第八十四話 地獄攻略編
メンバーが揃い、僕達は城の作戦室へと集合した。
「いよいよ80層ですね。どんなところなんですか?」
レナータさんが聞いた。
「いわゆる『地獄の階層』だね。70層みたいに魔法効かないということはないから、パーティーの自由度はあるけど、ただ危険な敵も多いから気を付けないとね」
メリッサは言った。
「危険な敵と言うのは?」
僕は聞いた。
「何と言っても、『地獄ネズミ』だね。もの凄い攻撃力があるから危険だよ。もっとも、グラップラーで瞬殺すれば良いんだけどね」
そういうメリッサ。
「グラップラーじゃなきゃダメなのか?」
シビラは聞いた。
「駄目じゃないけど、打撃弱点だしグラップラーがベストだよ。常識的に考えて、ここからはグラップラーは外せないね」
メリッサは言った。
「そっか。役に立てるなら良いけどね」
僕は言った。
「地獄ネズミは悪名高いしな。ここでそいつに殺されて終わったパーティーも多いんだ……」
そういうオリアーヌ。
「他には?」
僕は聞いた。
「別に注意点では無いけど、魔剣を手に入れた人が多いから、そのメンバーを主に組みたいかな。まあアメリーさんはいずれにせよ必須だけどね」
そういうメリッサ。
「そうですか。私も責任が重くなってきますね」
そういうアメリーさん。
「ヒーラーも必要だね。どんな感じのパーティーになるの?」
僕は聞いた。
「まあ前衛はいつもの三人で、後衛がアメリーさん、私、レナータさんかな」
メリッサは言った。
「ついに私の時代が来ましたね……!」
そういうレナータさん。
「レナータさん、魔剣に運命の指輪まで持ってるんだし、活躍してくださいよ」
グレースが言った。
僕達は80階へワープし、81階へと進んだ。
そこはまさに地獄。荒涼とした大地に、溶岩の池がボコボコと音を立てている。蒸気で空気が歪む。暑い感じがする。
「まさに地獄って感じだね」
僕は言った。
「そうですね……」
アメリーさんが答えた。
いきなり赤いネズミが現れた。凶悪そうな顔をしている。
「うわああああ! おにいちゃん! 早く仕留めて!」
叫ぶメリッサ。
「くっ! とりゃあ!」
僕はすぐさま突撃した。
バキバキ、と僕に殴られ、鼠は即死した。
戦闘に勝利しました!
全員レベル80に上がった!
《最後の切り札》を覚えた!
「ふう……。危ない所だったね」
メリッサが言った。
「ちょっと大袈裟じゃないか?」
そう聞くシビラ。
「とんでもない! こいつに攻撃されたら最後、どんなキャラでも大抵即死するんだよ! 見た目に騙されちゃだめだよ」
そういうメリッサ。
「そうなんですかー。しかも赤かったですしね」
アメリーさんが言った。
怪しげな宝箱を発見しました!
「宝箱も気になるけどさ、最後の切り札を覚えたみたいだね」
僕は言った。
「あ、そうだね。もちろん超強いし、一日一回は使えるからどんどん使ってね」
メリッサは言った。
「ま、それはともかく、お宝お宝~」
そう言って宝箱を開けるミレーヌ。
見ると、白く美しいカードのようだ。★★魔剣『嫉妬』と表示された。
「カトリーナの魔剣だね。他プレイヤーの能力を飛躍的に向上させる神降を持つよ」
そういうメリッサ。
「そういやさ。神降ってのは結構色んなパターンがあるわけ?」
シビラは聞いた。
「そうだね。まあ前衛のは単なる透過攻撃だけど、後衛のは色々と複雑だよ。使い方も様々だね。まあ使わないに越したことは無いけどね……」
メリッサはそう言った。
『《ヘルプ:神降》で確認できるよ』
オリアーヌは言った。
「よーし、《ヘルプ:神降》」
僕は確認してみた。
※ ★★魔剣『原初』の神降 は ※
※ 『破滅せしめよ原初の神よ』(n倍透過攻撃)です※
「n倍透過攻撃と出たね」
僕は言った。
「神降を放つ時は、浸食率を上げる必要があるんだよ。上げた分のダメージが出るよ。50%までと言えばそこまで上がるね。まあラスボス戦以外で使うのはやめといた方が良いけど、最後の手段としてはありかもね」
メリッサはそう説明した。
『とりあえずウチの魔剣を渡してーな』
そういうカトリーナ。
「ああ、そうだね」
僕はそう言って、魔剣をワープさせた。
82階へと進む。屈強な黒兵士3人が敵のようだ。
「よーし! 《赤魔法:超新星爆発》!」
いきなり最強魔法を放つレナータ。
ドーン! と大爆発が起き、敵3体は死んだ。
戦闘に勝利しました!
全員レベル81に上がった!
「ふふん! どんなもんです!」
得意がるレナータさん。
「卑怯極まりないけど、まあ有効だね」
苦笑するミレーヌ。
少し休んで83階へ。
巨大な金色のスライムが相手のようだ。
「う、スライムか……」
苦手な相手だ。多分拳は通じない。
「《超能力:攻勢精神》!」
味方の攻撃力を上げるメリッサ。
「《赤魔法:超新星爆発》!」
ドーン! と最強魔法を放つレナータ。敵を撃破した。
戦闘に勝利しました!
全員レベル84に上がった!
「パターン化してきたな。もうあたしたち要らなくないか?」
そんなことを言うシビラ。
「そんなことはないけど、魔剣と指輪持ちのプリンセスは強いからね……」
そういうメリッサ。
美しい宝箱を見つけた!
「よーし、開けちゃいますよ!」
そう言って開けるレナータ。
中には緑色の宝石。★★運命の指輪『エメラルド』だ。
『おねえちゃんのだね』
メリッサは言った。
「お、そうなんだ。ありがたくいただこっと」
そう言ってミレーヌは指輪を装備した。
「どんな感じ? おねえちゃん」
僕は聞いてみた。
「んー、動きは良くなったかもね。あ、カオリが付けてくれても良いんだよ」
そんなことを言うおねえちゃん。
「いやいや。もう外せないでしょ」
僕はそう言った。
84階へと進む。深層へときた感がする。
巨大な紅い悪魔が襲ってきた。
「《赤魔法:超新星爆発》!」
遠慮なく最強魔法を放つレナータ。ドーン! と決まる。しかしものともせずに突撃してくる悪魔。その手に持つ槍でシビラを突いた。
「うぐ!」
ダメージを受けるシビラ。後退する。
「《白魔法:治癒Ⅱ》!」
すぐさま回復するアメリーさん。頼りになる。
「たああ!」
敵に食らいつき、拳を放つ。バキバキ、と決まる。
「《剣技:一刀両断『桜』》!」
ミレーヌの斬撃。しかし槍で防御され、跳ね返された。
「うっ」
ミレーヌも後退する。一筋縄ではいかなそうだ。
「……《赤魔法:火炎球》」「《超能力:否定》!」ガキン キュウン
敵の魔術はメリッサがキャンセルした。
「《赤魔法:雷撃》!」
バシーン、と敵に雷撃を放つレナータ。少し動きを封じた。
「はああ!」
ガガガ、と手甲による殴り攻撃を加える僕。ダメージは出ているようだが、しぶとい。
「《槍技:烈火槍》!」
グオオオ、と燃え上がるシビラの刺突撃。ダメージが入った。
「《剣技:痛みを知れ『薔薇』》!」
ミレーヌの三連刺突。見事に決まった。あと少しだ。
「ふっ! 《拳技:爆砕拳》!」
渾身の力で一撃を加えた。悪魔はついに倒れた。
戦闘に勝利しました!
全員レベル86に上がった!
怪しげな宝箱を発見しました!
「ふう……。敵も本当に強くなってきましたね」
アメリーさんが言った。
「そうですね。よっと」
シビラが宝箱を槍で開けた。
そこには黒く汚れた鎌があった。★★魔剣『死神』と表示された。
『イリーナさんのだね』
メリッサは言った。
「なかなか私のは手に入らないなあ」
そういうミレーヌ。
『まあこればっかりは運だからね』
オリアーヌはそう言った。
85階へと進む。城塞のような迷宮に入った。ラストダンジョンっぽい。まあそういうわけでもないみたいだけど。
人型の巨大な赤色の怪物2体が現れた。棍棒を持っている。
「強そうな相手だね」
僕は言った。
「負けないよ!」
ミレーヌが剣を構えた。
棍棒で襲い掛かる敵。僕はその攻撃をかわし、蹴りを加えた。下がる敵。
おねえちゃんは殴られ、苦戦しているようだ。
「《白魔法:治癒Ⅱ》!」
ミレーヌを回復するアメリーさん。
シビラがミレーヌの救援に入る。魔剣を突き刺す。後退する敵。
「《赤魔法:災禍》!」
強烈な炎を放つレナータ。敵一体が燃やされ、死んだ。
「《超能力:精神破壊》!」
メリッサの超能力。もう一体にもダメージが入る。僕とミレーヌ、シビラで囲み、タコ殴りにして倒した。
戦闘に勝利しました!
全員レベル88に上がった!
怪しげな宝箱を発見しました!
「さあ、開けようか」
ミレーヌが宝箱を開ける。
中にはギョロリ、と目玉が付いた剣が。いかにも魔剣だ。
「これ何? 気味が悪いけど」
そういうミレーヌ。
『『奇眼』は私の魔剣だね』
オリアーヌは言った。
『これも強力な魔剣だよ。大分揃ってきたね』
メリッサは言った。
86階層へ。城には松明が燃えている。
「こうして見ると、ファンタジーっぽいけどね」
僕はそう言った。
「一応ファンタジーではあるんだろうな」
シビラはそう言った。
※宝物庫を発見しました!※
「お、宝物庫だね」
僕は言った。
「どうするんだ?」
シビラは聞いた。
「もちろん、攻略しないとね。敵によってはかなり厄介だろうけど、報酬も多いはずだよ」
メリッサは言った。
「んじゃ行こうか」
ミレーヌは宝物庫への扉を開けた。僕達は宝物庫に入って行った……。