21 底で
今なら分かる。私の計画は間違いだった。
結末が崩壊した以上、そう判断するしかない。
咲希ちゃんを怒らせてしまった。彼女の怒りは私に直接ぶつかり、私を内部から焼いていった。この熱は冷まそうと努力しても、なかなか冷めなかった。いつまでも私の中に残ってしまうように思われた。これは呪いの残熱だ。忘れようとしても、絶対忘れなられない呪いなのだ。私はこれに耐えるしかない。
咲希ちゃんに嫌われてしまったのなら、私は何を理由に生きていけばいいのだろう。何が生きる気力を与えてくれるのだろう。……どうも他の目的を見つけられそうになかった。
この世界に希望はあるのだろうか。
私にとって今の世界は、耐えるに耐えられないものであり、辺りは暗闇が支配していた。暗闇はどこまでも続き、光は一切見えなかった。これまで生きてきて初めて、暗闇の世界を体験した。地球上に私一人だけが、取り残されてしまったような、孤独と高揚があった。
それでもなお、私は咲希ちゃんのことを気にしていた。咲希ちゃんは今、どうしているのだろう。咲希ちゃんは今、何を思っているのだろう。私のことを憎んでいるのだろうか。私のことを蔑んでいるのだろうか。それとも、私のことなんか考えていない? それもありえるかもしれない……。考えたくもないほど嫌っているのだろう。だとしたらそれはそれで楽だ。私に憎悪をむけている咲希ちゃんを、想像しなくて済む。
咲希ちゃんに嫌われていても、明日は学校に行かなければならないのだ。サボってしまったら、家族に何を言われるか分からない。正直行きたくなかった……。気分が沈んでいて、どこにも行きたくなかった、何もしたくなかった。部屋でじっとしてるのが得策だと思った。そうやって休んでいれば、いつかは素晴らしい打開策が、思い浮かぶに違いない。しかし明日は、無理矢理にでも起きて、学校に行かなければならないのだ。