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マジックガールズ・センテナリーフェスタ  作者: 秀一
第一章 始まりの階層 1階~10階
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第二十二話 思い出


 その次の日、僕は釣りをしていた。

 

 桟橋で釣りをすれば、ある程度は釣れるはずだ。しかしその日は何故か悲しいほどに釣れなかった。まあそういうこともあるけど、勘が鈍ってるのかなあ……。

 

 釣り糸を垂らしてぼーっとしていると、一人やってきた。向日葵さんだ。

 

「や、薫くん」

 そう挨拶してくれた。

「どうも、向日葵さん」

 僕はそう言った。

 

 釣り糸には反応が無い。時間が流れる。

 

「釣れる?」

「いや……」


 どうも釣れそうにはない。今日は魚もお休みしているんだろう。

 

「薫くんは、幸せ?」

 そう聞いて来た。

 

「何故そんなことを?」

 僕は聞いた。

「だってさ。薫くんって、本当の両親は離婚しちゃったんでしょ。恋しくないの?」

 そんな風に聞いて来た。

 

「別に……」

 僕は言った。

「どうして? 普通は両親が好きなものでしょ」

 向日葵さんはそういう。

 

「そうかもしれませんね……」

 僕はそう言った。

「そうでしょ? 本当の両親って、とても大切なものよ」

 向日葵さんはそう言った。

 

「でも僕の父は、もういなくなってしまいましたし。母も入院してますから」

 僕は言った。

「……そうなんだ。お母さんとは?」

 聞く向日葵さん。

「会うこともありますけどね。……でも、僕は春風家の子供だったら良かったなって、そう思うんです」

 僕は言った。

「そっか……。ごめんね、変な事聞いて」

 そういう向日葵さん。

 

「良いんですよ。おねえちゃんも、そういう事はもう聞いてくれませんし。色んな人に迷惑をかけてしまったなって、そう思うんです」

 僕は言った。

「……」

 向日葵さんは、黙った。

 

 釣り糸が反応する。どうやらかかったようだ。

「お、来たね」

 向日葵さんは言った。

「よし!」

 僕は頑張って、小さいアジを釣り上げた。

 


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