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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第六章 荒野の階層 50階~60階 弱肉強食の対人戦
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第六十二話 別れの日


「ふう……」

 その日、僕は準備を終えた。

 またこの家を出て、本土へと帰ることになる。僕の還るべき場所は、もうここではないのかもしれない。いや、うーん、どうなのかな。

 

「準備できた? 薫くん」

 おねえちゃんが言った。

「うん」

 僕はそう答えた。

 

「おにいちゃん、もう行くの?」

 秋奈ちゃんは言った。

「うん」

 僕はそう答えた。

 

 行かなければならない。ここはとても居心地が良い場所ではあるけど……。

 

 僕はリュックを背負った。

 

「行くよ」

 僕は言った。

「うん」「うん」

 二人は答えた。

 

「元気でね、薫くん」

 おかあさんがそう言ってくれた。

「うん。おかあさんもお元気で」

 そう言って僕は靴を履き、出て行った。

 

 家が少しずつ遠くなる。僕は歩いていく。

 

 港に行くと、桃花、向日葵さん、ほたるさんの三人が居た。

 

「よう薫。黙っていく気かよ」

 そういう桃花。

「桃花、見送りに来てくれたの? ありがとう」

 僕はそう言った。

「桃花ちゃん、凄く薫くんに会いたそうにしてたよ~」

 そういうほたるさん。

「そ、そんなことはしてないし!」

 言い訳する桃花。

 

 桃花は、贈り物をくれた。パックされていて中身はわからない。

 

「つまらないものだけど、あげるよ」

 そういう桃花。

「ありがと」

 僕は感謝した。

 

 僕は船に乗った。出航していく。

 

 定期船に乗って、本土へ渡る。大した時間はかからないだろう。そこから電車に乗って行くだけだ。

 

 僕は、小さくなっていく島を見つめていた……。

 


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