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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第五章 山の階層 41階~49階 欲望渦巻く採掘場
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第四十五話 城


 僕達は教室へと戻った。するとそこには、ドワーフが居た。

 

「どうもドワーフさん。武器を作ってくれるよね?」

 ミレーヌが聞いた。

 

「申し訳ありません。鍛冶場がないとどうにもなりませんな」

 申し訳なさそうに言うドワーフ。

 

「はあ!? 何よそれ! ずるいじゃん!」

 そういうミレーヌ。

「いやいや、ズルくは無いでしょ。そりゃ鍛冶場もいるでしょ……」

 そういうメリッサ。

 

「結局鍛冶場も用意する必要があるんだね。いくらかかるの?」

 そう聞く僕。

「んー、まあ鍛冶場だけ買う事もできるけど、欲を言えばやっぱり『城』が欲しいところだね」

 そういうメリッサ。

 

「まあ前からそう言ってたしね。でもこれ以上の出費はノーセンキューだよ、メリッサ」

 そういうミレーヌ。

「むむ、おねえちゃん、そこを何とか」

 頼みこむメリッサ。

「駄目! ただでさえこんなゲームに時間を費やしまくってるんだから。この上リアルマネーまでポンポン払えないよ」

 そういうおねえちゃん。

 

「いくら賞金が出るとはいえ、あてにはできないしな」

 そういうシビラ。

「んー、残念だけど、ドワーフの武器は諦めるしかないかな」

 僕はそう言った。

 

「そういうことなら、私がお金出しますよ」

 そういうアメリーさん。

「いやいや、いいですよ。アメリーさんにそんなことしてもらうわけには……」

 恐縮するおねえちゃん。

「気にすることはありませんわ。うちはお金持ちですし、楽しませていただいてますから」

 アメリーさんは言った。

 

「良いんですか? 一万円ぐらいはかかると思いますけど」

 そういうメリッサ。

「構いませんわ」

 アメリーさんは言った。

「んー、まあアメリーさんがそれでいいなら良いですけど……」

 そういうミレーヌ。

 

「世の中色んな人が居るんだなあ。あたしは一万円もの大金を払うことはできんわ」

 そういうシビラ。

「まあ何かの理由で払うことはあるかもしれないけどね……」

 僕はそう言った。

 

 そんなわけで僕達は、不動産屋へと入った。

 そこにはウサミミの怪しげな女の子の店員さんが居た。

 

「どうも~♪ 清く正しい不動産屋です! 何をお探しですか~?」

 そう聞く店員さん。

「ずばり、城を欲しいんだけど」

 そういうメリッサ。

 

「お客さんお目が高い! 城こそ最高の建物! 今ではなんと! これに盗賊ギルドと大学をセットで付けまして! 一万円! 一万円でのご奉仕です! 出血大サービスだ!」

 そういう店員さん。商売上手だな。

 

「それって、鍛冶場は付いてるんでしょうね?」

 そう聞くおねえちゃん。

「当たり前です! 鍛冶場どころか、店だってついてるし専用の食堂だってあるんですよ! しかも超美味しい食べ物も食えます! バルコニーでお姫様ごっこもできますよ!」

 そういう店員さん。

「お姫様ごっこかあ。それはちょっと憧れるけど……」

 割と乗り気になってきたおねえちゃん。

 

「そういうことなら、買わせていただきますわ。電子マネーで良いですよね?」

 そういうアメリーさん。

「もちろんです! では決裁してよろしいですかね!」

 そういう店員さん。

「ええ。どうぞ」

 余裕で払うアメリーさん。

「毎度あり! これであなたも一国一城の主! よっ! 女王様!」

 そういう店員さん。

 

「城はどこに配置されたの?」

 メリッサは聞いた。

「とりあえずここから南に500メートルほどの場所に建てておきましたよ。嫌なら自分で引っ越ししてください。いつでもできますので」

 そういう店員さん。

「それではさっそく見に行きましょうか」

 アメリーさんは言った。

 

 僕達は街を出て、南に向かった。スライダーを使い、地面を滑る。

 すぐに大きな立派な城が見えてきた。堀に囲まれている。

 その門の手前に来た。跳ね橋が上がっている。

 

「あら? どうしましょう?」

 困惑するアメリーさん。

「アメリーさんの城ですから、『開け!』とか言えば開きますよ」

 そういうメリッサ。

「そうなんですね。では、『開け』!」

 そういうアメリーさん。

 

 ゴゴゴゴゴ、と跳ね橋が降ろされ、道が開かれた。

 

 僕達は城内に入った。たくさんの燭台と赤い絨毯で飾られた立派な城だ。大きな食堂もあり、そこでは食べ物を頼むこともできるようだ。

 

「女王様、何か飲み物を飲まれては」

 そういうメリッサ。

「私ですか? ふふ、それじゃあ皆様、何か飲み物を飲みましょうか」

 そういうアメリーさん。

 

 僕達は飲み物を頼んだ。僕はオレンジジュースにした。おねえちゃんはスポーツドリンク、メリッサはアイスコーヒー。アメリーさんはアイスミルクティーのようだ。

 

「やれやれだな。しかし城持ちになれるとは思わなかったよ」

 リンゴジュースを飲みながらのんびりするシビラ。

「とりあえず、あのドワーフに会わないといけないね」

 僕はそう言った。

「まあ、鍛冶場に居るはずだよ。飲み物を飲んだら見に行こうよ」

 メリッサはそう言った。

 

「へえ、これがバルコニーかあ。雰囲気出てるじゃん」

 ミレーヌはさっそく、バルコニーでお姫様ごっこをしていた。

「おねえちゃん、危ないよ。落ちたらどうするの?」

 僕は忠告する。

「大丈夫だって。ゲームだし。ていうか、お姫様って呼んでよね!」

 そういうミレーヌ。

「えー、お姫様?」

 僕は言った。

「そんなんじゃダメ! やり直し!」

 そういうおねえちゃん。厳しいな。

 

「あーもう、何やってるの? 早くドワーフのところに行こうよ」

 そういうメリッサ。

「むー、仕方ないか。んじゃ行こうか、カオリ」

 そういうミレーヌ。

「そうだね」

 僕は言った。

 

 ドワーフのおっさんは鍛冶場に居た。ハンマーを持ち、やる気満々だ。

 

「どうもです。何をお作りしましょうか?」

 そういうドワーフ。

「んー、そうだね。とりあえず、私の武器を作ってくれる?」

 そう聞くメリッサ。

「テレパスの武器ですな。900円でお作りいたしましょう」

 そういうドワーフ。

 

「むう、徹底的にお金を取ろうというゲームなんだね。恐ろしい……」

 ビビるおねえちゃん。

「まあ、900円なら安いよ。んじゃ私が払うから」

 そういうメリッサ。払ったようだ。

「毎度あり! それじゃあお任せあれ!」

 カンカン、とハンマーを叩き、何かを作るドワーフ。

 

「これはヤバいね。危険なゲームだよ。資本主義の権化じゃん」

 そういうおねえちゃん。

「まあそういう愛称もあるしね、このゲーム」

 笑うメリッサ。

「それは愛称ではないような……」

 僕はつぶやいた。

 

「ちなみにアイテムはいつできるのでしょうか~?」

 そう聞くイリーナ。

「んー、明日にはできるんじゃないかな。せっかくだし、城をちょっと案内するよ」

 そういうメリッサ。

「メリッサの城じゃないと思うんだけど……」

 そういうミレーヌ。

「でも私も城についてはわかりませんし、案内が必要ですわね」

 アメリーさんはそう言った。

 

 メリッサは歩いていく。まるで自宅のようだ。まあ、城慣れしてるんだろうなあ。

 

「そういえばさ、メリッサは城に住んでたわけ?」

 僕は聞いてみた。

「ん? まあスカイスナイパーズでは城もあったしね。私が買ったわけじゃないけど」

 メリッサは言った。

「そのなんちゃらスナイパーズって、ガチプレイヤーの集まりなんでしょ?」

 そう聞くおねえちゃん。

「いや、そうでもないよ。少なくとも私が居た頃は初心者か中級者の集まりだったね。まあ今じゃ皆上級者かもしれないけどね」

 メリッサはそう言った。

 

「意外だな。あのヴォルテックスもそうだけど、みんなそんなに上級者ばかりってわけでもないのかな?」

 そういうシビラ。

「まあぶっちゃけマイナーゲームだしね。私やオリアーヌみたいにやりこんでるプレイヤー少ないと思うよ」

 そういうメリッサ。

「とりあえず、あんたがド廃人だということはわかったわ……」

 頭を抱えるミレーヌ。

 

 僕達は、広々とした場所に出た。藁人形みたいなものやサンドバッグが置いてある。

 

「ここは?」

 僕は聞いた。

「ここは訓練場だね。個人訓練もできるけど、チームの連携を掴んだりするのに良いと思うよ。対人戦に向けて特訓しておきたいところだね」

 メリッサはそう言った。

「確かに、訓練は大切だろうね。ところでさ、どんなパーティーで戦うわけ?」

 ミレーヌは聞いた。

「んー、難しい所だね。相手によるし。まあ『ヒーラー』あたりは絶対必要だろうけど、後は難しい所だね」

 そういうメリッサ。

 

「考えてみれば、他のプレイヤーと戦うことになるのですね。あまりそのような戦いはしたくありませんが……」

 そういうアメリーさん。

「対人戦は難しいらしいよ。このゲーム、敵よりも他プレイヤーのほうがずっと危険な相手だってwikiにも書いてあったし」

 そういうレナータさん。

「まあ、それは当然でしょうね~」

 イリーナさんは言った。

 

「ヒーラーは必要なのはわかったけどさ。他はどうするわけ?」

 グレースが聞いた。

「ていうかさ、普通に前衛3人で殴れば良いんじゃないの?」

 おねえちゃんはそう言った。

 

「いや、そんな脳筋なやり方で勝てるほど甘くは無いよ。『サモナー』か『ネクロマンサー』で召喚魔法を使って、足を止める戦術があるしね。この2ジョブと、『メイガス』『テレパス』あたりも欲しい所……。前衛3人を並べるのは対人戦ではかなり勝ちづらい戦術だと思うね」

 メリッサはそう言った。

「スカイスナイパーズってのはどういう戦術なわけ?」

 シビラは聞いた。

「ガンナー主体の銃撃戦術だね。銃の扱いが上手い連中が多いんだよ。当然、前衛三人なんかで挑んだら蜂の巣にされて確実に瞬殺されますね」

 そういうメリッサ。

「うええ、そうなんだ。考えてみりゃ、そういう戦術もあるよね」

 僕は言った。

 

「ていうか、そんなのどうしようもないじゃん。どうするの?」

 そう聞くおねえちゃん。

「んー、例えば私のジョブ、『テレパス』は、銃撃を反射することができるんだよ。そういうジョブで挑むか、《緑魔法:射撃防御》なんかを使うというのもあるけどね」

 そういうメリッサ。

「私は緑魔法なんて使えないし、メリッサが鍵になりそうだね」

 グレースは言った。

 

「ま、敵はスカイスナイパーズだけじゃないし、とりあえずは対人戦のために仮想パーティーを組んで訓練かな。おにいちゃんを使うなら、召喚獣との連携も慣れてもらわないと」

 そういうメリッサ。

「僕が役に立つかな?」

 そういう僕。

「グラップラーはヒットポイント高いし、防御技も使えるから、壁としては使えるよ。前衛も必要ではあるんだよね。完全に後衛だけのパーティーもありだけど、かなり危険だしね」

 そういうメリッサ。

「難しいなあ。頭痛くなりそう」

 そういうミレーヌ。

「対人戦って難しいんだな。メリッサに任せるわ……」

 そういうシビラ。

 

 城の中には街のような場所があり、武器屋やカード屋もあるようだ。

 

「こりゃ良いな。武器もここで買えるわけか」

 そういうシビラ。

「まあ、そういうことだね」

 メリッサは言った。

「これぐらいの便利さは無いとね」

 そういうミレーヌ。

 

 僕達は街を出て裏通りへ。墓地を抜け、怪しげな掘っ立て小屋に来た。

 

「何ここ? 超悪そうなんだけど」

 そういうミレーヌ。

「ここが盗賊ギルドだよ。重要な施設だよ」

 メリッサは言った。

「そういやおまけで付けてくれるって言ってたね」

 そういう僕。

 

「んー、付けてくれるのは良いんですけど、なんというか、凄く悪そうな施設ですね……」

 そういうアメリー。

「あはは、そうだよね。盗賊ギルドっていうか、不良のたまり場だと思うんだけど」

 笑うレナータさん。

「そうですね~。私もここはちょっと……」

 躊躇するイリーナさん。

 

「気にすることないよ。お邪魔しまーす」

 そう言って入るメリッサ。僕達も仕方なく入る。

 

 中は更に壮絶だった。太ったおっさんや悪そうな顔の兄ちゃんがポーカーをして遊んでいる。タバコの煙までありそうだ。

 

「やあ女王陛下、何か用かい?」

 美人の化粧をした女性がやってきて、アメリーさんに声をかけた。

「え!? いや、その……」

 驚くアメリーさん。

 

「現在のランキングを確認したいんだけど」

 そういうメリッサ。

「あいよ。こっちを見な」

 そう言って女性は、黒板を示した。

 

 現在の ランキング です

 

 1位 ソニックレイジ 48階

 1位 ヴォルテックス 48階

 3位 スカイスナイパーズ 47階

 4位 ブラックゴースト 46階

 5位 ミラージュナイツ 45階


「おや、私達が首位になっているな」

 そういうシビラ。

「ま、どうせここで停滞するけどね」

 そういうメリッサ。

「ブラックゴーストのメンバーも来てるみたいだね」

 ミレーヌはそう言った。

「5チームしかないって事は無いでしょ?」

 僕は聞いた。

 

「そりゃそうでしょ。とはいえ、この時点でトップチームに食い込めたみたいではあるね」

 そういうメリッサ。

「へえ、そうなんだ。となれば、結構希望はあるかもね」

 ミレーヌは言った。

「賞金も狙えるかもしれませんね!」

 そういうレナータさん。

「ん~、でもそのためには、他チームと戦い、勝たないといけないのでは~?」

 イリーナさんが聞いた。

「むしろここで待っといて、他チームが潰し合うのを眺めときゃいいんじゃないの?」

 グレースは言った。

 

「それも一つの戦略ではあるけどね。ただ、他チームを倒すと相手のアイテムやジェニー、魔法カードを奪うことができるから、ドンドン倒してるようなクラスは有利だよ」

 メリッサはそう言った。

「チキンプレイというわけにもいかないだろうさ。でもそうなると、なおさらいつ50階層に進むかは難しくならないか?」

 シビラは聞いた。

「実際それは非常に難しいところだね。まあいずれにせよ、『ノーム窟』でノームを捕まえておきたいところだよ。ドワーフは武器を作ってくれるけど、アクセサリを作ってくれるのはノームだから」

 そういうメリッサ。

「そうなんだ……。何かマジで悪の魔法少女になった気分なんだけど」

 そういうおねえちゃん。

 

「ちなみに防具は?」

 僕は聞いた。

「防具はこの街の北東にあるグリーシーヌの森ってところで、エルフが作ってくれるよ。まあリアルマネーがかかるけどね」

 そういうメリッサ。

「やっぱりお金かかりまくるじゃん。なんとかならないの?」

 そういうミレーヌ。

「そういうゲームではあるんだろうな。私はずっと無課金でやってるけどさ……」

 そういうシビラ。

 

 僕達は盗賊ギルドを出て、横の施設に入った。木々があふれる中に建物がたくさん建っており、とても爽やかな場所だ。

 

「ここが『大学』だね」

 そういうメリッサ。

「へえ、良い所だね。何かグラウンドとかあるじゃん」

 そういうミレーヌ。

「ボールもあるな。サッカーできるわけ?」

 そう聞くシビラ。

 

「できるよ。サッカーでも野球でもバスケでもできるよ。ゲーム部に行くと麻雀もできるんだよね」

 そういうメリッサ。

「……麻雀はともかく、スポーツができるのは良いかもね」

 そういうミレーヌ。

「ここでスポーツをしてもあんまり体に良くはなさそうだけどね」

 僕は言った。

 

「この大学には図書館があって、そこでこのゲームについて勉強できるよ。知りたい人はぜひ行ってみてね」

 そういうメリッサ。

「まあ、図書館ですか。素敵ですわね」

 そういうアメリーさん。

「良いねえ。読書と洒落こもうか」

 そういうグレース。

 

「あたしはサッカーするぞ! ミレーヌ、やろう!」

 そういうシビラ。

「良いよ! 勝負しよう!」

 サッカーするらしい二人。

 

「やれやれ……。案内はこんな所?」

 僕は聞いた。

「まあそうだね。適当に解散しようか」

 メリッサは言った。

 僕達は解散し、思い思いの時間を過ごした。

 


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