第三十六話 砂漠攻略戦
僕達4人が教室に戻ると、そこにはカトリーナ、ミルヤ、ガリーナの三人が居た。
「やあ、どうも」
そういうカトリーナ。
「おはよう。三人共来たんだね」
僕はそう言った。
「やっほー! いつも元気なミルヤちゃんだよ!」
本当に元気なミルヤちゃん。
「さあさあ、今日も進もうよ!」
そういうガリーナ。
「進めるかな? ヒーラーとか居なくて大丈夫?」
僕は聞いた。
「まあ、ここからの難度はそんなに高くないし、38階までは行けるとは思うけど」
そういうメリッサ。
「ここでグダグダしても仕方ないし、進もうよ」
そういうレナータ。
「そうだね。ま、よっぽど油断しない限りは大丈夫だと思うよ」
オリアーヌもそう言った。
「そうか。まあいつもシビラやアメリーさんに頼るのも癪だし、進もうか」
僕はそう言った。
「ええで、どんどんいこー!」
そういうカトリーナ。
僕達は進むことにした。しかし、どういうパーティーにするんだろう?
「30階からの注意点は?」
僕は聞いた。
「んー、そうだね。そんなに敵は強くないけど、毒攻撃とかしてくる敵も増えるし、できれば遠隔攻撃が欲しくなってくるね」
メリッサがそう言った。
「んじゃ私達に任せなよ。ガンナーが居れば問題ないっしょ」
そういうガリーナ。
「だよね。私達三人で行けば問題ないよ」
そういうミルヤ。
「せやで。ウチが攻撃力上げて射撃すればどんな相手もイチコロやで」
そういうカトリーナ。
「んー、何か骨の髄まで脳筋って感じだけど、まあそれでも良いんじゃないかな……」
オリアーヌはそう言った。
「それじゃあ前線はおにいちゃんで、ガリーナ、ミルヤ、カトリーナ、後ろは私とオリアーヌで良いかな」
そう言うメリッサ。
「ん、僕は必要なの?」
僕はそう聞いた。
「絶対必要だよ。そもそも前線がおにいちゃんしかいないもん」
そういうメリッサ。
「私を使ってくれても良いんですよ?」
そういうレナータさん。
「それでも良いですけど、プリンセスは突然死することもあるので、ヒーラー無しでは危ないですね」
オリアーヌはそう言った。
「んー、まあそうですね。ではここで応援しておきますね」
レナータさんは納得したようだ。
僕達は30階へ。そこから31階へと向かった。
砂漠にフルートの音色が流れる。ちょっと物悲しい。
「それにしても、ダンジョンなのに砂漠なんだね。何か広いし……」
そういう僕。
「まあそうだよね。細かい事はどうでも良いけどね」
そういうメリッサ。あまり深く考えると楽しめないゲームなのだろう。
敵はラクダのようだ。3体居る。こちらを睨む。
「ちょっと可愛いね」
そういう僕。
「えー、そうか? まあなんつーか、キモ可愛いかもやけど」
そういうカトリーナ。
突進してくるラクダたち。砂漠では油断ならない相手だろう。
「ふっ!」
僕は防御しようとするが、見事に蹴り飛ばされた。
「うわあ!」
驚く僕。ダメージを受けた。
「危ないで。《赤錬金:命中のカード》!」
カトリーナが錬金術を発動させた。味方全員の命中率が向上する。
「てえい!」
ダダダダダ、と自動拳銃を放つガリーナ。瞬く間にラクダたちが倒れる。
「それ!」
ビシュン! と矢を放つミルヤ。もう一体も突きさされ、死んだ。
戦闘に勝利しました!
全員レベル24に上がった!
「ふう。流石に遠隔攻撃は強いね」
そういう僕。
「そりゃそうだよ。銃は拳より強しだね」
ガリーナは言った。
「本来は命中率が悪いんだけど、アルケミストのフォローもあるしね」
オリアーヌはそう言った。
しばらく休んで回復した後、僕達は進んだ。32階へ。
ダダダ、と馬が走ってくる。弓を持った騎兵のようだ。二人居る。
敵が矢を放ってきた。ビシュン!
「はっ!」
さっとかわす。僕は敵に向かう。
「てえい!」
ガキュンキュン、と銃を放つガリーナ。見事命中し、一人を仕留めた。馬から落ちて消滅する。馬も消えた。
「それ!」
ミルヤも矢を放つ。しかし敵は素早く動き、かわした。もう一撃を放ってくる。
「くっ!」
ガス、と僕の肩に矢が刺さった。現実だと絶対痛そうだ。ダメージが入る。
「これなら!」
ガキューン、とガリーナが狙いを定め、見事に銃弾を命中させた。弓騎兵は死に、消滅した。
戦闘に勝利しました!
全員レベル25に上がった!
「ふう。それにしても、銃強いね」
そういう僕。
「そりゃそうでしょ。銃なんだから。弓矢よりもずっと命中率良いんだよ」
そういうガリーナ。
「ん? そうなの? じゃあ弓矢って何かイマイチ弱そうな気が……」
僕はそう言った。
「ああ、まあそうだよね。でも命中すると凄いダメージが出るんだよ、弓矢」
ミルヤは言った。
「そうなのか。現実とはちょっと違うんだね」
僕は言った。
「このゲームだと、雑魚戦ではガンナーが凄く強くて、ボス戦ではアーチャーが活躍する感じかな」
メリッサは言った。
「アーチャーは癖は強いけど、使いこなせれば強力だよ」
オリアーヌはそう言った。
「なるほどね。その辺はゲームとしてバランスが取られてるんだね」
僕は言った。
「せやけど、どんどんレベル上がっていくなあ」
カトリーナは言った。
「ああ、こんなもんだよ。むしろ低いぐらいだよ? もっとも、20層は危険すぎるから、このあたりでレベルが上がるのは当然だけどね」
メリッサは言った。
「そうなんか。じゃあこのへんで稼ぐわけ?」
カトリーナは聞いた。
「いや、それは論外だね。このゲーム、40層はありえないぐらい稼げるんだよ。だからまずはそこまで進まないとね」
オリアーヌはそう言った。
「オリアーヌの言う通り、40層は異名『採掘場』って言って、ゲーム内通貨や経験値なんかがありえないぐらい稼げるから、まずはそこで力を貯めるべきだよ。一度50階に進むともう戻れないからね」
メリッサは言った。
「そうなんだ。結構、知っておかないといけない事は多いんだね」
僕は言った。
「そういえば、50階では遊園地があるんだよ」
オリアーヌは言った。
「へえ、良いね。楽しそうじゃん」
ミルヤは言った。
「あ、でも楽しむとダメだよ。あの遊園地、遊んじゃうと二度と出られなくて、ゲームオーバーになるから」
恐ろしい事を言うメリッサ。
「なんやそれは……。デストラップかいな!」
叫ぶカトリーナ。
「このゲーム最大のデストラップの一つだね。まあ楽しい遊園地ではあるらしいんだけど……」
そういうオリアーヌ。
「全く意味が分からないんだけど、何でそんなことに?」
僕は聞いた。
「さあ? 遊園地で遊ぶようなお子様はそれ以降に来るなってことなのかなあ……」
メリッサは言った。
「ますます意味が分からないね。このゲーム女の子向きじゃなかったの?」
僕は混乱してきた。
「50階以降は他プレイヤーとの戦いも解禁されるし、大分ゲームとしては変わってくるんだよね。殺伐としてくるよ」
そういうオリアーヌ。
「そういうものなのか……。未だにこのゲームがクリアされてないのは、プレイヤー同士が足を引っ張り合うからなんじゃ?」
僕はそう聞いた。
「まあそうだよね。他チームにも勝てないと、ラスボス戦までは行けないよ」
メリッサは言った。
休憩後、僕達は33階へと進む。
黒い骸骨兵2体が現れた。ちょっと強そうだ。
ひとまず一体を殴り、破壊した。
もう一体が襲ってくる。敵は剣を振り下ろす、僕は腕で弾き、防いだ。
「おお、やるねえ」
褒めてくれるガリーナちゃん。多分彼女の攻撃は効かないんだろう。
「私達の攻撃は骸骨には効かないからね。頼むよ、カオリちゃん」
そういうミルヤちゃん。
僕は蹴りを放つが、かわされてしまった。動きも早い。
「《超能力:動くな》!」
メリッサの超能力が放たれ、敵の動きが止まる。
「はあ!」
僕の右拳が決まり、骸骨はバラバラになった。
戦闘に勝利しました!
全員レベル26になった!
「ふう。ありがとう、メリッサ」
僕は感謝した。
「無理しないでね、おにいちゃん。このゲーム、協力し合うことが大切だしさ」
メリッサはそう言った。
僕達は更に進む。34階へ。
巨大な石のゴーレムが現れた。
「う、ストーンゴーレムか。注意すべき相手だね」
メリッサが忠告する。
「硬いし、しぶといからね。戦うの?」
オリアーヌは聞いた。
「まあ、戦う分には問題ないと思うけど。経験値も多いし、たまに良い物を落としたりもするしね」
そういうメリッサ。
「そりゃ良いね。戦おうか」
僕は言った。
「気をつけてや~」
そういうカトリーナ。
僕達は戦闘を開始した。のっしのっしと歩いてくるゴーレム。2メートルぐらいはある。
「《超能力:動くな》!」
メリッサが敵の動きを止める。この能力万能だな……。
「総員、一斉射撃! とりゃー!」
そう言って銃を撃ちまくるガリーナ。ミルヤも射撃する。
全弾命中。しかしあまりダメージは入らない。
「流石にしぶといね。《赤召喚:サラマンダー》!」
オリアーヌが召喚魔法を使った。鬼火のような火の玉がたくさん現れる。炎を吐き出し、ダメージを与えていく。
「つああ!」
僕は攻撃する。だが、ガードされた。意外と敵の動きも良い。ゴーレムは腕を振り上げ、攻撃してくる。
「はあ!」
僕は腕を回し、タイミングを合わせ、その攻撃を弾いた。うまく弾けば、ダメージは0のようだ。
「ナイスおにいちゃん! 《超能力:精神破壊》!」
メリッサが強力な超能力を放った。かなりのダメージが入る。
「メリッサが一番ダメージを出せてるみたいやな。《赤錬金:精神のカード》!」
カトリーナの錬金術で、味方全員の精神力が向上する。テレパスは精神で攻撃するため、正しいようだ。
集中砲火をかけるガリーナとミルヤ。しかしゴーレムのヒットポイントはまだ残っている。攻撃してくるゴーレム。だが僕は攻撃をはじき返す。敵の攻撃は遅く、ワンパターンだ。これなら防げる。
「大したものだね。でもしぶといね、こいつ」
そういうガリーナ。
「切り札を使う?」
そういうミルヤ。
「それでもいいかもね。《第一の切り札:吹っ飛べ》!」
メリッサが切り札を使った。敵が吹っ飛び、大ダメージを受けた。
サラマンダーたちが突撃し、自爆する。あと少しだ。
「《第一の切り札:弾丸の雨》!」「《第一の切り札:アローレイン》!」
ガリーナ、ミルヤの二人も切り札を使った。ゴーレムはヒットポイントが切れ、倒れた。
戦闘に勝利しました!
全員レベルが28に上がった!
宝箱を発見しました!
「お、出たね! カオリさん、宝箱を!」
ガリーナがそう言った。
「よし。何が出るかなー」
そう言って、僕は宝箱を開けた。
※カオリは ★癒しの杖 を手に入れました!※
「お、ヒーラー用だね。アメリーさんこのパーティーの要だし、ありがたいよ」
そういうメリッサ。
「ラッキーだね。今日はこれで戻る?」
僕は聞いた。
「当然でしょ。メリッサ、撤退で良いよね?」
そういうオリアーヌ。
「もちろん。《超能力:帰還》」
メリッサの能力で、僕達は街へと戻った。
教室に戻ると、アメリーさんが居た。
「あ、アメリーさん。来てたんですか」
僕は言った。
「どうも。遅れて申し訳ございません」
そういうアメリーさん。
「そんなの良いですよ。はい、どうぞ」
そう言って僕は★癒しの杖を渡した。
「これは?」
そう聞くアメリーさん。
「さっき見つけたので。ヒーラー用みたいですし」
そういう僕。
「まあ、ありがとうございます。何だか申し訳ないですわ」
そういうアメリーさん。
「気にしないでください。アメリーさんがいないと、このパーティー駄目ですから」
そういうメリッサ。
「まあ私が言うのも何だけど、まったくもってその通りだよね」
苦笑するレナータさん。
「それでは頂いておきますね。お役に立てればいいのですが」
そういうアメリーさん。
「必ずや役に立ちますよ」
僕はそう言った。