魔法:治癒》!」

 回復してくれるアメリーさん。

「たああ!」

 攻撃する敵グラップラー。その攻撃を防ぎ、顔面に拳の一撃を加えた。

「うあ!」

 後退するグラップラー。そこにミレーヌが襲い掛かる。

「《剣技:豪壮なる刺突『蘭』》!」

 凄まじい刺突が決まり、のけぞるグラップラー。

「《剣技:痛みを知れ『薔薇』》!」「くう」

 グラップラーはその三連刺突攻撃をかわし、逃亡する。

 

「《白魔法:治癒》」

 回復する敵ヒーラー。グラップラーは回復した。

 

 睨み合う12人。お互い様子見だ。妨害魔法も使っていない。その隙を突かれる可能性があるからだ。

 

「ふう……」

 僕はため息をついた。敵も息を上げている。

 

「前進する! 行くぞ!」

 シビラは前進した。敵ガンナー、ブリュンヒルデへと向かう。

「上等! 食らえ!」

 ダキューン! とスナイパーライフルを放つブリュンヒルデ。だがシビラは槍を回し、その攻撃を弾いた。

「何!?」

 驚くブリュンヒルデ。そこにシビラは襲い掛かる。

「たあ! 《槍技:流星槍》!」

 突撃するシビラ。ブリュンヒルデは避け損ない、その攻撃を食らった。

「ぐあっ……」

 撤退するブリュンヒルデ。

「《白魔法:治癒Ⅲ》」「《超能力:否定》!」「《超能力:否定》!」「《青魔法:魔法解除》」「《青魔法:魔法除去》!」ガキン キュウンキュウンキュウンキュウン

 回復魔法は成功し、ブリュンヒルデは回復した。

 

「すまない」

 謝るブリュンヒルデ。

「リーダー。頑張ってください!」

 応援するヒーラー。

 

「大した連携だね。これは勝つの難しいよ」

 僕は言った。

「妨害魔法の数も拮抗してるしね。逆に言えば、ヒーラーの回復は通るだろうけど……」

 そういうメリッサ。


「でも魔力はいずれ尽きます。ここは長期戦も覚悟しましょう」

 アメリーさんは言った。

「そうだね。無理は禁物だよ」

 グレースは言った。

 

 陣形を整える両チーム。前衛と後衛が分かれる。ブリュンヒルデは中間点に立つ。

 

「《赤魔法:火炎球》!」「! 《超能力:否定》!」ガキン キュウン

 グレースの魔術はキャンセルされた。

 

「《超能力:精神波動》!」「《超能力:忘却》!」ガキン キュウン

 敵のテレパスの超能力はメリッサにキャンセルされた。

 

「魔術はほぼ通用しないですね」

 アメリーさんが言った。

「そうだね。やるしかないか……!」

 僕は前進した。

 

「なめるな!」

 ダキューン! と撃ってくるブリュンヒルデ。僕は受けようとするが、失敗する。ダメージを受けた。

「《白魔法:治癒》」「《超能力:否定》!」ガキン キュウン

 回復魔法は妨害された。

「もらった! 食らえ!」

 攻勢をかけてくる敵のソードマスター。

「《剣技:一刀両断『桜』》!」「くっ」

 凄まじい斬撃。僕はダメージを受けた。

「もらった! 《剣技:一刀両断『桜』》!」

 更に斬撃。僕のヒットポイントが危険水域に達する。

「終わりだ! 《剣技:一刀両断『桜』》!」

 凄まじい斬撃。だが僕はそれをかわした。

「はああ!」

 そこから、後ろ回し蹴りを放つ。胸に命中し、吹っ飛ぶ相手。更に蹴りを加える。

「うへえ」

 混乱する相手。逃亡した。

 

「《白魔法:治癒Ⅲ》」「《青魔法:魔法解除》!」ガキン キュウン

 敵ヒーラーの回復魔法はグレースがキャンセルした。

 

 もう回復は許されそうにない。僕は限界が近い。相手のソードマスターもだ。危うい状態になった。

 

「《赤魔法:雷撃》!」「《超能力:否定》!」「《超能力:別れ》!」「《青魔法:魔法消去》!」ガキン キュウンキュウンキュウン

 敵メイガスの魔術は何とか味方がキャンセルしてくれた。

 

「《白魔法:治癒Ⅲ》!」

 アメリーさんの回復魔法が発動する。僕は回復し、持ち直した。

 

「よし! 突撃!」

 ミレーヌが突撃する。守る敵のソードマスター。

「《剣技:流麗なる一撃『菊花』》!」「うっ」

 ズバ! と横なぎ斬撃が決まる。

「もらった! 《剣技:黄泉の旅路へ『彼岸花』》!」

 横に回転しての横斬撃。命中し、ソードマスターはついに倒れた。

 

「ちっ! よくも!」

 ライフルを捨て、拳銃で撃つブリュンヒルデ。しかしおねえちゃんはその攻撃を剣で弾く。

「《赤魔法:天罰》!」「《超能力:否定》!」ガキン キュウン

 グレースの強力な魔術はキャンセルされた。


「《白魔法:月光弾》!」

 敵ヒーラーの攻撃魔術。アメリーさんに命中する。

「《白魔法:治癒》」

 自分を回復するアメリーさん。問題ない。

 

「くらえ!」

 ブリュンヒルデに接近するミレーヌ。ブリュンヒルデは銃を捨て、剣を手に取った。

「《剣技:華麗なる一撃『撫子』》!」「《剣技:雨に濡れよ『菖蒲』》!」

 ガキイン、と二つの剣がぶつかる。火花が散る。

「《剣技:一刀両断『桜』》!」「《剣技:一刀両断『桜』》!」

 お互いに上段からの一撃。しかし、ソードマスターの剣攻撃は通常の2倍の威力。ここでジョブの差が出て、ブリュンヒルデは剣を砕かれ、斬撃を食らった。

「ぐわっ!? くそう……」

 大ダメージを受け、下がるブリュンヒルデ。ミレーヌを妨害するように、敵のグラップラーが間に入る。

「《白魔法:治癒Ⅲ》!」「《超能力:否定》!」「《超能力:否定》!」ガキン キュウンキュウン

 ブリュンヒルデは回復した。

 

 まだ戦いは、分からない。ブリュンヒルデは更に拳銃を取り出し、撃つ。狙いはシビラ。しかしシビラはそれを槍で弾く。

「くそ、こいつら銃対策を立てて来たか……」

 後退するブリュンヒルデ。

 

「《白魔法:星光波》!」

 強力な攻撃魔術を放つアメリーさん。

「くっ……。《超能力:否定》!」ガキン キュウン

 アメリーさんの魔術はキャンセルされた。

「《超能力:精神波動》!」「《青魔法:対抗魔術》」ガキン キュウン

 メリッサの超能力はキャンセルされた。

「《赤魔法:超新星爆発》!」

 最強魔術を詠唱するグレース。

「《超能力:否定》!」「《超能力:否定》」「くっ……《青魔法:魔法消」ガキン キュウンキュウン

 敵魔術師はキャンセル魔法を詠唱したが、一歩遅れた。

 ドーン、と大爆発が起き、スカイスナイパーズは壊滅した。

 

 決闘は、ソニックレイジの勝利になった。

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