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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第三章 海の階層 21階~30階 呪われし墓場
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第三十二話 難敵


 ゲーム内。

 

 お昼時になり、僕達はまたマジックガールズの中に集まった。現実世界は破滅的な暑さだし、もう現実に居たくないよね。

 

「こんにちは、元気?」

 僕は聞いた。

「ええ、もちろんですわ」

 アメリーさんが言った。

 

「魔法カードもたっぷり買い込んでおいたから、いつでも行けるよ」

 そういうグレース。

「もちろん私も買いまくっておきました! レアカードも結構手に入りましたよ!」

 そういうレナータさん。

「へえ、レアカードなんてのもあるんだね」

 僕は言った。

 

「まあそんなのは多分今のレベルじゃ使えないけどね」

 メリッサはそう言った。

「物によるけどね。合成魔法ぐらいなら使えるけど」

 そういうグレース。

「合成魔法?」

 僕は聞いた。

「いわゆる色を混ぜた魔法だね。赤と青なら紫魔法だよ。滅茶苦茶強いよ」

 そういうグレース。

「でもあれ、使うのに課金が必要だと思うんだが……」

 そういうシビラ。

「もちろん課金しといたよ」

 そういうグレース。

「そ、そうか。悪いな……」

 シビラは恐縮している。

「良いの良いの。私はお金持ちだしね」

 そういうグレース。

 

「後半まで乗り込むとなると、多少の課金は必要かもね。『城』とかは欲しいし……」

 メリッサは言った。

「最終的に賞金を取れるなら良いけど、難しいからね……」

 ミレーヌは言った。

「とことんがめついゲームなんだね。ちなみに城ってのは?」

 僕は聞いた。

「その名の通り城だよ。わりとなんでもできる施設だね。追加の施設も買わないと本領が発揮できないけどね」

 そういうメリッサ。

「そんなダウンロードコンテンツみたいなのもあるんだね。面倒なゲームだなあ」

 僕は言った。

 

「私の家は貧乏だから、そういうのはやったことないんだよな。どうしたものかな」

 シビラは言った。

「まあちょっとぐらいならお金使ってもいいだろうけどね。賞金もあることだしさ」

 ミレーヌは言った。

「うーん、悪いな。まあ課金については任せるよ」

 シビラは言った。

 

「それで今何階だっけ? 忘れたんだけど」

 そういうおねえちゃん。忘れっぽい。

「忘れないでよ。26階だよ」

 メリッサはそう言った。

 

「理想としてはボスも倒したいな。そういうパーティーを組もうか」

 シビラは言った。

「いや、油断は禁物だよ。少なくともテレパスが居ないと危険すぎる」

 オリアーヌは忠告する。

「ここから更に悪役が出る可能性は高まるからね。私は必須だよ」

 メリッサが言った。

 

「そうだな。まあ、前線三人とメリッサ、グレース、後一人は、アメリーさん、お願いできますか」

 シビラは言った。

「私ですか? よろしいので?」

 アメリーは聞いた。

「ボスに挑むとなれば回復役は絶対必要ですしね。保険ですよ」

 そういうシビラ。

「そういうものですか。私は構いませんが」

 アメリーは言った。

「よし、それじゃ出撃メンバーは集合してくれ」

 シビラはそう言って、メンバーを集めた。

 

 教室から26階へワープ。

 暗闇の海が広がる。光が見えない漆黒の海だ。

 

 そこから27階へ……。胸まで水に浸かる。

 

「……《超能力:感知》」

 メリッサが能力を使った。

 ピピ、と言う音と共に、★キングシャークと表示された。

 巨大な鮫が襲ってくる!

「! 《超能力:帰還》!」

 すぐさまメリッサが撤退の能力を使う。しかし、すぐには発動できない。鮫が来る!

 グシャ、と腕を噛まれてしまった!

「うわ!」

 驚く僕。ヒットポイントが一気に減ってしまう。まずい!

「ああ! 《白魔法:治癒Ⅲ》!」

 アメリーさんが回復してくれる。鮫は縦横無尽に泳ぎ、襲い掛かる。

「時間を稼いで! 何とか!」

 叫ぶメリッサ。危険な状況だ!

「くっ!」「ちい!」

 ミレーヌ、シビラも戦闘態勢に。しかし海のフィールド、素早く動く鮫は、どこから攻撃してくるかわからない。

 右後ろから僕の方に迫って来る。向き直り、対抗する。

 思い出せ、あの感覚を!

「ふっ……」

 すっと、僕は左にかわした。鮫は通り過ぎ、振り返ってまた襲い掛かる。

 またかわそうとするが、水が邪魔して上手く動けない。お腹に噛み付かれ、ダメージを受けた。

「くう……」

 痛みはないが、まずい状況だ。

「《白魔法:治癒》!」

 アメリーさんが回復してくれる。

「《赤魔法:雷撃》!」

 グレースの攻撃。しかし相手は水の中に居て、ダメージが薄い。

 

「発動までもう少し…… もう少し耐えて!」

 メリッサはそう言う。帰還能力が頼りだ。

 更に襲い掛かる鮫。完全に僕をターゲットにしたようだ。

「逃げて、薫くん!」

 叫ぶおねえちゃん。しかしもう逃げるわけには!

 

 何とか受けようとするが、タイミングが合わない、速すぎる!

 ガシュ、と腕を噛まれ、ダメージを受ける。

「……《白魔法:治癒Ⅱ》!」

 アメリーさんが回復してくれる。アメリーさんが居てくれてよかった。

 

「あと僅かだよ、何とか!」

 叫ぶメリッサ。更に鮫が襲い掛かる。

 その牙に合わせ、僕は腕を回し、弾いた。

 

 ※《拳技:回し受け》を習得しました※

 

「おお! やったね、おにいちゃん!」

 メリッサはそう言った。能力が発動し、僕達は帰還した。

 

「ふう……」

 僕達は始まりの街に帰還した。ヒットポイントが回復する。

 

「危ない所だったね。怖いゲームだね、これ」

 そういうおねえちゃん。

「サメに襲われるとか、なかなか現実でも体験できないしな」

 そういうシビラ。

「体験しちゃうと多分死ぬしね。そういう意味では貴重なゲームなのかも……」

 そういう僕。

 

「それにしても、見事な動きでしたね、カオリさん」

 そういうアメリーさん。

「いやいや、危ない所でした。アメリーさんこそ、回復してくれてありがとうございます」

 僕はそう言った。

「いえいえ。お役に立てて光栄ですわ」

 アメリーさんはそう言った。

 

「今日はもう、進むのは無理だね。また明日になれば消滅するから、明日行こう」

 そういうメリッサ。

「そうだね。おつかれさま」

 オリアーヌはそう言って、ログアウトしていった。

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