第五十三話 決闘 テクノトリッパーズ VS ソニックレイジ
その次の日。
決闘の時刻は、刻一刻と迫っていた。ソニックレイジのメンバーたちも、次々と揃い、全員がカフェへと集合した。
とりあえず、戦勝祈願として焼肉パーティーを開く面々。
「さあ、この肉は私のだよ!」
そう言って次々と肉を取るミレーヌ。
「おねえちゃんずるい! それは私の!」
強引に箸で奪おうとするメリッサ。
「肉はいくらでもあるんだから、喧嘩しなくても良いじゃん」
そう言ってひたすら焼きまくるシビラ。
「ありがたいことだね。まあ腹は膨れないけどね……」
僕は言った。
「焼肉パーティーも良いですが、結局今日の決闘はどうするので?」
アメリーさんが聞いた。
「とりあえず前線はおにいちゃん、おねえちゃん、シビラで。後衛は私とアメリーさん、グレースさんで行こうかと」
メリッサは言った。
「いわゆる基本パーティーだな。まあ、仕方ないか」
シビラは言った。
「本来ならサモナーやネクロマンサーを欠かすのは危険だけど、相手の出方がわからないしな」
そういうオリアーヌ。
「ま、適当に全員ぶった切れば良いんでしょ?」
そういうおねえちゃん。
「結局脳筋チームだしねうちは。もうそれで良いよ」
そういうメリッサ。
「他に注意することはある?」
僕は聞いた。
「んー、使えるトランプは一人一つまで。回復アイテムは使えない、とかかな。あ、ちなみにこの決闘で死んでも、イベント的にはノーカンだから大丈夫だよ。まあ負けたら全員死ぬけどね」
メリッサは言った。
「回復アイテムが使えないってのは厳しいね。まあ、ヒーラーが必須ってとこか」
ミレーヌは言った。
「まあそうだね。ただ常識では測れない相手のような気もするけど」
メリッサは言った。
「あたしらとしては普段通りに戦うだけだな。平常心だよ」
シビラは言った。
「それが一番大切だからね」
僕はそう言った。
「うちらはここで焼肉食って応援しとくから」
カトリーナは言った。
「そうだね。頑張ってね~」
ガリーナはそう言った。
「はあ……、気楽なもんだね」
グレースはそう言った。
「お、美味しそうなもの食べてるね」
そう言って、カリナちゃんがやってきた。すぐさま肉を食べる。
「私も貰おうっと」
そう言ってエイラちゃんも肉を食べて行った。
「あーもう。肉持ってきてくださいよ」
そういうシビラ。
「良いよ。それにしても焼肉パーティーとは豪勢だね。緊張しないの?」
そういうカリナちゃん。
「まあ、緊張しても仕方ないしね。実戦で力を発揮できるかはわからないけど」
僕はそう言った。
「私は初めての決戦は全然ダメダメでしたね……。まあ、頑張ってくださいね」
そういうカリナちゃん。
「ほら、ホルモンを持ってきてやったぞ」
そう言って大量のたれ漬けホルモンを焼き始めるのは、ヴォルテックスのリーダー、ファイナさんだ。
「ああ、ありがとうございます」
感謝するシビラ。
「いきなりの決戦とは強気だな、シビラ」
そういうファイナさん。
「いや、いきなり喧嘩売られたんですよ。私は何もしてませんよ」
そういうシビラ。
「そっか。まあそう言う事もあるだろうさ。応援してやるよ」
ファイナさんは言った。
「そりゃどうも……」
シビラはそう言った。
謎の焼肉パーティーを終え、僕達はコロシアムへと向かった。
既に僕達の対戦は公表され、宣伝されている。多くの女の子たちが、観戦のために訪れていた。
「考えてみれば、この戦い、みんなに公開されるんだね?」
僕は聞いた。
「そうなんですよね。だからこそ、序盤で手の内を明かすのは避けたかったんですが……」
そういうメリッサ。
「そもそもそのテクノなんちゃらってチームは、何で喧嘩売ってきたわけ?」
ミレーヌが聞いた。
「僕はよくわかんないけど。少なくとも、相手が嫌に思うことをした覚えはないし……」
実際そんな覚えはない。
「単になめられてるだけだろ。私達無名だしな……」
そういうシビラ。
「負けられないね」
ミレーヌは言った。
「まあ、勝ちたいね。ここで負けたら悲しすぎるしさ」
僕はそう言った。
※決戦30分前になりました。戦闘クラスは控室へ入室してください※
※また、観戦したい方は観戦場へどうぞ※
僕達は控室へと入った。ロッカールームだ。
戦術を最終確認する。
「良い? 基本的には、前衛が突撃して後衛がフォローするって感じだね。このパーティーだと、躊躇するのは危険だよ……。でもいざという時は、私やシビラの指示にも従ってね」
メリッサは言った。
「あたしは指示とか出す気はあんまりないけどな。メリッサに任せるよ」
そういうシビラ。
「シビラはリーダーなんだし、もっといろいろ言っても良いんだよ」
そういうおねえちゃん。
「不利な戦況になった時は?」
僕は聞いた。
「そう言うケースも考えられるね。そんな時は、おにいちゃんを主体に防御しないと……。まあとにかく、前に居る敵から順番に一人ずつ倒す、というのが基本だよ。場合によっては相手の後衛に突撃すべき時もあるだろうけどね」
メリッサは言った。
「私も外野からなんか指示だすかもしれんけどさ。とにかく、対人戦は何がどうなるかさっぱりわからないから、各自色々考えて行動した方が良いよ」
オリアーヌは言った。
「外野からの指示もできるんだね。それは心強いかも」
僕は言った。
「今回私は戦場に立つことになるから、オリアーヌの指示も期待したいね」
メリッサはそう言った。
「相手はテレパス主体だっけ? その注意点は?」
ミレーヌは聞いた。
「その情報は不確かだけどね。まあ本当にテレパスだらけなら、速攻をかけて倒した方が良いよ。超能力は混乱付加があるから厄介なんだよね、敵に回すとさ」
メリッサは言った。
「テレパスは魔術の妨害もしてくるから危険な相手だよね。まあヒットポイントは低いから、前衛の誰かが密着して攻撃すれば倒せるだろうけど」
グレースは言った。
「逆に言えば、メリッサやグレース、アメリーさんに敵の前衛が到達するようでは駄目だ。そこは慎重にやった方が良いかもしれない」
オリアーヌは言った。
「うへえ、めんどくさいね。結局どうすればいいの?」
混乱してきたらしいおねえちゃん。
「まあ、実際に戦場に立って、アドリブで何とかするしかないだろうな」
シビラはそう言った。
「そうだね。事前にできる準備もあるだろうけど、実際の戦場でないとわからないことは多いと思うよ」
僕はそう言った。
※決戦5分前です。戦場にワープします※
僕達はワープし、決戦場に降り立った。
※両チームのメンバーを発表します※
テクノトリッパーズ
テレパス、ネクロマンサー、サモナー
グラップラー、グラップラー、ソードマスター
ソニックレイジ
グラップラー、ソードマスター、ランサー
ヒーラー、テレパス、メイガス
「う、こりゃまたえらく攻撃的なメンバーだね」
驚くメリッサ。
「ふふ、叩き潰してあげます!」
相手チームのリーダー、エレオノーラは宣言した。
「相手はヒーラーが居ないようですが……」
そういうアメリーさん。
「正気じゃないね。序盤でこちらを押しつぶそうという考えか……」
メリッサは悩む。
「何か変更点はある?」
僕は聞いた。
「守備的に行こう。長期戦にした方が良いよ。うーん、でも物量で負ける可能性もあるか……」
悩むメリッサ。
「恐らく敵は突撃してくるだろうから、そこをしのげるかどうかだね」
グレースはそう言った。
「結局どうすればいいの?」
ミレーヌは聞いた。
「基本は敵の前衛の排除。でもチャンスがあれば、後衛のテレパスかネクロマンサーを仕留めたいところではあるね。サモナーはしぶといから後回しで」
そういうメリッサ。
「厄介だな……、初戦から大仕事になりそうだ」
シビラはそう言った。
※戦闘を開始します※
※3※
※2※
※1※
※はじめ!※
ドン、と太鼓の音が鳴り響き、いよいよ戦闘が始まった。容赦なき対人戦の始まりだ。
始まりは少し静かだった。
「ふふ、それでは始めましょうか、ヴラス」
エレオノーラは言った。
「ええ。召喚魔法こそが最強だと証明してやります! 《黒召喚:スケルトン》!」
ネクロマンサーのヴラスは、骸骨兵を1体召喚する。
「それでは、《青召喚:オクトパス》!」
更にサモナーが蛸を召喚。
「それじゃあ行きましょう! 全軍突撃!」
エレオノーラは宣言。
「たああ!」「とりゃああ!」「はああああ!」
ドドドド、とグラップラー2人、ソードマスター一人が突撃してくる。骸骨兵と蛸の動きは遅い。
僕は構えた。そこにグラップラー二人が襲ってくる!
「とりゃあ!」
攻撃する一人。僕はその攻撃をかわす。
「たあ!」
更に来るもう一人。僕はその腕を掴み、ぶん投げてもう一人にぶち当てた。
「うわ!」「きゃあ!」
倒れる格闘家二人。
ソードマスターはおねえちゃんへ。攻撃してくる!
「もらった! 《剣技:一刀両断》!」
斬りかかる敵。
「甘い! 《抜刀術:返す刀の『桔梗』》!」
おねえちゃんは剣を鞘から抜き、敵の攻撃を弾き、一撃を加える。
「うわわ!」
思わぬ反撃を受け、混乱する相手の剣士。
「もらった! 《コンボC》!」
宣言するシビラ。自動的に連続技が発動する!
「《槍技:二段突き》《槍技:三段突き》《槍技:四段突き》!」
凄まじい連続技。徹底的にグッサグサにされ、ソードマスターは死んだ。
「うぐ、や、やりますね……」
狼狽するエレオノーラ。
「その程度? 話にならないね」
メリッサはそう言った。
「結構実力差があるみたいだね……。それじゃあ、《赤魔法:火炎球》!」「くっ、《超能力:否定》!」ガキン キュウン
グレースの魔術は、エレオノーラによってキャンセルされた。
「甘いよ。《超能力:精神波動》!」
しかしその隙を突き、メリッサが超能力を発動。グラップラー二人に命中する。
「うわあ!」「ひゃあ!」
ダメージを受ける二人。混乱効果は発動しなかったが……。
「この! 《黒魔術:毒の矢》!」
ヴラスの魔術が発動。メリッサに命中する。
「大丈夫ですか? 《白魔法:治癒》」
アメリーさんがすぐさま回復した。
「このお! 《コンボA》!」
グラップラーの一人が宣言する。
「《拳技:ナックルパート》《拳技:ナックルパート》《拳技:ナックルパート》!」
凄まじい連続攻撃を僕にかけてくる。僕は受けようとするが、間に合わなかった。ガガガ、と殴られる!
「うぐ!」
ダメージを受け、下がる僕。
「《白魔法:治癒Ⅲ》!」
アメリーさんが回復してくれた。
「あのヒーラーを仕留めて!」
そういうエレオノーラ。
「よおし!」「とりゃあ!」
すぐさまアメリーさんへと向かう二人。
「させない!」
しかしおねえちゃんが横から襲い掛かる。
「《コンボS》!」
おねえちゃんの連続技が発動する!
「《剣技:冷酷なる一撃『睡蓮』》!」
上段からの刺突。見事に決まった。
「《剣技:痛みを知れ『薔薇』》!」
更に三段突き。
「《剣技:烈火に咲け『仙人掌』》!」
更に五段突き。凄まじい刺突連撃だ。
「うひい……」
あっという間にヒットポイントを失い、グラップラー一人は死んだ。
「うっ……」
躊躇するもう一人のグラップラー。慌てている。
「ここは通さない! はあ!」
僕は左の正拳突きで攻撃をかけた。
「がっ!」
命中する。更に右足の回し蹴りから、後ろ回し蹴りを放った。
「ぐべっ」
変な声をあげて、グラップラーちゃんは死んだ。
「つ、つよっ! 何なのこの人達!?」
混乱するエレオノーラちゃん。
「ど、どうしよう!?」
ヴラスちゃんも混乱しているようだ。
「容赦は必要無いよ。突撃を!」
無慈悲なメリッサ。
「行くぞ! とりゃあ!」
前進するシビラ。更にミレーヌと僕も続く。
「うわああ!」「ひゃああ!」「助けてー!」
逃げ惑う残り三人。そこに攻撃を加え、全滅させた。
決闘に勝利しました!
★死霊の杖 を手に入れました!