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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第一章 始まりの階層 1階~10階
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第二話 春風家の食卓


「ただいまー」

 お姉ちゃんはそう言った。

「おかえり、二人とも。薫くんもおかえりなさい」

 おかあさんがそう言う。まあ、本当のお母さんでは無いけど。

「ただいま、おかあさん」

 僕はそう言った。

 

 春風家はこの島にあるごくごく普通の家庭だ。おとうさんは漁に出ている。僕は両親が離婚して以来、この家にお世話になることが多かった。今は島を出て本土の高校に行っている。夏休みなので、帰ってきたのだ。

 

「薫くんも大きくなったわね」

 おかあさんはそう言った。

「そうでしょうか? でもお姉ちゃんと秋奈ちゃんも大きくなったかと」

 僕はそう言った。

「ふふふ、そうね。秋奈なんて、すごく楽しみにしてたのよ、薫くんと会うの」

 おかあさんはそう言った。

 

「ちょ、ちょっと! お母さん!? そんなに楽しみになんてしてないし!」

 照れる秋奈ちゃん。

「秋奈ったら嘘ばっかり。超楽しみにしてたじゃん」

 お姉ちゃんは言った。

「うう、お姉ちゃんまで! もう!」

 だだだ、と秋奈ちゃんは自室へと逃亡していった。

「あらあら」

 おかあさんは呆れて、夕食の準備に取り掛かっている。

 

 お姉ちゃんと二人、和室でテレビを見ることになった。どうでもいいテレビ番組が色々と放送されている。

「学校はどう? 薫くん」

 お姉ちゃんは聞いた。

「楽しいよ。みんな優しくしてくれるしね。でも、頑張らないといけないな、とも思うんだ」

 僕はそう言った。色んな人にお世話になって良い学校に行かせてもらっているのだ。怠けるわけにはいかない。

「そっか、大変だね。秋奈も、本土の高校に行くんだって頑張ってるよ」

 お姉ちゃんは言った。

「へえ、そうなのか。お姉ちゃんは?」

 僕は聞いた。

「私はもうこの島に住むよ。今更だしね」

 お姉ちゃんはそう言った。

 

 この島も基本的には過疎化が進んでいるが、近年では移住してくる人もいなくはない。そんなに不便というわけでもない。色々揃っては居るし、本土にも近く住みづらい島ではない。インターネットというものもあるしね。

 

「ごはんよ~」

 おかあさんの声が聞こえた。

 だだだ、と走る3人。僕が一番に席に着いた。

「おお、これは……」

 回鍋肉だった。豚肉とキャベツ炒めに黒い味噌がかかる。

 

「薫くんってば、急に帰ってくるんだもん。言っておいてくれたら、もっと良い物を用意したんだけど……」

 そんなことを言うおかあさん。

「いやいや。凄くおいしそう!」

 僕はそう言った。お姉ちゃんと秋奈ちゃんも席に着く。

「いただきまーす!」

 お姉ちゃんがそう言って食べ始めた。

「いただきます」

 秋奈ちゃんも手を合わせて、食べ始めた。

「では、いただきます」

 僕も食べ始めた。

 

「おいしい!」

 僕は素直にそう言った。ご飯が進む。

「当然よ。ママは世界一料理が上手いんだから」

 お姉ちゃんが言った。

「ふふ、そう言ってくれるのは嬉しいわね」

 おかあさんはそう言った。でも本当におかあさんは料理が上手い。絶対に店とかも出せそうだ。まあそのつもりはないらしいけど。

 

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