相談
「なあ秋葉。これからは玄関で抱きつくのはやめてくれ」
「えー?なんでー?」
俺は放課後、春香と秋葉の家に来ていた。
「昨日抱きつかれたのを美咲に見られて、なんか誤解されてるんだ」
「わかった。お兄ちゃんが言うなら……」
「よかった。家の中だったらいいが……いや、そもそもあまり抱きつかれるのは嫌なんだが……」
「秋葉のこと嫌い?」
「いや、恥ずかしいんだ……秋葉のことは嫌いじゃない」
そう言うと、秋葉は笑顔になった。
「あ、そうだ。今日はこの後用事があるから帰る。それじゃまたな」
俺は立ち上がり、家を出た。
駅の近くにあるレストランに、俺はやって来た。
お店の前には、里奈先輩と美奈江先輩がいた。
「あれ、美奈江先輩なんでいるんですか?」
「なんか一緒に行きたいって言うから連れて来ちゃった」
「まあ、別にいいですけど……」
俺たちは、店の中に入った。
「それで、相談って何?まあ、美咲ちゃんのことだと思うけど」
「美咲って、風峰の彼女?何かあったの?」
「実は、秋葉がバランスを崩して俺に抱きついちゃったところを美咲が見て、なんか誤解しているようで……」
本当は抱きついてきたのだが、バランスを崩したと言う。
「それで、もしかして浮気してるんじゃないかって思われてるのかなって……」
「あー、美咲ちゃん言ってたね。風峰くんが浮気してるんじゃないかって。でもしてないんでしょ?」
「するわけないじゃないですか!」
「まあそうだよね。風峰くんが浮気なんてするわけないよね。それで、相談って?」
「美咲を安心させたいんです。美咲、今不安だと思うんです」
「風峰に捨てられるんじゃないかとか思ってるんじゃないかってこと?」
俺は頷く。
だから、どうすればいいかを聞くために、里奈先輩にお願いしたのだ。
「んー、そうだねー、デートでもすれば?」
「デート……ですか?」
「うん。デートしていちゃいちゃして、美咲ちゃんを安心させればいいんだよ」
「なるほど……」
「デートだったら、映画とかいいんじゃない?ほら、冬休みに上映開始するあの映画!」
美奈江先輩は言う。
「あー、あの恋愛映画ね。いいんじゃない?風峰くん、冬休みに行ってきなよ」
「わかりました。それじゃあ誘ってみます。ありがとうございました」
「困ったらいつでも相談してねー」
俺は、冬休みに美咲をデートに誘うことにした。




