年越し 3
「えーっと、次は私だね」
美咲はサイコロを手に取り、転がす。
「五マスだね。なになに、誰かにいい子いい子と言いながら頭を撫でたら次のマスへ……」
美咲は俺を見る。
そして、いきなり俺の頭を撫でてきた。
「いい子いい子……風峰はいい子だよー」
そろそろいいだろうと思ったが、美咲はやめてくれない。
「も、もういいだろ!恥ずかしいからやめてくれ!」
「はいはい。じゃあ、次は明音ちゃんね」
「はいはーい。えいっ!……四かー。次の番の人と記念撮影。拒否したら二マス戻るだって」
「明音ちゃんの次だから私だねー。それじゃあ、美咲ちゃん撮影よろしくー」
里奈先輩は携帯を美咲に渡す。
そして、明音と二人で並ぶ。
「じゃあ撮りますね」
パシャ、という音が鳴る。
「あら、いい感じに撮れてるじゃない」
美奈江先輩が写真を見ながら言う。
「ありがとねー明音ちゃん」
「いえ、こちらこそありがとうございます!」
二人が座り、ゲームは再開した。
「次は私の番だね。よっ!……六か……」
里奈先輩は俺のことを見てニヤリと笑う。
「はい!風峰くんどうぞ!」
「……好きでーす付き合ってくださーい……」
俺は、嫌がりながら言った。
「気持ちがこもってないなー。もう一度」
「好きなので付き合ってください!」
「嫌だよ!」
里奈先輩は、満面の笑みで言う。
なんか、とてもムカついた。
「あ、そうだ。マスになんて書いてあるか読まないと。なになに、交通事故で怪我。一回休み……」
告白するとかそういう変なマスしかないのかと思っていたが、普通のマスもあるようだ。
「それじゃあ、次は私ね。……一かぁ……。えっと、次に五を出した人がゲーム中はお兄ちゃん、またはお姉ちゃんだって」
「私の番……。……二だね……。……ヒッチハイクに成功、五マス進む……!」
「次は私ね、……五ね。ってことは……」
美奈江先輩は秋葉のことを見る。
「……美奈江お姉ちゃん……?」
美奈江先輩の体が、一瞬ビクッと動いた。
「か、可愛い……!」
美奈江先輩の目がキラキラ輝いているように見えた。
そして、二ターン目が始まった。




