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俺の彼女が妹だということをみんなは知らない  作者: Melon
四人でお片づけ
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告白した理由

 二時間後、片付けが終わった。

 物が散乱していた部屋は綺麗になり、スッキリした。

 片付けが終わり帰ろうとしたが、お菓子を食べてくれと言うので、ありがたくいただくことにした。


「それじゃ、お菓子と飲み物用意しますね」


 秋葉は棚を開ける。

 クッキーの箱と皿とコップを取り出すと、こちらに持ってきた。

 クッキーの袋を開け、皿に入れる。

 飲み物は、春花が冷蔵庫から牛乳を持ってきてくれた。


「先輩、どうぞ……」


 春花が牛乳をコップに入れる。

 俺は牛乳を半分ほど飲んだ。


「そういえば美咲先輩。風峰先輩とどんな感じで付き合うことになったんですか?」


「私も知りたいです……」


「普通に告白されただけだよー。ね、風峰?」


 美咲は、俺と美咲が付き合うきっかけを言う。


「えー!風峰先輩から告白したんですか⁉︎てっきり、美咲先輩から告白したかと……風峰先輩、自分から告白とかしなさそうですし……」


「悪かったな……俺からで」


「それで、なんで美咲先輩を選んだんですか?」


「なんでって……」


 優しくて、頼りになって、俺のこと気にしてくれてたから。

 なんて、恥ずかしくていえない。


「私の魅力に引きつけられたんだよねー」


 そう言って、腕に抱きついてくる。


「やめてくれ」


 俺は腕を引っこ抜く。

 しかし、美咲はまた腕に抱きつこうとした。

 そしたら、美咲が俺の体に乗ってきて、押し倒されてしまった。


「大丈夫ですか……?」


 春花が俺と美咲に聞く。


「ああ、大丈夫だ……って……」


 美咲は、俺の上に乗ったまま倒れていた。

 俺の体に抱きつくように。


「み……美咲!ど、どど、どいてくれ!」


 腕に抱きつかれたことは何回もあるが、正面から抱きしめられたことは一回もない。

 俺は恥ずかしくなって、美咲を起こす。


「ごめんねー風峰ー。えへへ」


 美咲は笑いながら、俺に謝る。


「二人とも怪我してないですよね⁉︎」


「ああ、大丈夫だ」


「よかった……」


 秋葉は安心したらしい。


「美咲先輩……これからは、気をつけてくださいね……」


「いやーごめんねー」


 美咲は、春花と秋葉にも謝った。


「まったく……」


 俺は、残った牛乳を飲んだ。


「それで、なんで告白したんですか?」


「優しくて、頼りになるし……」


 恥ずかしかったが、俺は言った。

 またあんなことにならないようにするために。


「えー?本当?実は、私の見た目だけで選んだとかじゃないのー?」


「お、俺は見た目だけじゃ選ばない!絶対だ!」


 俺は断言する。

 恥ずかしくて恋愛話をしたくなくなった俺は、話題を変えることにした。


「と、ところでさ。二人は、なんで転校してきたんだ?」


「お父さんの転勤でこっちにきたんだけど、二人が自立できるようにって言って、この部屋を借りてくれたんです!」


「そしたら、この辺には私たちのお兄ちゃんとお姉ちゃんが住んでるって、お父さんが言ってたんですが……」


 二人は言う。

 お兄ちゃんは俺のことで、お姉ちゃんは美咲のことだろう。


「でも、お兄ちゃんとお姉ちゃんは見つかってないんだよな」


「そうなんです。頼ろうと思ったのに、見つからなくて」


 実はもう見つかってるぞ、とは言わず、黙っておく。

 二人に、俺は二人のお兄ちゃんだ、なんて言ったら、美咲が俺の妹だということがバレてしまう可能性がある。

 二人には申し訳ないが、言わないことにした。



 クッキーを食べ終わり、牛乳もみんな飲み、春花が皿とコップを洗おうとしていたので、


「手伝うよ」


 と、声をかけた。


「いいんですか……?」


「ああ」


 俺は、春花の手伝いを始めた。


「じゃあ、私は秋葉ちゃんのお手伝いするー」


 美咲は、秋葉の手伝いをするようだ。


「それじゃあ、クッキーの箱と、洗った皿とコップを拭いて、片付けてください。私はテーブルを拭きますので」


「了解!」


 美咲はそう言うと、手伝いを始めた。

 俺も春花の手伝いを始めようとした時に、


「あの……風峰先輩と美咲先輩、本当に私たちのお兄ちゃんとお姉ちゃんみたいですね……」


 と、春花が言ってきた。


「なんでだ?」


「私たちの部屋の片付けと後片付けを手伝ってくれて、それに、優しくて……」


 まあ、お兄ちゃん、お姉ちゃんみたいじゃなくて、本当のお兄ちゃん、お姉ちゃんなんだけどな、と言いたいが、言わないでおく。



 片付けが終わった俺たちは、帰ることにした。


「先輩!また来てくださいね!」


「先輩……さようなら……」


 二人は俺たちに手を振る。

 俺と美咲も手を振って、ドアを閉めた。


「二人とも、すごい仲良しだったね!私たちも、あの二人みたいに仲良くなりたいねー」


 そう言いながら、腕に抱きつく。


「……あれ?振り払わないの?」


「……俺と仲良くなりたいんだろ?だったら今だけは……まあ……」


「本当に⁉︎それじゃ、このまま帰ろ?」


「ここを出るまでだ!それ以降は恥ずかしいからダメだ」


「えー?いーじゃーん」


「ダメだ!」


 そう言ったが、マンションを出ても美咲は腕を離さなかったので、仕方なく腕を抱かれたまま帰った。

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