第六十四話 ピアニスト
二学期が始まり、僕はまた高校に戻ってきた。
空手も大事だけど、勉学もさぼるわけにはいかない。将来の事を考えれば、勉強することが一番大事だ。
学校には全然勉強する気が欠片もない奴も居るけど、そういう風にするわけにもいかない。
キーンコーンカーンコーン……。
授業も終わり、部室へと行く僕。
すると途中で、ピアノの音を聞いた。聞いたことのある曲だ。
僕はその部屋をのぞいてみた。女生徒の人が、ピアノを弾いている。とてもうまい。
弾き終わったようだ。僕は話しかけてみた。
「どうも、上手ですね」
僕はそう言った。
「ん? ああ、聞いてたのね」
彼女はそう言った。
「見ない顔ですけど、あなたは?」
僕は聞いた。
「転校生ですよ! この学園は才能ある人を集めまくってますからね。ピアノの天才である私を呼んだわけですね!」
そういう彼女。うーん、自信満々だ。
「今の曲は?」
僕は聞いてみた。
「ふふ、私の作ったオリジナル曲ですよ!」
そういう彼女。
「そうなんですか? でも何か聞いたことあるような……」
僕は言った。
「ん? この曲は『マジックガールズ』の中でしか弾いたことありませんけど」
そういう彼女。
「! まさかそのゲームを!?」
驚く僕。
「え? マジックガールズをやってるんですか?」
驚く彼女。若干引いている。
「ああ、すいませんね。従妹にやらされまして……」
僕はそう言った。
「へえ、そうですか。まああのゲームも意外と宣伝になるのかもしれませんね……」
そういう彼女。
「もうプレイヤーも減ってきて、あまりやってる人居ないと思いますが」
僕はそう言った。
「私は『レナータ』という名前でやってるんですよ」
そういう彼女。
「! あ、そうなんだ……。僕は『カオリ』ですが」
同じクラスだった。
「カオリさんでしたか……。こりゃどうも」
そういう彼女。ちょっと頭を下げた。
「いやいや、こちらこそ」
僕も頭を下げた。これはかなり恥ずかしい。
「皆さんカオリさんを待ってましたよ。行ってあげてくださいよ」
そういうレナータの中の人。
「そうですね。そうしますよ」
僕は言った。
「それにしても、世間は狭いものですね。私は大内って言います。よろしく」
大内さんはそう言った。
「僕は雨宮薫です。よろしく」
僕はそう言った。




