ヒロインは攻略しない。
ついさっき自覚しましたが、私はヒロインだ。
この世界はゲーム、しかも乙女ゲーム。カッコいいキャラクター達が私を取り合う…違うな。カッコいいキャラクター達を攻略してハピエンを目指す感じのゲームですよ、そのヒロインです。すごい美人で才能があって性格が良くて人から好かれる……え、私すごい…愛されヒロインになってる…庶民だけど才能を認められて名門校に入って攻略対象者と偶然仲良くなっちゃって悪役令嬢にいじめられちゃう王道の…ヒロイン。
「え…すごい嫌。」
ヒロインとか超メンドクサイやつじゃないですか…普通の少女が幸せを手に入れるまでの物語~…とかサブタイトルになってますけど、どこが普通なんですか美少女って時点で普通じゃないです。才能をあって庶民じゃ入れない名門校に入るとか普通じゃないですよ、人から好かれるのは…まぁ性格がいいのでしょうね、どう考えても生まれながらの勝ち組じゃないですか。庶民ってとこが残念なだけで、才能を生かせば出世してお金持ちになれますって…。
「思い出すタイミングが悪すぎです…。」
そう、自分が現代を生きていた人間で、とある理由で死んで、生まれ変わって…今。という事を思い出せたのはいい、自分の役割もわかって人生イージーモード。…いや、波乱万丈な人生になりそうですけど……下手すればヒロインが死ぬルートもあるのでそこは怖いものの、展開を知っていれば物事はスムーズに進めれるでしょう……私がうまく立ち回れればですけど。でもタイミングが悪い。
「名門校への入学決まっちゃいましたよ…」
ゲームが始まっちゃう~カッコいいキャラクター達に囲まれちゃう~…きっと私じゃなければすごい喜んだでしょうね…このゲームすごい人気ですし、キャラクター達も魅力的で私も生前?前世?ではやりこんでましたよ。正直王子様くっそ好きでした、何度「アージュ様の女になる!!」と言ったことやら…私はアージュ様の女……でも、今は……恋人、いるんです…私。
「ミシェルト~?変な顔してどうしたの??」
「ガルド……変な顔って言わないでよっ」
「だって変な顔だし??なに、もしかして入学するの不安になってきちゃったの~?」
「そうなの…ガルドと離れることになるし、貴族様に囲まれるんだよ?」
「入学の話が来た時すごい喜んでたくせにぃ」
「だって嬉しいことでしょ?認めてもらえたってはすごい名誉なことだよ…でも…」
入学してしまったらイケメン達に囲まれてしまいます!この美少女すぎる顔は嫌でも目立ってしまいます!貴族令嬢様達に目をつけられてしまう!…なんてすごい自画自賛していますが…第三者としてこの顔を見るとすっごい美少女なんです…モテモテになりますよ、この顔…。私にはガルドという恋人がいるんですっモテても嬉しくないです!最高の恋人なんですよ?可愛らしい顔立ちなのに時々見てる男らしい一面…私のことを大切にしてくれて…たまに意地悪してくるけど、本当に大好きな恋人…数年間はまともに会えなくなるなんて…離れている間に他の素敵な女の子が現れて取られてしまうかもしれません…どんどん不安が募っていきます…入学、辞退したい。
「ミシェルトならうまくやれるよ、大丈夫だって」
「ありがとう、ガルド…。」
「学校以外のことでも不安になってるんでしょ?たとえば、僕が他の女の子に取られるんじゃないかーとか」
「そうよ…ガルド、可愛くてかっこよくて優しくて、とっても素敵なんだもん…」
「可愛いは余計だけどー。僕だって不安だよ、学校でお金持ちの男に取られないかって、ミシェルト世界一可愛いし優しいから。」
こういうとこ!!…こんな恥ずかしいセリフをサラリと……私をドキドキさせる天才なんですから…困っちゃいます。甘やかし上手でいつもガルドには甘えちゃってます…え、数年間も離れられるの?イケメン達とか貴族とかそういうの関係なく…ガルドと離れて私、生きていける…??……考えられない、私の隣にガルドがいないなんて…入学辞退したいです!!
「入学したくなくなってきた…」
「勿体ないから入学して勉強してきなよ、才能を認められたんだからさ」
「それはうれしいけど!!…ガルドと離れたくない…」
「そんなの僕もだよ。でも将来的にはすごい有利になるよ?だからちょっと我慢してさ、頑張ろう??」
「……ガルドが言うなら頑張る…けど、浮気しないでよ??」
「そんなことするわけないでしょ、ミシェルトこそ目移りするなよ??」
「絶対しないし!!」
私はゲームのヒロインで、舞台は学校。イケメン揃いの攻略対象達に、悪役令嬢に…入学すれば大変な毎日になるでしょう…かっこいい王子様とか間に合ってます。可愛くてかっこよくて優しい恋人がいますので、絶対に関わりません!むしろ悪役令嬢応援しちゃおう、見た目めちゃくちゃ好みなのでぜひアージュ様とくっついてほしい!!推しと推しがくっつくなんて最高に尊いです!入学したらイケメン達を全力で避けて悪役令嬢と仲良くなる!!勉学も忘れずに!
「私、ヒロインだけど攻略しません!」
ミシェルト
乙女ゲームの“ヒロイン”に転生した元現代人。優しくて美少女で才能に恵まれた庶民。才能が認められゲームの舞台である名門校への入学が決定した後に前世の記憶を思い出すが、自覚していなかっただけで生まれ変わった瞬間からヒロイン「ミシェルト」とは別人。「ミシェルト」には恋人がいるなんて設定はなく、既に物語が変わっている。
相思相愛の年下の恋人がいて良く甘やかしてもらってる。
アージュ(王子)×レプシア(悪役令嬢)を推してる。
ガルド
乙女ゲームでは登場しない人物。ミシェルトより年下で恋人。可愛らしい顔立ちをしているが男前で余裕のある性格をしていて年上のミシェルトを甘やかしてる。ミシェルトとは相思相愛で学校へ入学が決まった時はかなり焦った、かなり溺愛している。彼女が入学して一年後に剣の実力を認められ学校に入学する。才能に溢れた相思相愛庶民カップルとして全学年に知れ渡ることになる…。