第六話 帰還
こうして、僕の最初の冒険は終わった。
「ふう、お疲れ様」
おねえちゃんがそう言ってくれた。
「ごめんね。あまり役に立てなくて……」
僕はとても申し訳ない。
「いいんだよ。最初はそんなもんだよ」
秋奈ちゃんはそういう。
「でも万が一死んじゃうと、私達全員イベントの達成は不可能になってしまうからな。注意してくれないとダメだよ」
シビラはそう言った。
「そういやそうだったのか。てことは、このゲームって実は結構難しいの?」
僕はそう聞いた。
「そりゃそうでしょ。今回のイベントはまだ誰もクリアしてないみたいだし。だからこそチャンスがあるわけだしね。割と本気で攻略を目指してる人もたくさんいるみたいなんだけど……」
おねえちゃんは言った。
「パーティー的にも、前衛三人と後衛一人だしね。せめて『ヒーラー』が居れば安定するんだけど……」
秋奈ちゃんはそう言った。
「ヒーラー?」
僕は聞いた。
「いわゆる回復役だな。私は『ランサー』、一美は『ソードマスター』だし、秋奈は『テレパス』だからな。お前は『グラップラー』だし。『メイガス』や『サモナー』も欲しいな」
シビラは言った。
「へえ、結構複雑なゲームなんだね。自信が無くなってきたよ……」
僕は言った。
「まあ攻略なんてほぼ無理だろうし、適当に遊べばいいよ。気楽に気楽に!」
お姉ちゃんはそう言ってくれた。
「ゲームは楽しむことが重要だからね」
秋奈ちゃんは言った。
「私はお金欲しいけどな……。ま、あたしはそろそろ帰るよ。それじゃ」
そう言って桃花はログアウトしていった。光に包まれ、消滅する。
「んじゃ私達も帰ろうか。まだ余裕はあるだろうけど」
おねえちゃんは提案する。
「そうだね。秋奈ちゃんもそれでいい?」
「いいよー」
僕達も同意し、ログアウトした。
※ログアウトしています……。おつかれさまでした※
僕達は目を覚ました。畳の上で目が覚める。
「ふわあ……」
僕はあくびをした。ある意味寝ているようなものか。
「あら、おかえりなさい。早かったわね」
おかあさんが言った。
「ただいま、ですね」
僕は笑った。
「それじゃあお風呂沸いてるから、入ってね、三人とも」
おかあさんが言った。
「おにいちゃん、一緒に入ろうか?」
そんなことをいう秋奈ちゃん。
「だ、駄目だよそんなの!」
あせる僕。
「ふふ、冗談だよ。それじゃおさきー」
そう言って秋奈ちゃんは走って行った。
「そういえば、宿題はやったの? 薫くん」
お姉ちゃんが眠気眼で聞いた。
「ああ、確かに宿題はあるね」
僕は言った。
「んじゃ一緒にやろうよ。早く終わらせて遊ぼうね」
お姉ちゃんはそう言って笑った。




