風峰のお父さん
「飲み物買ってきました!」
秋葉がコーヒーを買ってきて、春花に飲ませる。
「ちょっと苦い……温かい……」
コーヒーを飲み終わった頃には、春花の調子は良くなっていた。
俺たちは安心した。
「またプールに入って体調悪くなってもあれだから、昼飯にするか」
俺たちは一度着替え、休憩ついでに食べに行くことにした。
一旦服に着替え、三人と合流する。
ここのプールにはレストランがあるので、そこで食べることにした。
「注文は以上ですか?」
「はい、大丈夫です」
美咲が言う。
俺と美咲はハンバーグ、春花と秋葉はたらこスパゲッティを頼んだ。
「ねぇ、風峰のお父さんってどんな人なの?」
「どうして急に父さんのことを聞くんだ?」
「風峰のお父さんに会ったことないからどんな人かなーって。それに、彼女だから挨拶とかした方がいいかなって思った……」
「会うのはダメだ!」
俺は大声でそう言う。
「ど、どうしたんですか風峰先輩!」
「あっ、えーっと……」
大声でダメだといってしまったが、なんて言えばいいのか思いつかない。
「父さんは人見知りなんだよ!それも……ひどいくらい!」
もちろん、父さんは人見知りなんかではない。
だが、美咲が父さんと会ってはいけない。
美咲と父さんが会ったら、絶対に美咲に妹だとバレてしまうから。
「そうなんだ。でも、やっぱり挨拶は大切だと思うんだけど……」
「無理だ!」
「風峰先輩……もしかしてなにか隠してる……?」
「隠し事……はっ、もしかして、風峰先輩のお父さんはヤクザ……」
「そんなわけないだろ!」
俺は秋葉に突っ込む。
「何も隠してない、ただの人見知りで仕事がない時は人と会おうとしないんだ!だから、この話は終わりだ!」
俺は、無理やり話を終わらせた。
美咲と春花と秋葉は、俺の父さんの話はしない方がいいと思ったのか、これ以上俺の父さんについて話すことはなかった。




