在庫確認。もう少し我慢。
外に出て貯蔵庫がある里の中央に向かった。
(クソ妖精どもめ。言いたい放題言いやがって)
俺は、心の中で愚痴りながら、隠し持ってた花蜜のカケラを口に入れた。
貯蔵庫の大きさは、家の倍ほどで、中には食糧の他に、服や寝具に使う草、家具に使う木材などが置いてある。ここから里の妖精は、必要な時、必要な分持っていく。で、持って行った分また、ここに在庫しなければならない。俺が、生まれる前までは、当番制で、補充してたみたいだが、今は俺だけが補充している。しかも、俺だけ持ち出すときは里長の許可を取らなければいけない。
貯蔵庫に着いた俺は、門番をしている妖精に声を掛けた。
「すいません。在庫補充の為に、不足しているものを教えてください。」
「花蜜が30、衣草が30、木材が15だ。今日中に補充しろよな。」
「わかりました。」
(我慢しろ俺。もう直ぐ準備が揃うんだ)
「不細工な顔見せんな。さっさと行け。」
「はい。」
(我慢だ。)
俺は、貯蔵庫を後にした。
衣草と木材は結界の外に取りに行かないといけない為、里を出て結界が張ってある場所まで飛んで行った。
結界は、普段は透明だが、触れると、その部分だけ泡のように白くなる。触った感じは膜のようなもので、出たり入ったりするのに、特に抵抗感はあまりない。しかし、魔物とかだと重厚な鉄の壁の様に、侵入を阻止される。
結界を抜け、いつもの場所に向かった。