第三十八話 夜の砂漠
その日もまた、僕達はゲーム内にやってきた。
12人全員揃った。結構みんな暇人なのかも……。まあ、賞金も出るわけだしね。
「それじゃあ、今日も進んでみようか。どんな感じで行くの?」
僕はそう聞いた。
「目標は39階のボスかな。あいつは魔法や超能力が効かないから、前衛中心で行かないとダメだね」
メリッサはそう言った。
「そうなんだ? 魔法少女なのに魔法効かない相手居るんだね……」
ミレーヌはそうつぶやいた。
「まあそういうことなら、前衛は私とカオリ、ミレーヌで良いだろう。後衛はどうする?」
そう聞くシビラ。
「それなら私とミルヤを連れて行きなよ。あとはヒーラーだよね、やっぱ」
そういうガリーナ。
「当然そのパーティーで良いと思うけど。アメリーさんもそれでいい?」
ミルヤが聞いた。
「もちろん構いませんわ」
アメリーさんはそう言った。
つまり、パーティーは僕、ミレーヌ、シビラ、ガリーナ、ミルヤ、アメリーさん。
この6人で砂漠へと進んでいく。
34階へとワープし、35階へ。すると、空が暗くなり、音楽や雰囲気も変わった。夜の砂漠は生命を感じさせず、神秘的だ。三日月が輝いている。
「こうして見ると、結構素敵なところもあるゲームですわね」
そういうアメリーさん。
「まあそうかも。基本的には敵と戦うだけみたいだけど……」
そういう僕。
砂漠を歩いていると、巨大なアリが現れた。人の大きさほどもある。凶悪そうな牙を鳴らし、襲ってくる。
「はあ!」
僕はその攻撃を腕で弾き飛ばす。大分、このゲームにも慣れてきたみたいだ。
「良いね。とりゃあ!」
ミレーヌの斬撃が決まる。のけぞるアリ。シビラも突きを放つが、かわされてしまう。
「てえい!」
ダキューン! とガリーナの銃撃が決まる。更にミルヤの射撃も決まり、アリは死んだ。
戦闘に勝利しました!
全員レベル29に上がった!
「結構レベル上がりやすいんだね、このゲーム」
僕はそう言った。
「そうだね。階層分くらいのレベルにはすぐ上がるよ」
そういうメリッサ。
36階へと進んだ。ライオン1体がこちらを睨む。
ガリーナがすぐさま銃撃をかけた。ダダダ、と拳銃が火を噴く。
激怒し、突っ込んでくるライオン。ミルヤの弓矢射撃が決まり、ライオンは死んだ。
戦闘に勝利しました!
全員レベル30に上がった!
「本当に強いね、銃と弓矢。何というか、違うゲームになってきたような」
僕は言った。
「あはは、そうだよね。銃と弓矢を極めると何というか、狩りゲームみたいになるから」
そういうガリーナ。
「結構弓矢を当てるのは難しいんだけどね。まあ、ちゃんと当たると楽しいよ」
そういうミルヤ。
37階へと進む。相変わらず砂漠は静かだ。
敵は狼5体のようだ。青く光る瞳で睨む。
「数が多いね。注意しないと……」
僕は言った。
「そうだな。油断しないように!」
シビラが忠告する。
狼たちが一斉に襲い掛かってくる。すぐさま、ガリーナが射撃体勢に入った。ダダダ、と連射するが、当たらない。ミルヤも射撃したが、外してしまった。
噛み付いてくる狼。僕は腕に食いつかれてしまった。
「くっ!」
何とか離そうとするが、離れない。ヒットポイントが減ってしまう。
ミレーヌも苦戦している。シビラはうまく敵を突き刺し、仕留めたようだ。
「落ち着け、敵はそんなに強くないさ」
シビラはそう言った。頼りになるなあ。
ガリーナも射撃するが、狼の動きが速い。かわされてしまう。接近されるが、ミルヤのゼロ距離からの射撃が決まり、一体を仕留めた。あと三体だ。
「ふっ!」
僕は噛み付いて来た狼を殴り、仕留めた。おねえちゃんは腕に噛み付かれていた。
「うわーん」
情けなく悲しむおねえちゃん。可愛いけど……。
「てえい!」
その狼をシビラが突き刺す。狼は死んだ。
「ありがとう、シビラ」
感謝するミレーヌ。後一体だ。
狼はシビラに突撃する。落ち着いてシビラは槍を突き刺し、仕留めた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル32に上がった!
「キャンプ」
シビラは宣言し、青い光が広がる。ヒットポイントが回復していく。
「大丈夫でしたか? 回復した方が良かったでしょうか」
そういうアメリーさん。
「いや、この程度のダメージなら大丈夫ですよ」
シビラはそう言った。
「それにしてもシビラさんカッコいいですね。強いし」
そういうガリーナ。
「そうかな? まあ、ランサーは長くやってるからね」
そういうシビラ。
「でも、なかなかあそこまで冷静にはなれないですよ」
そういうミルヤ。
「私もああも敵が多いと、ついつい混乱しちゃうんだよね……」
そういうミレーヌ。
「僕もだよ。大したものだよ、シビラは」
そういう僕。
「どうかな? まあ、すぐ慣れるさ」
シビラはちょっと照れていた。
38階へ。敵は巨大なサソリ三体のようだ。
『毒がある敵だから、気を付けてね』
メリッサがそう忠告した。
「サソリなんだから、そりゃ毒があるよな。気を付けて戦おう」
シビラはそう言った。
「まあそうだよね。これも危険な相手だね」
僕はそう言った。
サソリたちが襲い掛かる。ガリーナが一体を銃撃し、倒した。
ミルヤも矢を放つが、当たらない。
一体がこちらに向かってくる。尻尾による攻撃をかけて来た。
「ふっ!」
僕はかわした。毒がある以上、受けるのは危ないだろう。
もう一体はおねえちゃんへ。敵の攻撃をかわし、ミレーヌの斬撃が決まる。
更にシビラが槍で突きさし、倒した。
『こいつは槍や銃による攻撃が良く効くんだよ』
メリッサはそう言った。
「そうなのか。んじゃ任せようかな」
僕はそう言った。
ガリーナは狙いをすまし、射撃を放った。ガウーン! と音がして、サソリを仕留めた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル33に上がった!
「やったね! ダメージは無い?」
僕は聞いた。
「誰もダメージは無いよ。このままボスに挑めるね」
おねえちゃんがそう言った。
「それは良いけど、どんな相手なんだ?」
シビラは聞いた。
『んー、なんていうのかな。アリジゴクだよ。なんか吸われるんだけど、適当に殴ってれば倒せるはずだよ』
メリッサは言った。
「何それ。意味わかんないんだけど……」
混乱するミレーヌ。
『まあ、実際に戦ってみるのが一番早いだろうけどね。こいつも毒があるから、油断すると危ないかもしれないけど』
オリアーヌはそう言った。
「毒を回復する魔法もありますし、私が何とかしますよ」
アメリーさんはそう言った。
「……まあ、やるしかないでしょ。みんなで力を合わせて戦おう」
僕はそう言った。
「そうだね」「そうだな」
ミレーヌ、シビラは答えてくれた。