里奈先輩との出会い
「ねえねえ、里奈先輩とどんな感じで出会ったの?」
冬休みが終わり、学校が始まった。
そして、美咲と一緒に投稿していたら、美咲が急にそんなことを聞いてきた。
「どうしたんだ、急に?」
「いや、なんとなく気になって……」
「里奈先輩かぁ……」
足が速くなりたいと思っていた俺は、放課後に学校の校庭で走っていた。
その時に、物陰から見ていた女の子がいた。
その女の子が里奈先輩だ。
ある日、俺が走っていると、思いっきり転んでしまった。
「いてっ!」
俺は地面に座り込み、膝を見た。
膝からは血が出ていた。
俺は気にせず、走るのを再開しようとした。
「これ、よかったら……」
物陰で俺を見ていた里奈先輩が、俺に消毒液と絆創膏を差し出した。
その時の里奈先輩は、俺が怪我をした時に、すぐ怪我をどうにかできるように常に消毒液と絆創膏を持ち歩いていたらしい。
「私、頑張ってる君を見てたら応援したくなっちゃって……。だから、いつも見てたんだ」
そして、俺は里奈先輩と仲良くなった。
それから、悩みがあったり困ったりしたら、里奈先輩に相談している。
「とまあ、こんな感じだな」
俺は、美咲に里奈先輩との出会いを話した。
「里奈先輩、昔っからいい人だったんだねー。好きになったりしなかったの?」
「いや、だって里奈先輩だぞ?毎日ちょっかい出してきて……。嫌いにはならなかったが……」
「そ、そうなんだ……」
「でも、私は意外と好きだったんだよねー」
俺と美咲は、声がした方に振り向く。
教室のドアに、里奈先輩が寄りかかっていた。
「い、いつからいたんですか⁉︎」
俺は里奈先輩に聞く。
「美咲ちゃんが好きになったりしなかったのって聞いた辺りから。それで、なんの話してたの?」
「風峰と里奈先輩の出会いを聞いてたんです。それより、里奈先輩今好きだったって……」
「うん、好きだよ。昔も、今も。美咲ちゃんから奪いたいくらい」
里奈先輩はそういうと、俺の顔に顔を近づける。
「付き合おう。風峰くん」
突然告白してきた。
俺と美咲は黙る。
本気なのか、と思っていると、里奈先輩は急に笑い出した。
「本気にしちゃった?嘘だよー、付き合うわけないでしょー」
里奈先輩は笑いながら言う。
「わかっただろ美咲。俺がなんで里奈先輩のことを好きにならなかったのか」
「う、うん……。里奈先輩、昔からこんな感じだったんだね……」
「ああ、中学生の時も同じことやられた……」
里奈先輩は、昔からこんな感じだった。
しかし、そんな里奈先輩を嫌いにはならなかった。
とても頼れる、立派な先輩だったから。




