遊園地
春花と秋葉に本当のことがバレてから数日が経った。
「それじゃあ、じゃあねー」
「ああ、また明日」
俺は、美咲に手を振る。
美咲は、自分の家の方に向かって歩いて行った。
この後は、春花と秋葉の家に向かう予定だ。
俺は、美咲が角を曲がって見えなくなるのを待ってから、春花と秋葉の家の方向に向かった。
春花と秋葉の家に向かう道は、俺の家に向かう道とは違う。
もし、美咲に見られたら怪しまれると思い、美咲が見えなくなるのを待ったのだ。
「お兄ちゃんお帰りなさーい!」
インターホンを鳴らすと、秋葉がドアを開けて飛び出してくる。
そして、俺に抱きついてくる。
「早く入って!早く!」
秋葉はぴょんぴょん跳ねながら俺に言う。
なんか、秋葉の性格が変わったような気がした。
今まで人に甘えなさそうな性格だと思っていたのに、本当のことを知った秋葉は、すごく俺に甘えてくる。
「早くー!」
そんなことを考えていた俺の腕を、秋葉は掴んで引っ張る。
「わかったから落ち着け……」
俺はそう言い、春花と秋葉の家に入った。
次の日、下校中に美咲が質問をしてきた。
「風峰……ちょっと聞いてもいい?」
「ん?なんだ?」
「風峰、最近何かあった……?最近、風峰の様子がおかしいというかなんというか……」
美咲は言う。
「なんで俺が変だと思ったんだ……?」
「うーん……春花ちゃんと秋葉ちゃんと喋る時、なんか表情がいつもと違うというか……何かあったのかなーって」
「いや、別に何もないが……」
言えない。
春花と秋葉の家に行ってイチャイチャしてるなんて言えない。
「うーん……それならいいんだけど……。何かあったら、私に相談してね?」
「あ、ああ。わかった」
美咲と話しているうちに、いつも別れている場所についた。
「それじゃあ、また明日」
「うん。じゃあね、風峰」
俺は手を振った。
数日後、俺は春花と秋葉の家に来ていた。
「ねーお兄ちゃーん。今度の土曜日どこかに行こうよー」
秋葉は、俺の膝に座りながら言う。
しかし、土曜日は美咲と出かける予定がある。
「美咲と出かけるんだが、それでもいいなら一緒に来るか?」
「美咲お姉ちゃんがいると甘えられないんだよね……でも、一緒に行く!で、どこに行くの?」
「遊園地だ」
「遊園地⁉︎あ、もしかしてデート?」
「いや、デートじゃない。ただ遊びに行くだけだ。美咲が急に行こうって言うから」
昼休みに、いきなり遊園地行こうとか言い出すから、俺は驚いてしまった。
「それじゃ、土曜日ね!」
「ああ、わかった」
そして、俺たちはみんなで遊園地に行くことになった。
土曜日、俺たちは遊園地に着いた
土曜日なので、たくさん人が来ている。
入場するためのチケットを買うのにもかなりの時間がかかった。
「風峰!ジェットコースター乗ろう!」
美咲が腕を引いてくる。
この遊園地のジェットコースターは人気で、他の乗り物よりもたくさんの人が並んでいる。
「私、ジェットコースター苦手なので……向こうで待ってます……」
春香は言う。
「あ、それじゃあ私も春花と一緒に待ってます!」
そう言うと、春花と秋葉はベンチに向かっていった。
「一番前か……」
俺たちは、一番前の席に座る。
美咲の方を見る。
とても楽しみ、という感じの顔をしている。
しばらくすると、ジェットコースターが動き出した。
レールを登って行く。
一番上まで来ると、遊園地全体が見渡せた。
「怖いねー風峰ー」
怖いと言っているのに、美咲は余裕そうだ。
そして、ジェットコースターは急加速。
下に向かって進んで行く。
「きゃあああー!」
美咲は声を上げる。
「うおおっ!」
ジェットコースターは、思っていたよりも早かった。
ジェットコースターは猛スピードでレールの上を走る。
「はははっ!楽しいね!」
美咲の顔をちらっと見たが、とても楽しそうだった。
コースを一周して、ジェットコースターは止まる。
俺たちは、ジェットコースターから降りた。
「はー楽しかったねー」
美咲は、俺の腕に抱きついてくる。
「ちょ、やめてくれ。こんな人の多い場所で……」
「えー?いーじゃん。私たちカップルなんだから」
そう言って、今度は体を寄せてくる。
いつも恥ずかしいと言って腕を引き抜いているが、実は、周りの人に見られることよりも胸が押し付けられることご恥ずかしいのだ。
美咲の胸は、大きいか小さいかだったら大きい。
だから、腕に抱きつかれると恥ずかしいのだ。
「あ、コーヒーカップがある。春花ちゃんと秋葉ちゃんと一緒に、コーヒーカップに乗ろうよ!」
「わかった、わかったから腕を離してくれ……」
「やだー」
抱きつく力はいつもより強く、腕を引き抜くことも美咲を振り払うこともできない。
どうすることもできないので、そのまま抱きつかせることにした。




