第十話 前進
「さて、まずはパーティーを組むか。どうするかな……」
悩むシビラ。
「んー、まずおにいちゃんとシビラは確定だよね。前衛だし」
メリッサは言った。
「良いの? でも確かに前衛が足りないような」
僕は言った。
「そうだよな。ミレーヌが居ないし……。後衛はテレパス、メイガス、ネクロマンサーで行くか。後一人は、ガンナーかアーチャーにしよう」
シビラは言った。
「そういう事なら私が行くよ! 良いでしょ?」
ガンナーのガリーナが言った。
「そう? んじゃ任せようかな」
アーチャーのミルヤは引き下がった。
つまり前衛は僕とシビラ、ガリーナ。
後衛はメリッサ、グレース、イリーナ。
ということになるだろう。
メンバーを連れて、不思議な空間に入った。学校の教室のようだが……。
「ここは?」
僕は聞いた。
「教室だよ。ここでサブメンバーはメインの活躍を見ることができるぞ」
シビラはそう言った。
「せやな。んじゃウチはここで取材させてもらうで!」
カトリーナは言った。
「あの新聞、嘘塗れだと思うんだけど……」
メリッサは言った。
そんなわけで塔へと入った。以前ほどの人はいない。昼間だからだろう。
まずはウサギが三体襲ってきた。基本的雑魚のようだ。
「よっと!」
ダダキュダダダダ! とガリーナが拳銃を連射し、瞬く間に全員撃破した。
戦闘に勝利した! 経験値3とジェニー3を得ました。
「さすがは銃だね。滅茶苦茶強いじゃん」
僕は言った。
「そりゃあもう。序盤だと敵なしだよ」
ガリーナはそう言った。
「まあちょっとお金はかかるけど、強いんだよな、ガンナー」
シビラは言った。
2階に進むと、人はもういなくなった。静かなダンジョンになる。
今度は大きなネズミが襲ってきた。
「弱いから、銃弾の無駄だね。おにいさんに任せるよ」
ガリーナはそう言った。
「よし、やってみる!」
僕はネズミの前に立った。チューチュー、と鳴きながら襲ってくる。
ブン! と敵のパンチを右にかわし、左足で前蹴りを食らわせた。
※《拳技:前蹴り》を習得しました※
ネズミはダメージを受け、消滅した。
戦闘に勝利しました。
カオリはレベル6に上がった!
『おめでとう、おにいさん』
カトリーナがどこからともなく祝福してくれた。
「へえ、教室からの声も届くんだね」
僕は言った。
『せやで。ちゃんと余さず覗かせてもらってるからな』
そういうカトリーナちゃん。
『まだまだ行けるよね。前進前進!』
ミルヤも応援してくれた。
三階へ進んだ。心なしか、ダンジョンも複雑になってきた気がする。
慎重に進む。
すると、突然髑髏の顔の骨戦士が現れた。
「うわあああああああ!」
ビビり、声を上げる僕。
メチャクチャ笑われた。
「あはははは! ビビり過ぎだぞ! 薫!」
超笑うシビラ。
「う、うるさい! あんなのビビるに決まってるだろ!」
逆ギレする僕。あれは絶対怖い!
「ふふ、まああれは初めて見ると絶対驚くよね。それじゃあよろしくね、カオリちゃん」
そういうグレース。
「ええ、僕が戦うの? 銃とかで倒してよ~」
情けない事を言う僕。
「駄目だよ。あいつ銃効かないんだよ。でも拳は効くから行けるって」
そういうガリーナ。
「仕方ない、戦うか……」
慎重に構え、前進する僕。女の子たちが応援する。
「がんばれー」「ふふ、がんばれー」
若干半笑いな気もするが……。
骸骨兵は剣を振り上げ、こちらに斬りつける!
それをかわし、顔面に拳をいれた。
バシン! というエフェクトと共に光が放たれた。どうやら弱点を突いたようだ。この骸骨は拳に弱いらしい。
骸骨兵は崩れ、バラバラになって死んだ。
戦闘に勝利しました。経験値5とジェニー10を手に入れた。
「大した事は無かったね」
そういう僕。
「お前ビビリすぎなんだよ。あんなの雑魚だって」
そういうシビラ。
4階に行くと、狼が3体出てきた。が、ガリーナが銃を連射し、瞬く間に片付けた。
「こうして見ると、そんなに難しいゲームというわけでも無いのかな」
僕は言った。
「油断は禁物だぞ。まだ序盤、本番は5階からさ」
そういうシビラ。