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未来への道

作者:

 今は八月。今年も暑い夏がやってきた。夏と言えば、海・プール・花火!今年はどれも楽しくなる。だって、大好きな人と一緒にいることができるから。

 去年は友達としたけど、あんまり盛り上がらなくて楽しくなかった。でも今年は、彼とずっと一緒。これだから学生はいいんだよね。だって、働いてたら夏休みなんてないだろうから。

 あっ。まだ、私の名前言ってなかったね。私の名前は、山川(やまかわ)(なつ)()。後、彼の名前は水本(みずもと)(ゆう)()って言うの。いい名前でしょ。あれ?小説なのに、なんで読者に話しかけてくるんだって?細かいことは気にしないの。

 それに、その方が読みやすくない?この話はね。私が本当に感動した出来事の話だよ。そしたら楽しんでね。


 今日から、やっと待ち望んでいた夏休み。今年の夏休みは、一味違う。今年は、優輝と一緒にいろんなところに遊びに行くんだ。ある意味、毎日デートが出来る!

 まず今日は、海へ泳ぎに行く。だけど、優輝と二人で行くはずだった海なのに。優輝が、

「二人ではいつでも行けるんだから、何人か誘って行こう。」と言って、優輝は勝手に友達を四人も誘っていた。

 私は、優輝と二人で行けると思っていたのに!私は怒った。

「なんで!私は、二人で行きたかったのに!」

 優輝は、私が怒ってるのにもかかわらず、小さく微笑み私の顔を見た。

「ごめんな。俺も二人の方がいいとは思ったんだけどさ。俺、今しか作れない思い出を夏樹と作りたかったから・・・。二人の思い出はいつでも作れるけど。みんなとの思い出は、今しか作れないから。」

「何よ!そんな事言ったって、許さないんだから!二人で行きたいから断ってと言いたいところだけど、誘っちゃったら仕方ないね。今さら断るのも悪いから。でも、次に海に行くときは絶対に二人じゃなきゃ嫌だからね!」

 優輝は

「いいよ。」と言った。私も、まだまだ甘いのかな。ここは、押し切って誘ったのは断ってと言って断らせるべきだったかな?

でも、一つだけはっきりした。優輝は、かなり先のことまで考えてくれている。ただ、そんな優輝にフラれないか不安。優輝は、いつも私の事を考えてくれているのに、私は自分のことしか考えてない。

もしも、そんな私に優輝が疲れてしまったらと思うと不安。今まで、二人が言い合った喧嘩はした事がないけど。それはいつも、私が一方的に言うだけで、優輝は、ほとんど言い返しては来ない。ある程度、私が言い終えると優輝は、ニコッと笑い

「落ち着いた?」と言って私をなだめてくれる。

私はきっと、優輝以外の人だったら見捨てられているような気がする。普通は、いろいろな事を言われたら我慢できずに思いっきり言い返してくるはず。

でも、優輝は言い返すどころか、私の事をなだめ許してくれる。本当に心の広い人。もしかしたら、私にはもったいないないのかもしれない。

私と付き合って、優輝は本当に幸せなのかな?最近、ずっとそんな事を考えてしまう。

でも、今は優輝やみんなと海へ行って思いっきり遊ぼう。優輝と私は、みんなとは別の車で向かった。残りの四人は、いろいろと荷物を用意するために、私たちとは別行動にしてくれた。

車の中は、私と優輝の二人っきり・・・。って、そんな事いっぱいあるから、逆に気を使って欲しくなかったのに!優輝も少し怒っていた。

「まったく。ありえないよな。せっかく、みんなで行くんだから、三人三人に分かれて移動すればいいのによ。そこに気を使う前に、他で使えっての!」

 優輝が怒るのは、本当に珍しいことだった。優輝は、自分がどんなに嫌な目に合っていても、ほとんど怒ることはない。優輝が怒るとすれば、意味のない事をされるのと、他人を傷つけられること。

「ほんとよね。でも、みんなが気を使うのは、わからなくもないんだけどね。みんなは、少しでも二人でいられるようにしてあげたいと思ってるんだと思う。」

「う〜ん。それは、わかるんだけどな。それでも、やっぱ納得いかねぇ。せっかく、みんなとの思い出を少しでも作るために、計画したのに・・・。まぁ、いいか。とりあえず、今日は楽しもうな。」

 私は、

「そうだね」と言った。私もあまり納得できないけど、ここで優輝と同じように怒っていたら、優輝の機嫌は悪いままで、海についてもいい思い出が作れないから。

 だから、優輝が納得してくれてよかった。私と優輝は、その後車の中でずっと話しながら海へと向かった。一時間ほど経ち、やっと海が見えてきた。

 私は海が見えた瞬間に、

「海だ!」っと、大きな声を出してしまった。優輝は笑顔で、

「ほんとだ。」と言った。私は優輝が、運転中だからあんまり興奮しないように、したかったのだけど無理だった。

「見て見て。綺麗だよ。やった!海だ!早く泳ぎたいな。」

 運転中で、あまり海の方を見れない優輝は、私に言った。

「そうかぁ。夏稀が喜んでくれてよかったよ。よし!ちょっと飛ばすぞ!」

 優輝は、アクセルを踏み少しでも早く着けるようにしてくれた。優輝が飛ばしてくれたおかげで、すぐに着いた。車を駐車場に止めると、私は車からすぐに降りて海へと走った。

 私は、足を海につけた。冷たくて気持ちいい。周りにもあまり人はいない。私たちは、良いタイミングで来たみたいだ。

「夏稀。少しは手伝ってくれよ。俺一人じゃ、荷物を持ちきれない。」

 荷物と言っても着替えと、食料だけなのに。少しは、頑張って欲しい。

「そんなに、荷物もないんだから頑張ってよ。男でしょう。」

「なんだよそれ。男とか関係ないだろ。せっかく、遊びに来てんだから荷物運ぶくらい手伝えよ。」

 私は、

「いや。」と言って海の冷たさと潮風を感じていた。優輝は、荷物を浜辺に置き、私の隣にきて背伸びをした。

「う〜ん。気持ちいいなぁ。いい天気で風が気持ちいいよな。やっぱ、海はいいよなぁ。」

 久々に、優輝が心から気持ちよさそうにしている姿を見た気がする。いつもは、バイトや学校が忙しくてあんまりリラックスする暇がない。一応、私に会ったときは

「心が安らぐよ。」とは言ってくれるが、私はいつも、優輝にわがままを言うから優輝は、心が安らぐどころか毎日、辛いんじゃないだろうか?

 優輝から見て、私はどんな感じなのだろうか?優輝は、本当に幸せなのかな?ダメだ!また考えてしまう。こんな事を考えるより、今を楽しもう。それが、私にとっては一番のような気がする。

「そういえば、あいつら遅いよな。どこで何をやってんだか。夏樹、先に泳いどくか?俺は、いろいろ準備するけど。」

「いいよ。みんなが来てからにする。一人で泳いでも面白くないし。けど、浜辺を散歩してくるね。みんなが来たら、呼びに来てよ。」

 優輝は、

「わかった。」と言って荷物から着替えや食べ物と出していき揃えていっていた。

 私は、ゆっくりと浜辺を歩いた。私は優輝と今後どうするべきか、今後どうなるかを考えた。

私は、わがままで自分勝手。いつも相手の言う事を聞かないし、理解しようともあまりしない。そんな私とは逆に、優輝は相手の事を理解し、相手の考えをしっかりと受け止めてくれる。ただ、納得のいかない事だけは絶対に反対する。

でも、優輝は本当に私の事をよく理解してくれていると思う。私がわがままを言っても、優輝は必ず

「そうだよな。」と納得し考えてくれる。

私のわがままが通るかは別にしても、私のわがままを

「絶対に違う!」とは言わない。優輝が次の日に、朝の早くからバイトがある日に私が

「今日は一緒にいたい」とわがままを言っても、優輝は絶対に

「いいよ。」と言ってくれる。

私が泊まる日は、優輝はほとんど寝ることはない。私が寝るまでは、絶対に寝ない。私が起きる時には、優輝はバイトに行っている。いつも起こさないように静かに出かけて行ってくれる。

そして、必ず置き手紙がある。メールだと、私を起こしてしまう可能性があるためらしい。内容は、だいたい決まっている。

「おはよう。今日もいつもの時間に終わるから。行って来ます。部屋の鍵、ちゃんと閉めとけよ。」

 私は、その手紙を読んでから家に帰る。こんな事を、いつも繰り返ししている。たぶん。優輝の睡眠時間は、毎日4時間あるかないかぐらい。もちろん。私が家に行かなければ、優輝はゆっくりと寝れるのだが、私にはそれが出来ない。

 でも、最近優輝が冷たくなってきたような気がする。最近は、あまりにも何度も家に行こうとしたりすると、優輝が真面目な顔で私に向かって言う。

「俺の家に来るのはいいけどよ。友達と遊んだり、親と一緒に一日いたりとした方がいいぞ。俺の家には、いつでも来れるけど。友達とは今しか遊べないし、親とは出来る限り一緒にいた方がいいぞ。」

 私には、その意味がわからない。友達や親よりも、彼氏を優先することの何が悪いのかが。だから、いつも気にせず優輝の家に行くのだけど。優輝は、何か意味があっていっているとは思う。

 でも、今の私には理解できない。私は一人でいるのが嫌だから、優輝の家に行き寂しさを忘れようとしているのに、優輝にはそんな気はないのだろうか?

 私は、親と一緒に住んでるから、まだ完全に一人なわけではないが、優輝は一人暮らしだから私が来ない日は、いつも一人で家にいる。

 こうやって、落ち着いて考えていると、私には優輝はもったいないのかなと思う。やっぱり、優輝には幸せになってほしいから、別れた方がいいのかな。

 私が浜辺を、ゆっくりと歩きながら考え事をしていると、

「夏樹!」と優輝の声が後ろから聞こえた。私は、足を止めて振り返った。優輝は、私の前で止まり私の手を掴んだ。

「さぁ。戻るぞ。みんながやっと着いてな。とりあえず、もう昼だから飯を食うことになったんだ。早く戻らないと、みんなに全部食われちまう。」

 優輝は、私の手を握ったまま走り出した。

「ちょっと。早いよ。もう少しゆっくり行こうよ。」

「何言ってんだよ。飯が無くなったら大変だろう。でも、もう少しゆっくり行くか。走って戻っても、すぐに食べられないもんな。」

 優輝は、私の手を握ったまま走るのをやめて、歩いてくれた。

「ごめんな。夏樹の事も考えずに、急に走りだしちまって。飯なんかいつでも食えるもんな。それよりも、この海を見ながら歩いた方がいいもんな。」

 優輝は、歩きながら私に言った。優輝は、疲れておなかが空いていたから早く戻りたかったのだろうと私は思う。

 でも、優輝は自分のことより私に気を使ってくれた。すぐに戻っては、この景色をゆっくりと見る時間が無くなってしまうからと思ったのだろう。

 私は何をしているんだろう。こんなに、優輝は私の事を思っていてくれているのに、私は自分の事ばかり考えている。私はほんと、ダメな女なのかも知れない。

「優輝。いつもごめんね。」

「なんだよ急に。何を謝ってんだよ。」

 優輝は、不思議そうな顔で私を見た。私は、そんな優輝を見た瞬間に涙がこぼれた。優輝は、足を止めて私の正面にまわった。

「なんで泣くんだよ。どっか痛いのか?足か?さっき走った時に、くじいたのか?」

「・・・。違うの。ごめんね。急に泣いちゃって。優輝は、本当に優しいね。優輝は、いつも私の事を考えてくれる。けど、私は優輝に何もしてあげれてない。私はいつも、迷惑をかけてるだけで優輝にとって重りになってるんじゃないかと思って・・・。」

 私は、優輝がどんな顔をしているのかが涙で見えなかった。私は、手で顔を隠した。

「夏樹・・・。いつもそんな事を考えていたのか?ごめんな。夏樹が苦しんでいる事に俺は気付かなかった。でもな夏樹。俺は、夏樹が重りになっているなんて思った事がないし、夏樹はいつも俺に大切なものをくれてるよ。」

「そんなはずないよ。だって・・・。だって、私はいつもわがままを言ってるだけだよ。私、ずっと考えてるの。このまま、優輝と一緒にいて、優輝は幸せなのかなぁって。」

 すると、優輝がいきなり私を抱きしめた。私は驚いて、顔から手をどけた。

「夏樹。俺は、夏樹から自分の居場所をいつも貰ってるんだよ。俺は、一人で何でもしなければいけないと、いつも思ってる。けどな。それはある意味、自分を追い込み寂しい人間に変えていってしまうんだ。でも、夏樹といると自分は一人じゃないんだと思えるんだ。自分の事を思ってくれている人がいる。そう考えられるようになるんだ。だからさ。俺は今、とても幸せだよ。夏樹と出会えて本当に良かったと思ってる。俺が幸せだと思わないときは今だ。夏樹の泣いてる姿を見ることが、俺にとって一番の不幸だ。だから、もう泣くな。いつものように笑っていてくれよ。」

 優輝は、私の肩に手を置き少し離れ私の顔をじっと見た。

「本当?私でいいの?」

「おう。そうだ!明後日の花火大会は二人で行こう!そこで、今の夏樹の思いをぶっ飛ばしてやるよ。」

 私は、よく意味が理解できなかったが

「うん。」と言った。優輝は、笑顔で私の手を握った。

「よし!そしたら、決まりだな。それじゃあ、みんなのところに戻ろうか?さすがに、帰りが遅いから心配してるかもな。」

 私は涙をぬぐい、ほほ笑んだ。そして、ゆっくりと優輝と歩き始めた。私、どうしてこんな事を言ったんだろう?でも、嬉しかった。優輝の気持ちを知ることができた。

 まだ、少し不安で気持ちの整理が出来ないけど。でも、優輝が私を思ってくれている限り、私は優輝にずっと付いていくことにする。

 そう考えている間に、みんなの待っている場所に着いた。みんなは、もう食べていて盛り上がっていた。

 優輝と私が戻ってきたことに気づいた友達が、

「遅いよ。」と言って迎えてくれた。優輝と私は

「ごめん。」と言い、みんなと一緒にご飯を食べた。ご飯を食べ終わった後、みんと海で泳いだ。

 私と後の女の子二人は、近くにあった、もう誰もいない海の家で着替えた。優輝と後の二人は、タオルを腰に巻いて着替えたようだ。女みんなが、着替えて男の方へ行くが、別に何も反応なく、

「よし!泳ごう。」と一人の男が言って、みんな海に入った。

 私は、優輝に近づき

「どう?」と聞いてみた。優輝は、私の方を向き

「かわいいよ。」と言ってくれた。

 私と優輝も、海の中に入り遊んだ。ビーチボールで遊んだり、シュノーケルをつけて泳いだりと、みんなでおもいっきり楽しんだ。遊び続けて何時間がたっただろう。気がつけば、夕方になっていた。

 私は、疲れてきたので海から出て浜辺に座った。それを見た優輝が、

「そろそろ帰ろう。」と言った。みんなも、疲れてきていたようで優輝の意見に賛成した。

 また同じ場所で、女と男にわかれて水着を着替えた。着替え終わった後は、みんなでゴミの片づけをした。片付けが終わった後、来た時と同じように車に乗って帰ろうとした。

 私は、優輝が何か言うんじゃないかと思ったのだが優輝は何も言わずに車に乗った。来るときは、三人ずつで来たかったのにと言っていたのに、帰りは何も言わなかった。

 私も車に乗り、みんなに

「またね。」と言って車が発進した。やっぱり、優輝は何も言わなかった。私は気になり聞いた。

「ねぇ優輝。どうして帰りは、もう一人乗せて帰ろうと思わなかったの?」

「え?どうしてって言われてもな。まぁ、来るときとは違うってことかな。来るときは、楽しむことが目的だったけど、帰りは違う。夏樹も今日は、かなり疲れただろうから、どうせなら二人で帰った方が静かにできて、休めるかなと思ってな。」

 そうだったんだ。優輝は、私が疲れてるから少しでも休めるようにするために。

「ありがとう優輝。それじゃあ私、少し休むね。」

 私はそう言い、車の中で眠った。私は結局、優輝に起こされるまでずっと寝ていた。私は、頭がボーとするなか車から降りた。

 優輝も車から降りた。私は、優輝の方を向いた。

「今日はありがとう。楽しかったよ。また行こうね。」

「ああ。夏樹、明後日の花火大会忘れんなよ。明日はゆっくり休め。疲れたままじゃ、花火大会は楽しめないからな。」

 私は頷いた。優輝は

「じゃあな。」と言い。車に乗った。私は、優輝に手を振った。優輝も手を振り返してくれ、その後車を発進させた。

 私は、家の中に入った。今、家族は旅行中で私は家でお留守番。私はとりあえず、着替えたものを洗濯し、お風呂に入った。私は、お風呂につかりながら今日の事をゆっくりと思い返した。

 今日の私は、いつもとは違うような気がした。いつもは、強気でいるのに今日は、弱気だった気がする。物事を悪く考えてしまい、優輝に心配をかけてしまった。

優輝は、私といて幸せだとは言っていたけど。本当に幸せなのだろうか?今は良くても、いずれは私の事を嫌いになるんじゃないだろうか?

 でも、今日は本当に楽しかった。いつもより、ずっと楽しかった。いつもは、優輝と二人だけど、今日は優輝と友達が一緒だったからいつもの倍は楽しかった。

 優輝の言う通りにしていて良かった。もしも、あのまま優輝と二人で行っていたら楽しいことは楽しかっただろうけど、こんなにも楽しくはなかったと思う。

 私は、本当に幸せ者だ。優輝がいてくれるおかげで、今年の夏休みは今までにないぐらい楽しむことができそう。次は、花火大会だし。

 でも、優輝は何を考えているんだろう?私の思いを吹き飛ばすって、どういう意味なんだろう?私が抱えている悩みは、優輝のこれからの幸せの事。それを吹き飛ばすことなんてできるのだろうか?

 まぁ、考えても仕方ないし、そろそろ出よう。私は、お風呂から上がった。私は、髪の毛などを整えてから部屋へ行きベッドに横になった。

 ベッドに横になると、すぐに眠りにつくことができた。

私は、携帯の鳴る音で目を覚ました。私は携帯を開いた。優輝からメールだ。

(昨日はお疲れさん。さすがに、もう起きてるよな?明日の花火大会だけど、夏樹の家に十九時に迎えに行くからな)

 という内容だ。もう起きてるってどういうことだろう?今何時だろう。私は時計を見た。もう、十四時だ。さすがに、寝すぎていたみたい。

 私はとりあえず、優輝に了解とメールを打って返した。私は、ベッドの上に座りボーとしながら、テレビをつけた。別に何か見たいわけではないのだが、なんとなくつけてみた。

 私は頭がボーとするなか、またベッドに横になった。今日は、もう動く気になれなかった。体もだるいし、別に何か約束があるわけでもないので、もう一度寝ようと思ったのだけど、今は夏休み。暇な時には、宿題をしよう。

 私は、ゆっくりとベッドから起きて机に向かって座った。とりあえず、簡単で早く終わるものから片付けた。宿題の半分を終わらしたところで、私は止めた。時計を見ると、十九時だった。

 私は、リビングに行き夕飯を作って食べた。ご飯を食べ終わった後、私は少し休憩し、お風呂に入った。お風呂に三十分ほど入り、出て髪の毛を整えて部屋へ戻り、ベッドに横になった。

 私は、明日の事を考えると楽しみでなかなか寝ることができなかった。私は、なんとか寝ようと頑張るがやっぱり寝ることができなかった。

 私は、とりあえず本を読むことにした。今読んでいる本は、恋愛小説でかなりロマンチックなストーリー。こんな恋愛がしたいと思うぐらい。

 私は、小説を読んでいるうちに眠たくなってきて、眠りについた。私は珍しく、朝に目が覚めた。いつもは、昼ぐらいまで寝ているのに今日は、八時に起きた。

 ちょっと、興奮しすぎかな?さすがに、起きる時間が早すぎる。でも、いいか。これでゆっくりと、準備することができる。

 今日は、花火大会だから浴衣を着て優輝を驚かせてやる。だけど、浴衣を直した場所を忘れてしまったので、これから探さないといけない。まえに、着たから家にあるのはわかってるんだけど、直した場所を忘れてしまい、見つからなければ驚かすことも出来ない。

 だから、早く起きれてよかった。ゆっくりと探すことができる。私は、家にあるタンスから押入れから全部見て探してやっとのことで見つけた。ほとんど来ていないおかげで、かなりきれいな状態でのこっていた。

 浴衣を見つけるのに、かなりの時間がかかった。探し始めたのは起きてから一時間ほどたった九時からで、見つけたのは十二時。三時間も探していたらしい。出しては、片付けと繰り返していたから時間がかかったのかな?

 これからは、出来るだけ手前にしまっておくことにしよう。まだ、優輝が来るまで時間があるから、少しだけ勉強しよう。お昼を食べた後で。

 私は、お昼ご飯を作り食べて少し休憩してから、部屋へ戻り勉強した。昨日は宿題を半分ほど終わらしたが、今回は五時間ほどしても三分の二ほどしか出来なかった。

 私は時計を見た。もう十八時半なので、そろそろ浴衣に着替えて優輝を待つことにしよう。

 私が、浴衣に着替え終わるってからすぐに家のインターホンが鳴り優輝が来た。私は、財布と携帯だけ持って出て優輝の顔を見て

「おまたせ」と言った。

 優輝は、私を見て少し驚いた感じだった。私は、優輝に

「どう?似合う?」と聞いた。

「うん。似合ってるよ。なんか、いつもとは違う感じだな。」

「そう?でも、よかった。久しぶりに浴衣着たから、似合ってなかったらどうしようかと思った。」

 私は、優輝の前に立ち優輝の手を取って手をつないだ。優輝は、一瞬恥ずかしそうにしたが、しっかりと握り返してくれた。

 私と優輝は、手をつないだまま花火大会の場所へと向かった。花火のあがる近くまで行くと出店があり、かき氷やフライドポテトなどを買って食べた。

 花火は二十時からで、今は十九時五十分。そろそろ、花火が見えるところへ移動しようと思い優輝の方を見た。優輝も私の方を見た。

「そろそろ、花火の見えるところに行こうか?」

 私は頷き、優輝についていった。優輝は私の手をひっぱりながら、みんなが見るところとは別の場所へと向かっているようだった。近くの坂を上っている途中で、茂みの中へと入った。

 茂みを少し入ると、道のような感じになっていた。でも、これは無理やりに作ったような道になっていた。私は、優輝に聞いた。

「ねぇ。どこへ行くの?それに何この道?」

「悪いな。出来るだけ、怪我しないようにと思ってしておいたんだけど、やっぱり駄目か?でも、ここを抜けたら一番の花火スポットにつくから。ごめんな。」

 私は、

「そうなの?」と言い、優輝の言う通りについていくことにした。どちらにしても、ついていくしかないんだけど。思っていたよりも早く、茂みの中を抜けた。

 私は、驚いた。茂みを抜けると、急な斜面になっており、知らずに来たらこのまま転げ落ちてしまうかもしれないほど、足場が狭かった。

「よし!ぎりぎり花火に間に合ったな。ここが、俺の秘密の場所さ。夕方は、ここからきれいな夕日が見えるんだぜ。まぁ、危ないから、あんまり来ることはすすめないけどな。おっ花火があがるぜ。」

 優輝がそう言うと、最初の花火が一発打ち上げられた。優輝の言うとおり、よく見える。その後も、次々と花火は打ち上げられた。優輝は、花火を見ながら言った。

「どうだ?ここに来て良かったか?」

 私は

「うん」と言って花火を見続けた。優輝も私も何も言わずに、ずっと花火を見ていた。花火も終盤を迎え、最後のクライマックスというところで優輝が、私に一言言った。

「夏樹。結婚しないか?」

 私は、びっくりして優輝の方を見て聞き返した。

「えっ!なんて?もう一回言って?」

「うん。だから・・・。結婚しよう。」

 私は、嬉しくて涙が出た。まさか、ここに来てプロポーズされるとは思ってもみなかった。

「おいおい。泣くなよ。まだ、返事聞いてないぜ。ダメか?まだ、早いと思ってるなら、いつまでも待つから。」

「優輝・・・。ありがとう。私で良ければ、お願いします。」

 私は、優輝に抱きついた。優輝も私を抱きしめてくれた。それと同時に、最後の一発が打ち上げられた。最後の花火の光が、一瞬私と優輝を包み込むようになったような気がした。

 優輝は、私の肩を持って少し離れ私の顔を見た。

「夏樹の悩み、全部吹き飛んだだろ?夏樹のおかげで、俺も決心できたからな。絶対、幸せにするからな。」

 私は、海に行った時に優輝が言った事を思い出した。あの時の言っていたことは、こういう事だったのだと思った。

 私は

「うん!よろしくね。」と言い、優輝にまた抱きついた。私と優輝は、ある程度たってから手をつないで帰った。

 私は、今日という日を忘れない。私にとって、最高の日になった事を。

 その後、優輝は学校をやめて仕事についた。私にプロポーズする前から、就職が決まっていたらしく、すぐに学校をやめて働いてくれた。それからすぐに、私と優輝は結婚した。

 私は、優輝と結婚出来て本当に良かった。これからは、幸せになります。


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