第九話 集結
朝のトレーニングを終え、僕は家へと帰った。
「おかえり! おにいちゃん」
秋奈ちゃんが迎えてくれた。
昼食が出来ていた。豚の生姜焼きと味噌汁とご飯だ。
「いただきまーす!」
僕はそう言って、食べた。とてつもなくおいしい。
「おいしい!」
僕は言った。
「おいしいって言ってくれるのが何より嬉しいのよ」
おかあさんはそう言った。
昼になった。太陽が常識外れの照り方で、外は暑すぎる。昼寝の時間だろう。
「ゲームしようよ、おにいちゃん」
秋奈ちゃんが言った。
「そうだね。そういえばさ、新聞部のメンバーもソニックレイジに入るとか言ってたよ」
僕は言った。
「へえ? 優奈たちに会ったんだね」
秋奈ちゃんは言った。
「秋奈ちゃんは友達でしょ? ていうか、新聞部のメンバーなの?」
僕はそう聞いた。
「一応ね。あんまり部には顔出してないけど」
そういう秋奈ちゃん。それは帰宅部と言うのでは……。
それはともかく、僕達は機器を装備し、畳に寝転がった。
「それじゃあ、先に行くね」
秋奈ちゃんはそう言って仮想世界に飛び込んでいった。僕もそれを追う。
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僕達はまた仮想世界に戻ってきた。始まりの街は今日も美しい。ここも何とも気分の良くなる街だ。
カフェに行くと、すでに桃花たちと優奈たちが談笑していた。
「やあ、こんにちは」
僕は挨拶した。
「お、来た来た。待ってたよ、カオリ」
そういうシビラ。
「へえ、どう見ても女の子やんか。まあそらそやけどな」
関西弁の白い髪の女の子。多分優奈だろう。後ろの二人は銃と弓矢を持っているようだ。
「こいつらもウチに入ってくれた。紹介するよ。カトリーナ、ミルヤ、ガリーナの三人だ。ま、リアルの方も知ってるだろうけどさ」
シビラはそう言った。
「よろしく! おにいさん」
「よろしくね! おにいさん!」
そういうミルヤとガリーナの二人。
「大分メンバーも揃ってきたね。とりあえず、みんなのジョブを教えてくれない?」
秋奈ちゃん……メリッサはそう聞いた。
「そうだな。私はランサー、槍使いだ」
シビラはそう言った。
「私は『メイガス』、つまり魔法使いだね」
そういうシビラの後ろの女性。
「君は?」
聞く僕。
「ああ、『グレース』だよ。こっちは『イリーナ』ね。まあリアルの方も知ってるだろうけど、それは隠すのがルールだしさ」
そういうグレース。まあ、向日葵さんだろう。
「えーと~、私は『イリーナ』で~、『ネクロマンサー』です。うーん、まあ悪い魔法使い、みたいな~? そんな感じかな~?」
イリーナはそう言った。ほたるさんに違いない。
「ウチはカトリーナ、『アルケミスト』やで。まあ錬金術師やな。地味やけど重要なジョブなんやで」
そういうカトリーナ。
「私は『アーチャー』、つまり弓矢使いだね。結構強力なジョブなんだよ!」
そういうミルヤ。
「私は『ガンナー』、銃使い! カッコいいでしょ?」
そう言って拳銃をクルクル回すガリーナ。
「私は『テレパス』、超能力者だね」
メリッサは言った。
「僕は『グラップラー』、格闘家かな。ちなみに強いジョブとか弱いジョブとかあるわけ?」
僕は聞いた。
「そんな単純なもんではないで。それぞれ強みがあったり弱みがあったりするもんなんや。例えば、グラップラーは確かに強いけど搦め手には弱いし、ウチのアルケミストなんかは弱いけど色々役に立つジョブやで。適材適所やな」
カトリーナはそう言った。
「そういうこと。ただ、『メイガス』や『テレパス』なんかは重要だけどヒットポイントが低くて死にやすいんだ。逆にグラップラーやランサーなんかはヒットポイントが多く、そう簡単には死なない。だから後衛のジョブを守る事も重要だぞ」
そういうシビラ。
「まあ、ヒーラーが居ればもう少しマシなんだけどね。ヒーラーが居ないのがヤバいと思うんだけど」
そういうメリッサ。
「せやな。募集すべきやな」
そういうカトリーナ。
「カフェで募集しておくよ。まあそれはともかく、これだけメンバーも集まったんだし、本格的にパーティーを組んで攻略しようぜ。九階のボスだって行けるだろ」
そういうシビラ。
「いや、それこそヒーラーが居た方が良いと思うんだけど……」
不安なメリッサ。
「ダイジョブダイジョブ。何とかなるなる」
そういうカトリーナ。
「その根拠のない自信がどこから来るのか謎なんだけど……」
やはり不安なメリッサ。
「まあ、ヒーラーが来るかは五分五分だしな。まずは進んで名を上げようじゃないか」
シビラはそう言った。