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勝負

 二人が着替えを終え、脱衣所から出てくる。

 そして、俺たちは里奈先輩の部屋に入った。


「さあ、謝ってもらおうか!風峰くん!」


 部屋に入った途端、里奈先輩が言う。


「いや、だから俺は悪くない……」


「言い訳しても無駄よ!」


「だから……」


「さあ、観念するんだ風峰くん!はっはっは!」


 里奈先輩は笑う。

 でも里奈先輩のことだ。

 多分怒っていないだろう。


「……これも冗談だからね?わざとじゃないからね。だから許すよ。ね、美奈江ちゃん?」


「わ、私は許さないわよ!私の下着を、さ、三回も見て!この変態!」


 美奈江先輩が、俺のことを睨んでくる。


「風峰くん。わざとじゃなくても謝るのが正しいと私は思うなー」


 原因を作った本人が何を言ってるんだ。

 だが、里奈先輩の言っていることは間違ってはいない。


「す、すみませんでした……」


 俺は、頭を下げた。


「風峰くん、もっと頭を下げないと」


「里奈先輩?先輩だからってあまり調子に乗りすぎると怒りますよ……?」


「……今のは無視していいよ」


 俺は、美奈江先輩に謝る。


「絶対に許さない!許さないわ!」


 だが、許してもらえなかった。


「やっぱり許さないかー」


「普通先輩だったら、仕方がないわね!とか言って許すもんですよねー」


「腹立つわねあんたたち!わかったわ!だったら、これで許すか許さないか決めるわ!」


 美奈江先輩は、棚から箱を取り出した。

 そして、中身を取り出す。

 中から出てきたのは、チェスだった。


「先に三回勝った方が勝利よ!」


 そう言って、美奈江先輩は準備をする。


「わかりましたよ。やりますよ……」


 俺は許してもらうために、美奈江先輩とチェスをやることにした。



 十五分後、俺は一度も負けずに美奈江先輩に勝利した。


「なんで勝てないのよ……⁉︎」


「小学生の頃、里奈先輩とチェスや将棋などをやってたので……」


「私が鍛えてあげてなかったら、勝負に負けて警察行きだったかもねー」


 警察には連れて行かれないだろうが、ここで負けていたら俺は許されなかった。


「というとで、許してください」


「んー……!わかったわよ!許してあげるわ!」


「よかった……」


 許してもらえた俺は、安心した。

 美奈江先輩を怒らせたままにすると、面倒だからだ。

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