第二十一話 危険な相手
人形を倒した僕達。宝箱が現れた。
「お、何が出るかな~」
開くシビラ。すると、緑色の武道着のようだ。
※シビラが ★風の武道着 を手に入れました※
「お、薫、お前のだな。どうぞ」
渡してくれるシビラ。
「良いの?」
僕は聞いた。
「当たり前だろ。これはグラップラー専用だぞ」
そういうシビラ。そういうことならと、受け取った。
早速装備する。本当なら服を脱がないといけないんだろうけど、ゲームなので適当に着ることができる。便利と言えば便利だ。
何とも良い感触の服だ。体が軽い。速度も上がったように思う。
「へえ、良い物だね」
僕は言った。
「★のついたアイテムはとっても優秀だよ。いわゆるアーティファクトってやつだね」
おねえちゃんが言った。
僕達は10階へと進んだ。雰囲気が大きく変わる。
部屋の中に奇妙な装置がある。中央に人型の何かが書いてある紋章? 4つの柱が立っていて、一つに赤い珠がはまっている。
「これは?」
僕は聞いた。
「そこのボタンを押してみなよ」
シビラが言った。
「ふむ……」
真ん中にある赤い珠を押した。キーン! と音がして、光が放たれた。
※ソニックレイジは 10階 に到達しました!※
※これ以後、ここにワープできるようになります※
※詳しくは《ヘルプ:ワープと帰還》を参照のこと※
「へえ、なるほどね。これでここからスタートできるようになるわけか。ん? でも今回は8階からスタートしたような?」
僕は聞いた。
「『帰還の石』を使うと、そこを帰還ポイントにしてセーブできるんだよ。まあテレパスが居ればアイテムも要らないから安上がりなんだけど。10階へのワープも10ジェニーはかかるけどね」
シビラが言った。
「なるほど。それで今日はどうするの? もう少し進む?」
僕は聞いた。
「冗談じゃないよ。11階以降はまた性質の違う危険が待ち受けているからね。敵も強いし。今日のところはこれで終わりにしよう」
シビラは言った。
「同感だね。このゲーム、無理は禁物だよ、可愛いグラップラーちゃん」
そういうオリアーヌ。
「ふうん? 結構慎重なんだね。そんなに危ないの?」
僕は聞いた。
「危ないなんてもんじゃないよ。10階以降はこのゲームでも最強最悪の敵が出るからね。私も何回か殺されてるし……」
そういうミレーヌ。
「え、そうなんだ。10階でもうそんなことに!?」
ビビる僕。
「10階層はまだマシで、20階層はもっと危険だけどね。大体その辺で初心者は挫折するものなんだよ」
グレースは言った。
「意外と序盤の難易度が高いゲームなんだよね、これ。とにかく、カオリは初心者だから、私達の指示に従って欲しい。でないと死ぬだろうし」
シビラは言った。
「そうなんだ、わかったよ。何事も経験は重要だからね」
僕はそう言った。
僕達は装置を使い、教室へと帰還した。
「おかえりー」「おかえりー」
カトリーナやメリッサ達が迎えてくれた。12人揃って結構大所帯になったものだ。
「ひとまず9階突破おめでとうさんやな。いよいよ10階以降に突入やな」
そういうカトリーナ。
「そういうことだね。ちなみにどんな感じのパーティーで行くの?」
僕は聞いた。
「10階以降は、★ヘルスパイダーっていう超ヤバい敵が出るんだよ。いわゆる悪役なんだけど。こいつとの戦いを避けるためにテレパス、つまり私が必要だね」
メリッサは言った。
「あいつの吐く糸に絡まれると、全然弱くなっちゃうしね。あれは卑怯だよ」
ミレーヌが言った。
「ふうん、そうなんだ。勝つのは無理?」
僕は聞いた。
「無理だね。断言できるよ」
オリアーヌは言った。
「とはいえ、これまであまり活躍してない人も使いたいけどね。そいつを除けば大した相手は居ないしさ。ま、1層の敵が少し強くなったぐらいだから」
そういうシビラ。
「私も使ってください!」
アピールするレナータ。
「必死やな、レナータさん」
そういうカトリーナ。




