第八十六話 本日の食事
その日も僕は、ゲーム世界に潜った。
見るとオリアーヌさんがフォークとナイフで何か食べていた。四角い肉のようだが。
「おはようございます、オリアーヌさん。何を食べてるんですか?」
僕は聞いた。
「ああ、テリーヌだよ」
そう言うオリアーヌさん。
「テリーヌですか。名前は聞いたことありますけど」
僕は言った。
「まあ厳密には、パテ・ド・カンパーニュとか言うけどね。このゲームではフランス料理も食べ放題なんだよ」
そういうオリアーヌさん。
「そうなんですか。そりゃいいな」
僕は言った。
僕はフランス料理のカウンターに行ってみた。見た事も聞いたことも無い料理が並ぶ。
「わかんないな……」
そんなことを言う僕。
「どしたの? カオリ」
おねえちゃんが来た。
「あ、おねえちゃん。いや、フランス料理って難しいな、とか思ってさ」
僕はそう言った。
「確かにそうだよね。じゃあイギリス料理にしたら? わかりやすいよ」
そんなことを言うおねえちゃん。確かにわかりやすいだろうけど、それは何か負けた気がする。
「どうせならアメリカ料理にしたらええねん」
そんなことを言うカトリーナ。
「わかりやすさはアップしそうだね。どんな感じ?」
僕は聞いた。
「ハンバーガーとかステーキとか、ターキーとかマッケンチーズとかフライドポテトとかシカゴピザとかあるんやで」
そんなことを言うカトリーナ。聞いてるだけで太りそうだ。
「まあ食べたいものを食べれば良いんですよ。絶対に太らないし、体にも害はないですしね」
そういうレナータ。
「んー、まあそりゃそうだけどね……。でもさ、それならいくらでも食べ続けられるってこと?」
僕は聞いた。
「そうですよ? 三日三晩ステーキを食べ続けた女の子とか居ましたね」
そう言うレナータ。それは女の子としてどうなんだろう……。
「んー、悩むな。オリアーヌ、僕は何を食べれば良いかな?」
投げた僕。
「いや好きなものを食べなよ。食べてる感を味わいたいならステーキで良いんじゃ?」
そういうオリアーヌ。
「まあそうだね。よし! ステーキとフライドポテト食べよっと!」
僕はそんな感じにすることにした。
「攻めるねカオリ。私はどうしようかな。せっかくだし、私もそうしようか」
そんなことを言うおねえちゃん。
「んじゃ私は北京ダックにしよっと」
そうするカトリーナ。
「じゃあ私は鯖サンドにします!」
何故かトルコ料理にしたレナータ。
「どうでも良いけど、カロリー高そうやな」
そういうカトリーナ。
「確かに……。あんまり健康には良くなさそうだね」
僕はそう言った。まあ食べないと強くなれないんだけど。