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テンションの高い美奈江

「……」


 俺は今カラオケに来ている。

 そして、美咲と里奈先輩が一緒にトイレに行ってから十五分。

 二人はまだ戻ってこなかった。

 女子生徒、美奈江先輩と二人きりで同じ部屋にいる。

 二人きりになってから俺たちは一言も言葉を発していない。


「……あのさ」


 急に声をかけられる。


「多分、あの二人は私とあんたが仲良くなって欲しいと思ってるから戻ってこないのよね?」


「まあ、そうだろうな」


「だからさ……お互い、朝のことは許さない……?正直、私もあんたとずっと仲悪いのは嫌だし……」


 顔を少し赤らめて、小さな声で言う。

 まさか、そんなことを考えていたなんて思わなかった。


「……見たことも許してくれるよな?」


「あれだってわざとじゃないだろうし……許すわ」


「……わかった。お互い謝ろう。見てすまなかった」


「私も、わざとじゃないのに怒って、しかも昼休み教室にまで行って追い詰めて……ごめんなさい」


 俺たちはお互い誤った。


「これでスッキリしたわね。なんか、歌いたくなってきちゃった。ほら、マイク」


「えっ、美奈江先輩⁉︎」


「さあ!歌うわよ!」


 美奈江先輩が次々に曲を選んでいく。

 俺も仕方なく歌う。

 美奈江先輩はテンションが上がったのか、歌いながら体を動かしている。

 その姿は、まるでアイドルのようだった。



「一緒に歌ってね……」


「なんか思ってたよりも仲良くなってるねー。美咲ちゃん、風峰くん取られちゃうんじゃない?」


 戻ってきた二人は、ドアに付いている細長い窓から室内を覗いていた。


「美奈江先輩、なんかテンションが上がってるっていうか……昼休みの時と違くないですか?」


「美奈江ちゃんは歌うの大好きだから、歌いだすとあんな感じになるんだよねー」


 そして、美奈江は椅子に登り、その上で踊り始めた。

 それを風峰がやめさせようとする。


「あっ、落ちた」


 美奈江はバランスを崩し、椅子から落ちる。

 美奈江は体を起こすと、美咲と里奈に気がつく。

 気づかれた二人は、部屋へ入っていった。

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