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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第五章 山の階層 41階~49階 欲望渦巻く採掘場
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第四十七話 先行者


 この日もまた、ゲーム世界に入った。

 

 城の食堂に行くと、グレースが居た。ローブを着て、いかにも魔術師と言う感じ。正統派魔法少女だ。まあ正当も何も、現実にそんなものは存在しないかもしれないけど。

 

「やあカオリ、メリッサ。ミレーヌは?」

 そう聞くグレース。

「部活だよ」

 僕は言った。

「そっか。実はちょっと変わったことが起こってさ」

 そういうグレース。

「何かあったんですか?」

 そう聞くメリッサ。

 

「実は50階層に到達したクラスが現れたんだ」

 そういうグレース。

「! そうですか。ヴォルテックス? それともスカイスナイパーズ?」

 メリッサは聞く。

「いやそれがさあ。聞いたことも無いチームだったんだよね」

 そういうグレース。

 

「そうなんだ? 盗賊ギルドに行ってみる?」

 僕は聞いた。

「そうだね。それが良いよ」

 グレースは言った。

「賛成。見に行こうか」

 メリッサも同意した。

 

 僕達は盗賊ギルドへ向かった。城の裏手からも行ける。

 

 盗賊ギルドに入ると、オリアーヌが居た。開拓者風の革の服装だ。変わってるけど、お洒落ではある。

 

「オリアーヌ、久しぶりだね。どうなってる?」

 メリッサは聞いた。

「ん? ランキングかい? まあ百聞は一見に如かずだね」

 オリアーヌは言った。

 

 現在の ランキング です

 

 1位 レインボースターズ 51階

 2位 テクノトリッパーズ 50階

 3位 ソニックレイジ 48階

 3位 スカイスナイパーズ 48階

 3位 ヴォルテックス 48階

 

「『レインボースターズ』に『テクノトリッパーズ』か。2つも50階を突破しちゃってるね」

 僕は言った。

「まあそれは驚くに値しないよ。50階を超えるなら、2勢力以上でないと、『国際連合』の恩恵を受けられないからね」

 そういうメリッサ。

「ん? 国際連合?」

 僕は聞いた。

 

「50階の『荒野の街』には国際連合があって、2勢力以上なら色んな特殊施設を作れるんだよ。と言っても、全プレイヤーに良い影響があるから、それは放置しても良いけどね」

 そういうオリアーヌ。

「となると、慌てる必要は無い?」

 そう聞くグレース。

「いや大有りだよ。50層以降の難易度は高いけど、『運命の指輪』や『魔剣』と言った超強力なアーティファクトが手に入るからね。ほっとくと手に負えなくなるよ」

 そういうメリッサ。

「なるほど。以前メリッサが、50階以降に進むと袋叩きにされるって言ってたけど、そういう意味だったんだね」

 僕は言った。

 

「もう稼いでる暇はないね。追わなきゃ……」

 そういうオリアーヌ。

「だね。ブラックゴーストに連絡しないと」

 そういうメリッサ。

 

「その心配はありませんよ。ブラックゴーストから連絡が来ています。カフェですぐに会いたいと」

 そういう盗賊の女性。

 

「会わなきゃならないね。シビラはまだ来てないのかな?」

 そういう僕。

「対人戦に関しては私に任せると言ってくれてたし、交渉は私達で行おう。放置するのは失礼だよ」

 メリッサは言った。

「シビラには申し訳ないけど、それが良いだろうね」

 オリアーヌは言った。

 

 僕達は城を出て、街のカフェへと向かった。カフェは巨大で、たくさんの植物で飾られている。

 

 中を探していると、目立つ格好の女の子たちが手を振った。カリナちゃんとエイラちゃんだ。

 

「どうも、お久しぶりです」

 カリナちゃんは言った。

「こんにちは」

 僕はあいさつした。

 

「飲み物でも頼まれては?」

 エイラちゃんが言った。

「そうしようか。私はアイスティーで良いよ」

 そういうメリッサ。

 

 僕達は思い思いのドリンクを取り、席に座った。大きなテーブルだ。

 

「さて、本題に入りましょうか。50階越えちゃうクラスが現れましたね」

 カリナちゃんは言った。

「そうだね。正直驚いたよ。速すぎると思うんだけど……」

 メリッサは言った。

 

「私達もちょっと準備不足でしたね。とはいえ、こうなった以上は追わざるをえないと思うんですが」

 エイラちゃんが言った。

 

「難しい所だけどね。ヴォルテックスやスカイスナイパーズはすぐに追うだろうから、それを眺めるという手もあるし」

 オリアーヌは言った。

「しかしそれはあまりに弱気。先にそれらの勢力に先行勢力が潰されてしまえば、私達の勝ち目も下がってしまいます」

 カリナちゃんは言った。

 

「まあそうだね。あくまでも先手を取る。戦いの基本だよ」

 僕はそう言った。師匠がいつも言っていた事だ。

「そういえば、そちらのリーダーは?」

 エイラちゃんが聞いた。

 

「今は居ませんね。と言っても、私達の意見は聞いてくれると思いますけど」

 メリッサは言った。

「そうですか。まあ私達はもう50階に行きますよ。あなたたちも付いてきてくれるとありがたいんですけど」

 カリナちゃんは言った。

 

「こうなった以上、ここでグダグダしてるわけにはいかないしね。私達もすぐに50階に行くことになるね」

 オリアーヌは言った。

「それなら問題ありませんね。私達としても、黙って50階に行くのは失礼かな、と思っただけですので」

 エイラちゃんがそう言った。

 

「つまりブラックゴーストは50階へ行く。僕達もなるべく急いで50階へ行く。と言う感じで良いかな?」

 僕は聞いた。

「ええ。それで結構です」

 カリナちゃんは言った。

 

「それじゃあせっかくだし何か食べませんか? 私ここの餃子好きなんですよね」

 エイラちゃんが言った。

「おいしいよね、餃子」

 メリッサが言った。

 

 僕達は一緒に餃子をいっぱい食べて盛り上がった。

 



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