第三話 ゲームスタート
「ふう……」
食事が終わった。大満足だ。テレビのニュースが流れている。大したニュースは無いみたいだ。
「そういえばさ、秋奈。例のゲームをやるとか言ってなかったっけ?」
お姉ちゃんがそう言った。
「ああ、そういえばそうだったね。ねえおにいちゃん、面白いゲームがあるんだけど、やってみない?」
そう聞く秋奈ちゃん。
「ゲーム? 良いけど。スマホゲームとか?」
僕は聞いた。
「違うよ。VRゲームだよ! しかも賞金が出るんだよ! 百万円も!」
そういう秋奈ちゃん。
「百万円!?」
驚く僕。
VRゲームの歴史も割と長くなった。色々と問題を引き起こしたりしたが、今では普通のゲームとして受け入れられている。でもあんまり女の子がやってるのは見た事無いけど……。
「賞金を取るのは超難しいって話だけどね。どう薫くん、やってみない?」
お姉ちゃんが聞いた。
「良いよ。ゲームは好きだしね。本土でもたまにゲーセンには行ってたし」
僕はそう言った。
ゲームセンターに行けば色んなVRゲームがある。RPGもあるしアクションゲームもある。変わった所では料理をしたりするものもある。もちろん食べられる。それとか、宇宙を旅したりとか、海を泳いだりとか。
「それじゃおにいちゃん、これ付けてねー」
見慣れた機器だ。頭と首に機器を取り付けてスイッチを入れると、仮想世界にジャンプすることができるのだ。
「9時には現実に帰って来なさいよ。お風呂も入らないといけないからね」
そういうおかあさん。
「はーい」
秋奈ちゃんはそう言った。
僕達は寝ころび、機器を取り付けてスイッチを入れた。
※ログインしています…… 少々お待ちください※
不思議な音楽が流れ始める。蒼く光る部屋に入った。
※ようこそ、マジックガールズの世界へ。あなたを歓迎します※
※あなたは、魔法少女としてこの世界を旅することになります※
※それでは、ジョブを選択してください※
「ちょっと待った!」
僕は叫んだ。
『どうしたの、おにいちゃん?』
不思議そうな秋奈ちゃんの声。
「いやおかしいでしょ! 僕は男だから! 魔法少女じゃないから!」
正論を言う僕。
『えー、どうでもいいじゃん。薫くん可愛いしさあ』
無茶を言うおねえちゃん。
12個のジョブが表示される。ゲームをやめることもできるが……、まあ、さすがにそれは二人の期待を裏切ることになるんだろうけど……。
「もういいや……。それで、僕はどのジョブを選べばいいの?」
諦めの境地に達し、僕はそう言った。
『好きなジョブを選べばいいんだけど。そういえば、おにいちゃんって星座は何だっけ?』
そう聞く秋奈ちゃん。
「牡羊座だけど」
僕はそう言った。
『そうすると「グラップラー」かな。まあ、おにいちゃんってどう考えてもグラップラーだけどね』
秋奈ちゃんはそう決めつけた。
※『グラップラー』格闘家。高いヒットポイントと攻撃力を誇る。初心者向け。※
「へえ、格闘家もあるのか。まあ、これにしようかな」
僕はそう言った。
※グラップラーでよろしいですか?※
→はい
いいえ
※それでは、アバターを構成します。どんな感じにしますか?※
どうやらアバターもデザインできるらしい。まあ女の子しかないんだけど。
『薫くん大丈夫だよ! もうばっちりデザインしておいたからね!』
すでにデザインされているらしい僕。青い髪の可愛い女の子だ。
「いやおかしいでしょ! 何で用意してあるの!?」
混乱する僕。
※このデザインでよろしいですか?※
「あー、もういいよ」
投げやりになる僕。
※それでは、名前を決めてください※
『カオリちゃんで!』
宣言する秋奈ちゃん。
※『カオリ』でよろしいですか?※
『OKOK!』『いいと思います!』
僕の意志を無視しまくって決めていく二人。
※わかりました。それではよい魔法少女ライフを……※
こうして僕の冒険がはじまった……。