第六十一話 夏祭り
この島では、夏休みの終わりに夏祭りが行われる。
今年もまた、それが来た。この祭りが終われば、僕はまた、この島を出て行くことになる。
楽しかった日々。まあ、何かゲームばっかりやってた気もするけど。
「おにいちゃん、行こ!」
秋奈ちゃんは、ピンク色の着物を着ていた。とても可愛い。
「行こうか」
僕はそう言った。
秋奈ちゃんと共に、お祭りに行く。おねえちゃんは部活の試合があって来れないらしい。
祭りの屋台がある。それ程数は無いけど。
「おにいちゃん! かき氷食べたい!」
そういう秋奈ちゃん。
「じゃあ、食べようか」
僕はかき氷を二つ買った。青いのと赤いの。
「どっちが良い?」
僕は聞いた。
「んー、赤が良いな!」
そういう秋奈ちゃん。
「じゃ、僕が青ね」
僕は赤いのを秋奈ちゃんに渡した。
冷たいかき氷を食べる。頭がキーンとする。
「うう、冷たい……」
目をギュッと閉じる秋奈ちゃん。
「でも、美味しいね」
僕はそう言った。
「うん!」
秋奈ちゃんはそう言った。
花火が上がる。とても綺麗だ。
「おにいちゃん」
秋奈ちゃんは言った。
「何?」
僕は聞く。
「私、おにいちゃんのこと、好きだよ」
秋奈ちゃんはそう言った。
「……そっか。僕も好きだよ、秋奈ちゃんの事」
僕はそう言った。
「えへへ、嬉しい。おにいちゃんは明日、帰っちゃうけど、いつか、会いに行くからね」
秋奈ちゃんはそう言った。
「うん」
僕はそう言った。