第二十四話 父と娘
「ふわあ……」
その日もまた、ゲームから現実に戻ってきた。
結構遊んでいる気がする。おにいちゃんも、ゲームに慣れてきたみたいだ。
「秋奈ちゃん、やっぱりこのゲーム、難しいね」
おにいちゃんがそう言った。
「そうだね。でもちょっと難しい所が、良いんじゃないかな」
私はそう言った。
「あはは、そうだね」
おにいちゃんはそう言った。
「宿題もしておこうか。わからないところとかある?」
おにいちゃんが聞いてくれた。
「ん、そうだね。教えてもらおうかな」
そんなにわからないところはないけど……。でもおにいちゃんと勉強するなら、きっと楽しい。
その時、キンコンキンコン、とベルが鳴った。
誰だろう、と思い、玄関に行く。
「はーい」
私は声を出した。
「帰ったぞー」
お父さんの声だ。
「おとうさんだね」
おにいちゃんが言った。
お父さんが帰ってきた。お父さんはたまに遠征してたまに帰ってくる。このあたりでも十分良い漁場なんだけど、たまに大きな魚がとりたくなるらしい。
「よう薫じゃねえか。元気してたか?」
「うん」
おにいちゃんは答えていた。
「あなた、おかえりなさい」
お母さんが迎えていた。
「ただいま。ほら、お土産」
そう言って何かを渡していた。
「あらあら、ありがとうございます」
お母さんは感謝していた。
「おかえり、お父さん」
「おう」
お姉ちゃんもやってきた。お父さんは所定の位置に寝っ転がって、テレビを見ている。ラグビーがお気に入りらしい。昔やってたとか……。
「お父さん、薫おにいちゃんも、私と同じゲームやってくれてるんだよ」
私は言った。
「へえ、そりゃ良かったな。まああいつは優しいからな」
お父さんは言った。
「そうだよね。おにいちゃんとっても優しいんだよ」
私はそう言った。
「あいつも苦労してるからな。すまないが、力になってやってくれよ、秋奈」
お父さんが言った。
「もちろんだよ」
私は言った。




