第五十七話 決闘 ブラックゴースト VS スカイスナイパーズ
その日の夜。
僕達は、決闘の開始を待っていた。30分前になり、決闘の観戦場へとワープした。
そこはちょうど野球の観戦場のようになっている。売り子さんがやってきた。
「ジュースはいかがですか? ポテチもありますよー」
そう言う売り子さん。
「オレンジジュース頂戴。あとポテチも」
ミレーヌは言った。
「毎度ありー」
そう言ってジュースとポテチをくれる売り子さん。無料のようだ。
「気楽なもんだな、ミレーヌ」
シビラは呆れて言った。
「良いじゃん。今回は私達が戦うわけじゃないんだしさ」
ミレーヌはそう言った。ポテチをかじる。
「それにしても、どっちが勝つと思う?」
ヴォルテックスのファイナさんがそう聞いた。とっても馴染んでいる。
「僕にはさっぱりわかりませんけど。ファイナさんはどう思うので?」
僕は言った。
「んー、普通にやればスカイスナイパーズが勝つと思うんだけど。メリッサは?」
ファイナさんは聞いた。
「そうですよね。私もそう思います。とはいえ、ブラックゴーストが無策とは思えませんけど」
メリッサはそう言った。
「やっぱり、何か考えがあるんでしょうかね?」
同じくヴォルテックスのクリスティーナさんはそう言った。
「ネクロマンサーのチームなんですよね~? だとすれば、『レイス』を召喚すれば勝てるとは思いますけど~」
そういうイリーナさん。
「ん? 何それ?」
グレースは聞いた。
「このゲームでも最強と言われる召喚獣の一つだね。でもそれを召喚したからと言って、勝てるとは限らないけど」
オリアーヌはそう言った。
「スカイスナイパーズの強みはあのリーダーのブリュンヒルデの射撃力。あれを挫くことができるなら、勝ち目はあると思いますが……」
メリッサはそう言った。
「もし緑のアルケミストやったら、味方全員への射撃を無効にする《緑錬金:防射のカード》が使えると思うけど」
カトリーナはそう言った。
「そういえばそうだね。でも緑アルケミストってのは弱いから、それを入れるのはかなり勇気が居ると思うけど」
レナータはそう言った。
「いや、緑アルケミストは速度強化もできるし強いですよ。少なくとも赤よりは強いと思います」
そう言うメリッサ。
「赤かて強いやんか!」
文句を言うカトリーナ。
「まあ、攻撃力を上げることはできるんだろうけど……」
相変わらず脳筋チームだと思う僕。
※5分前です。戦闘チームは決戦場にワープします※
※戦闘メンバーを発表します※
ブラックゴースト
ネクロマンサー、アルケミスト、ヒーラー
グラップラー、ソードマスター、テレパス
スカイスナイパーズ
グラップラー、ソードマスター、ガンナー
ヒーラー、テレパス、メイガス
「どうやら、他ならぬアルケミストを出してきたみたいやな」
カトリーナは、勝ち誇ったように言った。
「そうみたいですね~、スカイスナイパーズのほうは基本的なパーティーみたいですけど~」
そういうイリーナ。
「となれば、あれは十中八九緑アルケミストだな」
ファイナさんはそう言った。
「そうですね。ブラックゴーストの作戦、はまりましたね」
メリッサは言った。
「さあ、この勝負、勝ちますよ!」
ブラックゴーストのリーダーカリナちゃんは言った。
「おー」「わーい」
答える少女達。
「リーダー、いよいよですね」
そういうスカイスナイパーズのソードマスター。
「うん、ミルドレッド、緊張しないで良いからな」
ブリュンヒルデはテレパスの少女にそう言った。
「はい、リーダー。大丈夫です」
ミルドレッドはそう言った。冷静そうだ。
※戦闘開始5秒前です※
※4※
※3※
※2※
※1※
※はじめ!※
「《黒召喚:レイス》!」「させない!《超能力:否定》!」ガキン キュウン
カリナはいきなり大型の召喚魔法。ミルドレッドがキャンセルした。
「《緑錬金:防射のカード》!」「《青魔法:魔法除去》!」「《超能力:否定》」ガキン キュウンキュウン
防射のカードは発動し、ブラックゴーストは全員射撃に無敵状態になった。
「し、しまった! そんな!」
慌てるミルドレッド。
「慌てるな。レイスをキャンセルするのは間違ってない」
ブリュンヒルデはそう言った。
「これでガンナーはただの木偶の棒です! 全員突撃!」
カリナは号令をかけた。
「わーい!」「とりゃー!」
そうして前進するブラックゴーストのメンバーたち。
「くっ……」
慌てるスカイスナイパーズのメンバーたち。
「くらえー! 《拳技:コークスクリューブロー》!」
右こぶしにひねりを加えて攻撃するブラックゴーストのグラップラー。
「うあっ!」
まともにくらい、ダウンするスカイスナイパーズのグラップラー。
「カミラ!」
叫ぶブリュンヒルデ。銃を捨て、助けに来た。
「ふん! 銃の無いガンナーなんて何ができるか!」
そう言ってソードマスターが剣で襲い掛かった。
ブリュンヒルデは、その剣をかわし、腕を掴んでひねり上げた。
そのままソードマスターは剣を落としてしまう。
「は?」
混乱するソードマスター。腕がへんな方向に曲げられており、現実なら、痛そうだ。
ブリュンヒルデはその剣をつかみ取り、攻撃する。
「《剣技:雨に濡れよ『菖蒲』》」
ズシャシャ、とソードマスターを切り刻む。
「うわあ!?」
ダメージを受けるソードマスター。
「《双剣技:静かに可憐に『沈丁花』》!」
剣をもう一本取り出し、凄まじい連撃を加えるブリュンヒルデ。
「ひええ!」
もはや何が何だかわからないまま切り刻まれるソードマスター。
「《双剣技:血の雨降らせよ『桜花繚乱』》!」
クルクルと回転しながらの連続斬撃。ソードマスターは倒れ、死んだ。
「ゲッ……、双剣技!? あれ滅茶苦茶覚えるの難しいんだけど……」
そういうミレーヌ。
「そもそもあいつガンナーじゃないの?」
驚く僕。
「わりと多芸なんですよね、ブリュンヒルデは」
そういうメリッサ。そういう次元の問題なのか?
「くっ!? そんな……、ええい、《黒召喚:スケルトン》!」
とりあえず骸骨兵を召喚するカリナちゃん。
「よくもルビーを! 《拳技:後ろ回し蹴り》!」
ブリュンヒルデに攻撃をかけるグラップラー。
「ふん」
ガキン、と右腕でガードするブリュンヒルデ。とはいえ、ダメージは受けたようだ。
「この!」「たあ!」
襲い掛かるスカイスナイパーズのグラップラーとソードマスター。グラップラーの攻撃はかわしたが、ソードマスターの攻撃を食らう。
「うわあ!」
切られるブラックゴーストのグラップラー。ブリュンヒルデが攻撃するが、自陣に逃亡し何とか難を逃れる。
「《超能力:精神波動》」「《超能力:否定》」ガキン キュウン
ブラックゴーストのテレパス、エイラの超能力はキャンセルされた。
防射のカードの効果が切れた。ブラックゴーストのアルケミストがすぐさまカードを取り出す。
「《緑錬金:防射のカード》」「《青魔法:対抗魔術》!」ガキン キュウン
しかしキャンセルされてしまう。
「もらった!」
すぐさま銃を拾い、撃つブリュンヒルデ。見事アルケミストに命中し、仕留めた。
「ええ……」
驚きつつも消滅するアルケミスト。
「うぐぐ…… 《黒召喚:レイス》!」
何とかレイスの召喚を試みるカリナ。召喚は成功し、死神が召喚された。
ギュウン、と空を舞い、襲い掛かるレイス。そこを射撃するブリュンヒルデ。
命中する。更に、スカイスナイパーズのメンバーが集合し、レイスに集中攻撃をかける。
高いヒットポイントを持つレイスだが、集中攻撃を食らい、あえなく死んだ。
「このお!」
襲い掛かるブラックゴーストのグラップラー。だがスカイスナイパーズのグラップラー、カミラがそれを防ぐ。カウンターで顔面を殴る。
「うひい!」
吹っ飛ばされ、倒れるグラップラー。そこをブリュンヒルデが連射し、仕留めた。
「3対6か……、これは打つ手なしですね……」
諦めるカミラちゃん。
「降参するしかないか……」
そういうエイラ。
「降参するのか?」
ブリュンヒルデは聞いた。
「そうですね。《サレンダー》」
カミラは降参した。ブラックゴーストのメンバーは全員同意し、スカイスナイパーズの勝利になった。