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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第二章 森の階層 11階~20階 潜む悪意
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第二十五話 デート


 ゲーム内。

 私とおにいちゃんは、二人でゲーム内に入った。でもソニックレイジのメンバーはまるで揃ってないみたいだ。

 

 まあそういうこともあるんだけど……。

 

「すぐに攻略とはいかないみたいだね。どうする? 秋奈ちゃん」

 おにいちゃんがそう言った。

「どうしようかな……。おにいちゃんに任せるよ」

 私はそう言った。

 

「そう言われてもね……。このゲームについては、僕は全然知らないし。何かスポットとかあるの?」

 おにいちゃんが聞いた。確かにそうだ。おにいちゃんはこのゲームについては初心者だし……。

 

「そうだね。噴水とかならあるけど」

 私はそう言った。

「良いね、行こうか」

 おにいちゃんはそう言ってくれた。

 

 もちろんこのゲームについては私は詳しい。隅々まで知っていると言っても過言ではない。とはいえ、攻略はしてないし、まだ知らなかったり、色々変化してる部分もあるかもしれないけど。

 

 でも始まりの街の東には、お洒落なスポットがたくさんある。おにいちゃんとデート、と言えるのかな。まあおにいちゃんが女の子になっちゃってるのがアレだけど……。

 

 噴水はもちろんあった。割と複雑な噴射を見せている。現実だとちょっと無理だろう。涼しさが広がる。

 

「へえ、良い所だね。それにお洒落だよ」

 おにいちゃんが言った。

「このあたりはお洒落スポットなんだよ、おにいちゃん」

 私は言った。

「そうなんだね。秋奈ちゃん、お洒落だから」

 おにいちゃんは言った。

「そ、そんなことはないよ」

 慌てる私。

 

 おにいちゃんはたまにこんなことを言う。ドキッとしてしまうけど、きっとどんな女の子にも言ってるんだ。間違いない。

 

 それにしても、この東地区にはデートスポットになりそうな場所がたくさんある。このゲームのコンセプトが謎すぎるけど。

 

「おにいちゃん、どこか行きたいところある? 動物園とか図書館とか、美術館とかあるんだけど」

 私は言った。

「動物園は良いかもね。あんまり行ったことはないし」

 おにいちゃんが言った。ちょっとお子様っぽいところもあるよね、おにいちゃん。

 

 動物園に入った。さっそく迎えてくれるのが、でかい象さんだ。

 パオーン! と声を上げ、水をぶちまけ、草を食べている。

 

「おお、大きいね」

 おにいちゃんが言った。実際かなり大きいけど、まあ現実で居るぐらいではあるらしい。

 

 その先には猿山がある。ボス猿の座を狙い、日夜骨肉の争いが繰り広げられている。

 

「あっちにはゴリラが居るよ。こっちは熱帯の動物だね」

 私は言った。

「秋奈ちゃん、詳しいんだね」

 驚くおにいちゃん。

「まあ、たまに暇つぶしで来てるからね。島だとこんな動物には会えないしさ」

 私は言った。

 

 ライオンも放し飼いにされている。現実だとありえないけど、このゲームなら問題ない。攻撃力は0になっているし。

 キリンの群れとフラミンゴの群れが競争していた。きっとフラミンゴが勝つだろう。

 

「お、パンダも居るね。割と何でもいるんだね」

 おにいちゃんは言った。

「そりゃもちろん」

 私は言った。

 

 その後レストランに行った。普通のレストランだ。私とお兄ちゃんはハンバーグ定食を食べることにした。

 

「おいしいね、秋奈ちゃん」

「うん、おにいちゃん」

 やっぱり、おにいちゃんと居るのは楽しい。できればこのまま、ずっと……。

 

「秋奈ちゃんは、幸せ?」

 おにいちゃんが聞いた。

「うん。おにいちゃんは?」

 私も聞いた。

「もちろん幸せだよ」

 おにいちゃんが言った。

 

 その言葉の意味はきっと重くて……。おにいちゃんだから、きっと。でも、私なんかでもおにいちゃんを幸せにできるなら、きっとそれは良い事だ。

 

「おにいちゃん」

「ん?」

「また来ようね」

「うん」


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