第十六話 進むか否か
その次の日。昼間。
シビラたちは悩んでいた。ボスに挑むべきか否か。
「行こう!」「突撃だー!」「わーい」
「いやいや……」「流石にちょっと……」
反対しているのはメリッサとオリアーヌ。この二人はこのゲームの熟練者で、ヒーラー無しで突撃することの危険性を知っている。
ただ全体的には、突撃派優勢であった。こいつらは基本的に脳筋なのだ(^^;
「このメンバーなら行けるって! 余裕余裕!」
急先鋒はおねえちゃん、ミレーヌ。やる気満々だ。まあ九階のボスは剣弱点らしいので、きっと活躍してくれる。
「そうそう。今更ここで停滞なんてありえないって。とりあえずボス倒してから考えようよ」
そういうグレース。
「冗談じゃないよ。誰か一人死んだら終わりなんだよ? ここはヒーラーの加入を待つべきだよ」
そういうメリッサ。
「同感だね。ていうか、ヒーラーを育てないといけないし、これ以上進むのは無意味だよ。8階までで鍛えておけばいいさ」
そういうオリアーヌ。
「えー、弱気すぎ! 大丈夫だって。私も超強い弓もらったしさ!」
試し撃ちしたい感のミルヤ。
「残念だけど、あのボスに弓矢は効かないよ」
そういうメリッサ。
「え、そうなんだ。うーん、それは残念……」
割と残念そうにするミルヤ。
「それはともかく、どうするんや? どっちにせよ、ヒーラーが来ない以上はしゃあないやろ」
そういうカトリーナ。
「そうだぞ。ここはとりあえず進んで、それから……」
シビラはそう言ったが。
「あの、すいません……」
突然割り込んでくる謎の黒髪少女。
「何でしょうか? 今立て込んでるんですが……」
僕はそう言った。
「ああ、それは申し訳ありません。ただ、ヒーラーを求めておられるようですし……」
そういう少女。
「む! もしやあなたは、ヒーラー大明神様では!?」
目を輝かせるガリーナ。
「大明神では無いですが、ヒーラーではありますね」
そういう少女。
「やった! あなたを求めていたんです! わーい!」
超喜ぶメリッサ。
「良かった良かった」
喜ぶオリアーヌ。
「良いんですか? 色々とツッコミどころ満載のチームなんですが……」
僕は言った。
「はあ。ちなみに私はアメリーと申します。ふつつかものですが、どうぞお引き回しください」
そういうアメリー。
「引きまわすなんてとんでもない! これから我々はあなたの命令で動きますので!」
指揮権を渡そうとするおねえちゃん。
「いやいや。リーダーは私だからな! まあアメリーさんの都合には合わせますけどね!」
そういうシビラ。
「面白い方々ですわね。ただ私は今日始めたばかりで、レベルが1なんです。ご迷惑をかけるかもしれませんが、構いませんか?」
そう聞くアメリー。
「構いませんよ。アメリーさんのレベル上げを行いますので」
そういうシビラ。
「ありがとうございます。お優しい方々で助かりましたわ」
そういうアメリー。
その時、不安そうな女の子が話しかけてきた。
「あの、すいません。こちらで募集をされているとか」
そういう女の子。
「ああ、そうですね。もしかして、ヒーラーの方とか?」
僕は聞いた。
「いや、『プリンセス』なんですけど。どうでしょう? 御迷惑ですか?」
そう聞く女の子。
「とんでもない! やりましたね! これで12人揃った!」
喜ぶメリッサ。
「そうだね! ちなみにお名前は?」
聞くオリアーヌ。
「『レナータ』です。どうか、よろしくお願いします」
レナータはそう言った。
「ありがとうございます。ちなみに魔法の色は何を?」
聞くメリッサ。
「魔法の色?」
僕は聞いた。
「ああ、プリンセスは魔法の色を3つ選択できるんだよ。それによって結構傾向が変わってくるからね」
メリッサは言った。
「そうですね。黒魔法と赤魔法と青魔法ですよ!」
そういうレナータ。
「脳筋だ……」「脳筋だ……」
呆れるメリッサとオリアーヌ。
「え、そうですかね?」
慌てるレナータ。
「何故白魔法を習得しないのか謎なんですが……」
そういうメリッサ。
「いや、だって黒魔法と赤魔法超強いし! 青魔法は必要ですからね!」
そういうレナータ。
「いや、黒魔法と赤魔法を両方使えるメリットって無いと思うんですが……」
そういうオリアーヌ。
「色々あるんだね。魔法についても教えてもらいたいな」
僕は言った。
「まあ、グラップラーだと別に魔法は要らないけどね」
そういうメリッサ。それで魔法少女って言えるのかな……。