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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第一章 始まりの階層 1階~10階
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第四話 始まりの街


 穏やかな音楽が流れる。

 

 日が注ぎ、緑があふれる。噴水の広場では、女の子二人がだべっていた。

 

「へえ、ここが……」

 僕はそうつぶやいた。横には赤い髪の女性と、黄色い髪の少女。お姉ちゃんと秋奈ちゃんのようだ。

 

「ようこそ、薫くん……。じゃなくて、カオリちゃんだね」

 お姉ちゃんはそう言って笑った。あまり現実と変わらないようだ。

「ようこそ、おにいちゃん」

 秋奈ちゃんはそう言った。

 

「そういえば、二人はなんて呼べばいいの?」

 僕はそう聞いた。

「ああ、私はミレーヌ、秋奈はメリッサだっけか。まあ、何て呼んでも良いけどね」

 お姉ちゃんはそう言った。

 

 二人は地面を滑るように移動する。足に何か機械が付いているようだ。

 

「それは?」

 僕は聞いた。

「『スライダー』だね。カオリにも付いてるから、すぐに滑れるよ」

 お姉ちゃんは言った。

「へえ、そうなんだ」

 僕も何となく地面を滑ってみた。できるようだ。

 

「とりあえず、カフェにでも行こうよ」

 秋奈ちゃんは、そう言った。

 

 カフェに入ると、穏やかなジャズが流れる。とってもおしゃれな雰囲気だ。全体的にお洒落な感じのゲームっぽい。

 

「よくできてるね、このゲーム。ていうか何のゲームなの?」

 僕は聞いた。

「一応RPGだよ。MMORPGだね。あの塔のてっぺんに居る悪い奴を倒せばクリアなんだよ」

 お姉ちゃんはそう言った。

「へえ、そうなのか」

 僕はそう答えた。

 

「いらっしゃいませー」

 カフェに入ると、可愛いメイドさんが迎えてくれた。カウンターが大量にある。

 

「なんだこれ、何が食べられるの?」

 僕は聞いた。

「何でも食べられるよ」

 秋奈ちゃんはそう言った。

「……は? いや、無理でしょ」

 僕は言った。

「あながち嘘でも無いよ。世界中のあらゆる料理が網羅されてるからね」

 信じ難い事を言うお姉ちゃん。

「マジか……。そりゃ凄いな」

 僕は素直に驚いた。

 

 実際、あらゆる料理が用意されているようだ。カウンターは国ごとになっており、日本料理はもちろん、中華料理やフランス料理、アフリカもアメリカも、何でもありのようだ。

 

「まあ料理はいいや。ちょっとコーヒーでも飲もうかな。カフェだし」

 僕はそう言った。

「そうだね。じゃ、カプチーノ3つでも取って来るよ」

 秋奈ちゃんはそう言って、走って行った。

 

 僕はお姉ちゃんと一緒に座った。秋奈ちゃんを待つ。

「ふふ、こうしてるとデートみたいだね」

 笑うお姉ちゃん。

「僕が女の子になってるんだけど……」

 苦笑する僕。

 

 その時、何かヤンキーっぽい女性が話しかけてきた。

「よ、ミレーヌ。久しぶりじゃん」

 長い真紅の髪。大きな槍を背中に担いでいる。

「ああ、『シビラ』か。確かに、ここでは久しぶりだね」

 ミレーヌはそう言った。

「はは、そうだね。ところで、こいつは? 見ない顔だけど」

 シビラはそう聞いた。

「ぶっちゃけ薫くんだよ。知ってるでしょ?」

 リアルバレするお姉ちゃん。

「ええ!? そうなのか。ていうか、何でこんなゲームやってんだよ!」

 怒るシビラ。

 

「ていうか誰? そんなリアル個人情報をばらされると僕も困るんだけど……」

 混乱する僕。

「ああ、桃花だよ。知ってるでしょ?」

 お姉ちゃんはそう言った。

 

 長嶋桃花。幼馴染というか、腐れ縁というか、まあ近所にいる悪ガキ的な女の子だ。確かによく知っている。ていうか、よく男の子とつるんでた気もするし。

 

「なんだ桃花か。そんな可愛い顔してるとわからないじゃん」

 僕は言った。

「なんだそりゃ。まるで私が可愛くないみたいじゃないか! クソ、従妹が可愛いからって調子に乗りやがって……。島の男たちに言いつけてやるからな!」

 怒る桃花。まあ冗談で言ってるんだろうけど。

 

「桃花もこのゲームやってたのか。そんなに面白いゲームなの?」

 僕は聞いた。

「シビラと呼べよ。まあ、面白いゲームではあるよ。でも今はクリアすると100万円が貰えるんだぞ! 当然ガチでやるに決まってるだろ。お前もそのつもりじゃないの?」

 シビラはそう言った。

「そういやそんなこと言ってたね。それってどういう……」

 僕はそう言い終わる前に、秋奈ちゃんが戻ってきた。

 

「はいカプチーノ3つ。あれ? 桃花おねえちゃんも居たんだね」

 秋奈ちゃんはそう言った。

「秋奈か。お前は結構良い所まで行ったんだって?」

 そう聞く桃花。

「まあ、ラスボスとは戦ったからね。あと少しだったんだけど……」

 そういう秋奈ちゃん。コーヒーをもらう。

 

「へえ? じゃあ百万円まであと少しだったわけ?」

 僕はそう聞いた。

「いや、あれはまだプレイベントで、賞金は出なかったけどね。あの『スカイスナイパーズ』は結構強力なクラスだったし」

 秋奈ちゃんはそう言った。

「クラスって?」

 僕は聞いた。

 

「このゲームでは、クラスってのを組むんだよ。まあギルドとかいうのと同じ……、学校のクラスと見ても良いな。私は『ソニックレイジ』っていうクラスを組んでるぞ」

 桃花はそう言った。

「なるほどね。それじゃあ良かったら入れてくれないか」

 僕はそう言った。

「良いよ。まだ三人しかいないしね。でも春風の二人はそれで良いの?」

 桃花は聞いた。

 

「私は良いよ。秋奈は?」

 お姉ちゃんはそう言った。

「まあ良いよ。あんまり弱かったら乗り換えるけどね」

 秋奈ちゃんは言った。

「薄情な奴だな……。まあ、お前が入ってくれるのは心強いけど」

 桃花は言った。

 

 ※クラス『ソニックレイジ』のリーダー、シビラに誘われています※

 ※加入しますか?※

 

 →はい

  いいえ

  

 ※カオリはソニックレイジに加入しました※

 ※ミレーヌはソニックレイジに加入しました※

 ※メリッサはソニックレイジに加入しました※

 

「ようこそ、ソニックレイジへ。まあ、他の仲間はいずれ紹介するよ」

 シビラはそう言った。

 


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