第五十一話 荒野の街
「わーい」「わーい」
ブロロロロロ…… とハーレーダビッドソンが走り回る。
ここは荒野の街。マジックガールズ、中間点。最後の街でもある。
砂漠のような荒野には、草も生えていない。その中を砂煙を上げて走るバイクと車。
「アメリカンと言うか、西部劇みたいな感じだね」
僕は言った。
「まさにそうだね」
ガリーナは言った。
「ガリーナはリボルバー持ってるから、西部劇ごっこできるじゃん」
そういうミルヤ。
「あはは、そうだね」
そう言ってリボルバーを回すガリーナ。
「とりあえず~、どうするんですか~?」
イリーナは聞いた。
「ていうかさ、城とかはどうなったの? また作り直し?」
そう聞くグレース。
『さすがにそんな鬼畜仕様ではないよ。座標としては、0階の街と同じ場所にあるね』
そういうメリッサ。
「そっか。んじゃ城に戻ろうか」
僕は歩き始めたが、
「やっほー」
ドドドドド、とジープが走ってきて、ブラックゴーストのメンバーが現れた。
「どうも皆さん。荒野の街はどうですか?」
そう聞くリーダーのカリナちゃん。
「どうも何も、今来たばかりだよ」
そういう僕。
「そのジープは買われたので?」
アメリーさんが聞いた。
「まさか! ここではディーラーでどんな車も試乗できるんだよ」
そういうカリナちゃん。
「買っても良いけど、高いしね」
そういうエイラちゃん。
「なるほど! そして煽り運転をするわけだね」
そういうガリーナ。
「いや、駄目だから……」
忠告するミルヤ。
「良かったら乗っていきませんか? ちょっと国際連合に行きたいんですよ」
そういうカリナちゃん。
「国際連合? 何するの?」
僕は聞いた。
「先行したクラスは、『医師団』しか作ってくれなかったみたいなので、『共同工場』と『研究所』を作っておきたいんですよね。役に立ちますよ」
そういうカリナちゃん。
『良いと思うよ。やっておきなよ』
そういうメリッサ。
「わかった。んじゃ行こうか」
僕は言った。
僕達はジープの後ろらへんに座った。イマイチ人数オーバーだが仕方ない。
ドドドドド、と悪路を突き進むジープ2台。
「ここからは他チームとも争うことになりそうだね。どうするの?」
僕は聞いてみた。
「まあそうですね。でもしばらくは争いは無いと思いますよ」
そういうカリナちゃん。
「ん? そりゃどうして?」
僕は疑問を聞いた。
「いや、だっていきなり喧嘩を売るのはおかしいじゃないですか。一応女の子ですしね。負ける可能性だってあるし、よっぽど自信が無いとそんなことはしませんよ」
そういうカリナちゃん。
「まあそうか。そう考えると、しばらくは平和が続くのかな?」
僕は聞いた。
「今回先行したクラスの連中の内容が不明ではありますが、そうそう戦いにはならないと思いますね」
カリナちゃんはそう言った。
車が進むと、場違いなどでかい建物が見えてきた。
国際連合だ。よく教科書とかで見たあれだ。
「なんていうかさ、このゲームって世界観滅茶苦茶だよね」
苦笑するガリーナ。
「確かに……、同感」
同意するミルヤ。
車を降り、国際連合の中に入った。中は綺麗に整理されている。議場に入ると、先行したクラスのメンバーたちがたむろしていた。
「お、やっほー! ようやく来ましたか」
そういう弓を抱えた女の子。茶髪の元気そうな女の子だ。
「お待ちかねというわけですか……」
カリナは答えた。
「どうやら『ブラックゴースト』のようですね。そちらは?」
そう聞く黒髪の少女。小さい。
「僕達は『ソニックレイジ』だよ。君たちは?」
僕は聞いた。
「『テクノトリッパーズ』ですわ。以後お見知りおきを」
そういう礼儀正しい黒髪少女。
「あたしらは『レインボースターズ』だよ。賞金は頂くよ!」
そういう茶髪少女。
「ところで、ここで何をしてたの?」
僕は聞いた。
「いや、国連の建物を建てたいんだけどさ、ジェニーが足りなくてね」
そういう茶髪少女。
「ちょっと40階を早抜けしすぎたかもしれませんね……」
そういう黒髪少女。
「多少なら出しても構いませんよ。ところであなたたちの名前は? 私はリーダーのカリナですけど」
そういうカリナちゃん。
「ああ、悪い。私はアンナ、レインボースターズのリーダーさ」
そういうアンナ。
「私はエレオノーラと申します。テクノトリッパーズのリーダーをやらせていただいておりますわ」
そういうエレオノーラ。
「メリッサも言ってたし、ジェニーなら出しても良いよ」
僕は言った。
「ありがたいね。んじゃ早速、『共同工場』作ろうか」
そういうアンナ。
「ちなみにそれって?」
ガリーナが聞いた。
「いわゆる錬金術の強化施設ですね。強力な銃弾なんかが作れるようになりますよ」
そういうカリナちゃん。
「そっか。でもそんなの作ると、『スカイスナイパーズ』が強くなるんじゃ?」
僕は聞いた。
「確かに……。でも、作らないとこの先進むのが面倒ですし……」
そういうエレオノーラ。
「良いじゃん、作ろうよ」
そういうガリーナ。
「そだねー、そんじゃ私は1000ジェニー払うから、みんなそれぐらい払ってよ」
そういうアンナ。
「わかりましたわ」
エレオノーラは納得したようだ。
僕達はジェニーを支払った。
※『共同工場』が稼働しました!※
「やりましたね。んじゃ、『研究所』も作っておきましょうか」
そういうカリナちゃん。
「それも錬金術?」
僕は聞いた。
「ええ。錬金レベルの向上が見込めますね」
カリナちゃんは言った。
『それも是非作っておきたいね』
メリッサは言った。
ジェニーを更に支払う。
※『研究所』が稼働しました!※
「オッケーオッケー。ありがたいね」
喜ぶアンナちゃん。
「そうですわね」
エレオノーラも喜んだ。
「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
カリナちゃんは言った。
「そうだね」
僕は言ったが、
「おっと、そうはいきませんわ」
エレオノーラが僕の前をふさいだ。
「?」
僕は驚いたが、
「私達『テクノトリッパーズ』は、『ソニックレイジ』に決闘を挑みます!」
宣言するエレオノーラ。
※決闘が申し込まれました! 決闘を断ることはできません※
※ソニックレイジは速やかに決闘の時刻を決めてください※
「うへえ、マジか……」
頭を抱える僕。
「おお、好戦的だなあ」
そういうアンナ。
「いきなり決闘とか、正気とは思えないんですが……」
驚くカリナ。
「ソニックレイジの実力、見せていただきたいですわ」
そういうエレオノーラ。好戦的だ。
『んー、とりあえず時刻は明日に設定してよ。ちゃんと集まりやすい時刻にね』
メリッサは言った。
「それじゃ明日の15:00ぐらいで良いかな?」
僕は言った。
※決闘は明日の15:00に行われます※
※放棄すると自動的に負けになります。ご注意ください※
「とりあえず、頑張ってくださいね」
そういうカリナちゃん。
「いきなり負けたくはないなあ」
僕は言った。
「喧嘩を売られた以上、負けるわけにはいかないね」
ガリーナは言った。
「初の決闘か。ドキドキするね」
ミルヤはそう言った。
「それでは、明日の決闘、楽しみにしてますわ」
エレオノーラはそう言って、出て行った。