第十七話 レベル上げ
そんなわけで、僕達はアメリーさんのレベル上げをすることになった。
「とにかくヒーラーのレベルを上げる! これが第一だ!」
そういうシビラ。
「あの、私もレベル1なんですが……」
そういうレナータ。
「黒プリのレベルなんてどうでも良いよ」
辛辣なメリッサ。
「酷い! そんなこと言うとグレちゃいますよ!」
半泣きになるレナータ。
「その魔法選択の時点で半グレな気がするけどね……」
オリアーヌも割と辛辣である。
「二人とも新入りを虐めちゃ駄目だよ。レナータさんのレベル上げも必要でしょ」
そういう僕。
「まあそうだよね。でもプリンセスは本当に死にやすいから危ないけどね……」
そういうおねえちゃん。
「そうなんだよな。とはいえ、やらないわけにもいかないし。まあ二人を入れるとして、前衛は私とカオリ、ミレーヌ。後衛はアメリーさんとレナータと、うーん、後一人はどうするかな」
考えるシビラ。
「悩むなら私を使ってよ。ちょっとは実力を見せたいからね」
そういうオリアーヌ。
「おお、ついにサモナー様の登場やな!」
そういうカトリーナ。
「サモナーが居れば安心だな。じゃ、そのパーティーで行くか。今日のところは4階までにしようか。慎重に行こう」
シビラは言った。
「異論はないよ。それで行こうか」
僕は言った。
そんなわけで僕達はダンジョンに入った。まずは一階。
まずは人形が現れた。僕にとっては厄介な相手だ。
「よーし、てえい!」
おねえちゃんが突撃する。剣をぶん回し、ズタズタに切り裂いた。
戦闘に勝利しました。
アメリーはレベル2に上がった!
レナータはレベル2に上がった!
「まあ、上がりましたわね。ありがとうございます。ちなみにどういう風に動けばいいですか?」
そう聞くアメリー。
「基本的には、無理をしないでください。誰かが危なくなったら回復魔法を使って欲しいですが」
シビラは言った。
「回復魔法ですね。わかりましたわ」
そういうアメリー。
「ちなみに私はどうすれば?」
聞くレナータ。
「危ないから、絶対に敵には近づかないでね。何もしないで良いから。息もしないで良いから」
無茶を言うミレーヌ。
「死ぬじゃん! いやゲームだから死なないけどさ! 何か私とアメリーさんで扱い違わない!?」
叫ぶレナータ。
「いじられキャラと化したね。せめて回復魔法使えたら重宝されただろうに……」
何となく共感する僕。
2階へと進んだ。またしても人形だ。しかも2体。
「一体は私が。もう一体はどうする?」
ミレーヌが聞いた。
「私にお任せあれ!」
そういうレナータ。
「……まあ、任せようか。黒プリの実力、見せてね」
ミレーヌは言った。
「行きますよ! 《赤魔法:火炎弾》!」
魔術を放つレナータ。見事に命中し、人形一体を倒した。
もう一体はミレーヌが切り裂いた。
戦闘に勝利しました。
アメリーがレベル3に上がった!
レナータがレベル3に上がった!
「ふふん、どんなもんよ!」
得意がるレナータ。
「まあ、大したものですわね」
褒めるアメリー。
「駄目ですよアメリーさん。こいつは多分褒めると調子に乗るタイプですから」
やっぱり無茶を言うおねえちゃん。
「うっさいわ! 何なのよもう!」
叫ぶレナータ。
「まあ、仲がよろしいですわね」
そういうアメリー。まあ仲は良いのかも……。
三階へと進んだ。スライムが現れた。
「む、スライムか。てえい!」
普通に攻撃する僕。しかしふよん、と弾かれダメージが無い。
「あれ?」
僕は驚いたが、スライムの攻撃を受け、ダメージを受けてしまった。
「駄目だよカオリちゃん。スライムには打撃攻撃は通用しないんだよ」
おねえちゃんが言った。
「そうなのか。どうしようもないじゃん!」
そう言って逃げる僕。
「このゲームの基本ですけど、知らないんですね。では、《赤魔法:火炎撃》!」
レナータの魔術が発動。炎の波動がぶつかり、スライムは燃え、溶けた。
戦闘に勝利しました。
アメリーがレベル4に上がった!
レナータがレベル4に上がった!
「レナータさん、実は結構このゲームに詳しいんですか?」
僕は聞いた。
「まあね。頼りにして貰っても良いよ!」
そういうレナータ。
『それなら回復魔法を覚えてくれればいいのに……』
「まったくだよね……」
ツッコむメリッサとオリアーヌ。
「良いの! 私は攻撃魔法が好きなんだから!」
そういうレナータ。やっぱり脳筋ではあるようだ……。
僕達は4階へと進む。狼2体が襲い掛かってきた。
ダダダ、とやって来る。速い!
一体は僕が捕まえ、打撃を加えた。しかしもう一体は後衛へと飛び込んでいく。
しかしオリアーヌさんが鞭を構え、ぶっ叩いた。バシン!
「グルゥ……アウアウ!」
哀れ、狼は悲鳴を上げた。容赦なく鞭で叩きまくるオリアーヌさん。そのまま狼は死んだ。
「つ、強いね、オリアーヌさん。後衛とは思えないんだけど」
そういう僕。
「だよね。いや、このゲームなんかサモナー強いからさ。だから私はサモナーやってんだけど」
そういうオリアーヌさん。彼女もある意味脳筋かもしれない……。